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漱石生誕150記念する特別講演会…熊本大学

2017年5月23日(火)

 熊本大学(熊本市中央区黒髪、原田信志学長)は5月13日、放送大学熊本学習センターで漱石生誕150年を記念する特別講演会を開いた。
 同大五高記念館の主催。当日は前五高記念館長の伊藤重剛工学部名誉教授が「漱石が見た明治の熊本」と題して講演したほか、夏目漱石研究家の村田由美同客員准教授が五高教師時代の漱石の実像について解説した。伊藤氏は並外れた記憶力と筆力で熊本の町並みと人々の暮らしを描いた日本画家・甲斐青萍(かいせいひょう)(1882〜1974)が残した「熊本城下町町並図屏風」、「熊本明治町並図屏風」(同市中央区の文林堂所有)の絵などを題材に漱石が最初に住まいを構えた「光琳寺の家」周辺一帯の明治期の町並みなどについて説明。出席者は現在の街区との違いなどに興味深げだった。
また同大永青文庫研究センターは同日、学内共同教育研究施設としての機能強化を記念する講演会を行った。当日は稲葉継陽センター長と今村直樹准教授が同センターの成果と課題や所蔵の藩政史料の魅力などについて語った。(佐藤)

講演する伊藤名誉教授。このほど、「甲斐青萍熊本町並画集 江戸・明治・大正・昭和 」を刊行した
絵図に描かれた風景と現在の街区との対比に見入る出席者
「光琳寺の家」は現在のホテルサンルート熊本辺りにあったとされる。周辺は当時追廻田畑と言われる低地に小川が流れており田圃などもあった。熊本の暑気に閉口した漱石が鐘の音とともに追廻田畑を渡る風に涼を感じた様子が想像されて興味深い
稲葉センター長は「御家の資料」「藩庁史料」という永青文庫細川家資料の特色を説明。「日本近世史研究の進展にとって最重要資料群の1つであることを明示している」などと語った
今村准教授は同文庫藩政史料から始まる新しい日本史研究に着目。「熊本から変える、変わる日本史」の可能性について示唆した
熱心に質問する出席者の姿も