トップ Companies くまもと経済EX 2007 厚さ10ミクロンの極薄フィルム開発   海外市場の開拓も本格化
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■製造・農業  ■電力・運輸・建設・不動産 
■情報通信・ICT関連  ■金融・保険・卸・流通・小売  ■飲食・サービス  ■医療・医療関連・教育 
製造・農業
厚さ10ミクロンの極薄フィルム開発   海外市場の開拓も本格化
リバテープ製薬
産学連携の研究開発型企業へ
杉山 宏治 社長
 1960(昭和35)年に設立されたリバテープ製薬梶i鹿本郡植木町、杉山宏治社長)。日本で最初の救急絆創膏(ばんそうこう)を開発したことで有名な同社だが、地元の研究施設、大学研究機関との知的ネットワークを構築し、現在では、医科・医療機関向けの商品開発、個人向けのオリジナル基礎化粧品、健康食品の開発・販売を手掛ける研究開発型企業へと飛躍を遂げている。


杉山 宏治 社長
宇城市小川町出身、1943(昭和18)年8月12日生まれ、63歳。67年同社入社、76年取締役営業部長。84年常務取締役、96年から現職
絆創膏の常識を覆す新商品
厚さ10ミクロンという極薄フィルムを使った「フレックスケア」
 これまでも多くの自社製品を開発・商品化してきた同社。杉山社長が「当社の製品群の中でも新たな目玉になり得る商品」と話す、極薄フィルムを使う新タイプの絆創膏に大きな期待が寄せられている。
 商品名は「フレックスケア」。10ミクロンという非常に薄い透明フィルムのため、柔軟性、伸縮性に優れており、貼付中の違和感がほとんどないというのが最大の特徴だ。防水性を持っており、貼り付けしたまま入浴・シャワーが可能で、外部からの細菌の侵入を防ぐことができる。また、1日あたりの水蒸気透過量が約3千g/uと従来製品の3倍の透過性があり、体内からの発汗などによるムレを抑えられるという。
 「フレックスケア」は個人向けだが、今年秋から医療機関向けにも同製品の販売を開始予定。量産化へ向け、菊池市七城町の熊本第2工場に総額2億円を投じ、大型絆機、カートナー機などを新たに導入、製造ラインの増強を図っている。杉山社長は「創傷面の被膜保護、注射針・カテーテルなどの穿刺部の固定や被膜保護に効能がある。これまで試験的に販売を行ってきたが、医療関係者からも非常に高い評価をいただいている。ムレない、かぶれないという特性は、これまでの絆創膏の常識を覆す新商品。特許も取得しており、国内はもちろん海外向けにも積極的に展開したい」と意欲を見せている。
全国5000施設で利用される個包装の消毒剤
大ヒット商品となった医療機関向け個別包装の外用消毒剤
 現在の売上約33億円(07年)の8割は医療機関向け製品が占める。中でも近年大きく売上を伸ばしているのが、02(平成14)年に製品化した医療機関向けの個別包装の外用消毒剤だ。
 院内感染防止や安全性向上の必要性から、個別包装で使い捨てできる同製品の需要は急速に拡大。これまでに「スワブパッド」「スワブスティック」「薬剤綿球」など使用用途に応じた製品を開発しており、現在、全国の国立大学や総合病院など約5000施設で利用されている。消毒剤の種類やサイズなど、医療現場からのより細分化したニーズに応じた新たな商品開発も進めており、今後も更なる市場の拡大を図っていく。
海外市場にらみCEマークを取得
 海外市場の開拓も積極的に進めている。今年3月には、ヨーロッパの商品流通には必須となっているCEマーク(安全性、有効性及び品質を確保するための基本要件を満足していることを示す統一マーク)を取得。同マーク認証の前提条件となる医療機器に特化した品質管理の国際規格ISO13485の認証も取得した。11月にはドイツで開かれる世界最大の医療用品国際展示会「メディカ」への出展を予定しており、日本でも実績を残している個包装の外用消毒剤など医療機関向け製品を中心に、ヨーロッパ向けの販路拡大を本格化させている。
 中国でも新たな市場開拓が進む。今年6月、中国・上海に常駐スタッフを置いた営業所を開設。自社開発の馬油を使った化粧品の販売を開始した。事務所開設に合わせ、上海伊勢丹で店頭説明員を派遣した販促キャンペーンを行うなど、中国に展開する日系百貨店の顧客をターゲットに高級商品として販売。今後は北京・天津などへも販売地域を増やしていく計画だ。
植物由来の化粧品「レフリエ」
クレンジングジェル、ローションなど5アイテムを商品化している植物由来成分の基礎化粧品「レフリエ」シリーズ
 また、商品化から3年目を迎えた植物由来のセルロースを主原料にした化粧品「レフリエ」の更なる浸透にも力を注ぐ。同製品は、今年3月に県工業連合会が選ぶ工業大賞のアイデア賞を受賞。昨年は(財)りそな中小企業振興財団などが主催する「中小企業優秀新技術・新製品賞」の優良賞・産学官連携特別賞を受賞するなど、各方面から大きな注目を集めている。
 「レフリエ」は、植物の主成分・セルロースを球状に加工したものに、保湿成分を加え、「モイスセル」という独自開発の保湿剤を配合。しっとり感とさらさら感という相反する使用感を実現した点が最大の特徴だ。30歳代以降の女性をメーンターゲットに、インターネットなどを使った直販部門も人員を増強。さらなる販売拡大を目指している。
“参画意識”高め組織活性化
 「全社員参加型の企業経営を行いながら、中小企業ならではのスピード感を持った企業体質を構築したい」と話す杉山社長。全体会議や社員研修などの機会を通じ、社員の“参画意識”を高めている。「全社員が参画意識を持つことで、自分たちで考え、変わっていこうとする企業風土ができつつある。企業としてのテーマを共有し、組織をより活性化させたい」と決意を語った。
企業DATA
[所在地] 〒861-0136 鹿本郡植木町岩野45
[TEL] 096-272-0631
[FAX] 096-275-1064
[資本金] 1億円
[設立] 1960(昭和35)年5月
[事業内容] 医薬品・医療機器・医薬部外品・化粧品・健康食品の製造販売
[年商] 約33億円(07年3月期)
[代表者] 杉山 宏治 社長
[従業員] 200人
[URL] http://www.libatape.jp
[E-Mail] info@libatape.co.jp
[出先] 本社・工場(鹿本郡植木町)、熊本第2工場(菊池市七城町)、東京営業所(東京都新宿区)、大阪営業所(大阪市天王寺区)、熊本営業所(鹿本郡植木町)、商品センター(菊池市七城町)

[採用情報]
●募集要項:薬剤師随時募集中(詳細は、当社webサイトまで)
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。