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内田いのべ会など6団体を表彰〜肥後の水とみどりの愛護基金

2019年10月8日(火)

  (公財)肥後の水とみどりの愛護基金(甲斐隆博理事長)と肥後銀行(笠原慶久頭取)は10月7日、第33回「肥後の水とみどりの愛護賞」表彰式を肥後銀行本店で開き、環境保全活動に取り組む県内6団体に表彰状を贈った。県、熊本日日新聞社との共催。
  甲斐理事長は「今年は32団体から応募があり、環境保全の取り組みは全県的に広がっています」と開会挨拶。同財団の取り組み紹介では、肥後銀行が所有する「阿蘇大観の森」(阿蘇市、52ha)で地下水涵養のため総計13万3千本の広葉樹の植樹を終え、今年は昨年追加取得した隣接する森6・6haで植樹を開始すること。水田湛水を目的に「阿蘇水掛の棚田」(同市)で行っている稲作は、阿蘇の草原から生まれる野草堆肥や焼酎かすを利用した肥料などを使った有機農法にこだわっていること。同行が平成26年に開始した「阿蘇グリーン定期預金」は、今年度2万3千人の預金者があり残高が2183億円と過去最高になったこと。同預金残高の一定比率を同行が昨年までに「阿蘇世界農業遺産基金」に累計6358万円を寄付したことなどを報告。審査委員長の嶋田純熊本大学名誉教授による選評、各受賞団体の活動内容をスクリーンで紹介した後、表彰式に移った。
  受賞6団体(所在地、代表者=敬称略、活動年数、活動概要)は以下の通り。@内田いのべ会(宇城市、西村秋二、6年、竹林伐採・草刈り・川底清掃・花壇整備などの河川敷美化、山道整備や下草刈りなど山の保水力向上など)ANPO法人いろね(南関町、稗島寛浩、6年、耕作放棄地を活用した米作り体験「田んぼの学校」、地域の高齢者からの依頼による荒廃竹林の整備など)B花園クリエイティブクラブ(宇土市、上村友男、5年、立岡自然公園の除草・植栽・雑木林整備、池の清掃など)C潟uリヂストン熊本工場(玉名市、藤田靖章工場長、8年、山鹿市と協働の森づくり協定を締結した「エコピアの森」の誕生と実績、地下水揚水量・排水処理量・CO2排出量の削減など工場用水のリサイクル化)D県立熊本工業高校工業化学科(熊本市、井上龍一校長、10年、江津湖の特定外来種植物を利用した産業排水・廃棄物に含まれる重貴金属の吸着素材としての活用研究、外来水草除草ボランティア活動参加、今後の計画としての江津湖・地下水・河川・海洋へのマイクロプラスチック影響調査)E県立南稜高校(あさぎり町、森山大介校長、15年、幸野溝・百太郎溝水路を巡るイベント企画による「世界かんがい施設遺産」の紹介と活用、自主的・継続的な水環境保全活動を推進する「水の宣言校」第1号認定など)。今回で表彰は345団体・個人となった。
  表彰終了後、総合地球環境学研究所副所長・教授で日本地下水学会前会長の谷口真人氏による「持続可能な社会へ向けた地下水の利用と保全」と題する講演もあった。(香月)

表彰式で「内田いのべ会」の代表に表彰状を手渡す甲斐理事長ら(10月7日、肥後銀行本店)
記念講演に耳を傾ける表彰式出席者
谷口氏は講演で「豊富な地下水データと研究、社会的共創の蓄積を持つ熊本は、地下水のローカルガバナンスの模範例となれる」と、持続可能な社会の構築に向けた“地下水都市・熊本“の貢献に期待を示した