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トンネル内の舗装工事着々・・・中九州横断道路「滝室坂道路」  

2025年6月2日(月)

 2026年度の開通を目指し、中九州横断道路の一部を形成する「滝室坂道路(延長6・3q)」の工事が急ピッチで進んでいる。
 同道路は阿蘇市波野小地野と同市一の宮町坂梨を結ぶ国道57号の新ルートで、「滝室坂トンネル」(同約4・8q)が大部分を占める。
 滝室坂は12年の九州北部豪雨で法面崩壊など11カ所が被災、40日間通行止めとなった。現在も200o以上の連続雨量で全面通行止めが実施され、大分〜熊本間のアクセスに大きな影響を与えているため、災害時の代替ルートとしても新たな道路整備が期待されていた。こうした背景から18年6月に着工。トンネルは本坑約4・8q、避難坑約4・9qを坂梨側(西工区=本坑2679m、避難坑3069m)、波野側(東工区=本坑2155m、避難坑1829m)に2分割して掘り進め、避難坑が22年9月、本坑が23年6月日に貫通した。本坑の掘削断面積は107u、幅員12mの2車線道路で、波野側から坂梨側にかけ標高差約200mの勾配(縦断勾配4%)がある。
 これまでトンネル全線の覆工工事が完了。現在、トンネル内では道路両脇に設ける監視員通路の工事や波野側から鉄筋を敷き詰め、「スリップフォームペーバ」を呼ばれる自走式施工機械を用いたコンクリート舗装工事が進む。また、坂梨側では国道57号と滝室坂道路をつなぐ県道213号(内牧坂梨線)の新しいバイパスが整備されており、そのバイパスまでを結ぶ坑口からの本線では地盤改良工事や道路の補強土壁工事、県道と農道を交差させるボックス工事などが進行中だ。
 一方、波野側では坑口から道の駅「波野」近くの国道57号と接続する本線の地盤改良工事が進んでいる。総事業費は約661億円。25年度予算は63億5千万円が計上された。
 滝室坂道路は24年5月17日、国土交通省熊本河川国道事務所がトンネルの覆工工事の完了の目途が立ったため、残る工事工程を精査した結果、「26年度の開通見通しとなった」と発表。同道路が開通すれば、災害時における信頼性の高い道路ネットワークの構築や走行性、安全性の向上、物流の効率化など産業の発展や地域活性化に寄与することが期待されている。中九州横断道路の県内区間は北側復旧道路の阿蘇西IC〜大津IC間(11・9q)に続き、2区間目の開通となる。(甲木)

▲コンクリートの供給、敷きならし、締固め、成型、平たん仕上げなどの機能を有する自走式施工機械「スリップフォームペーバ」を用いた舗装工事の現場
▲鉄筋を敷き詰めた路面にコンクリートを流し込む作業員。型枠が不要なため、省人化と工程短縮が図れるという
▲県が整備中の県道213号に接続するトンネル坑口(写真上部)に続く坂梨側の本線ルート(写真・熊本河川国道事務所提供)