トップ Companies くまもと経済EX 2007 人・車・建築物、街全体に「やさしい」 調和を重んじた駐車場づくりを目指す
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■製造・農業  ■電力・運輸・建設・不動産 
■情報通信・ICT関連  ■金融・保険・卸・流通・小売  ■飲食・サービス  ■医療・医療関連・教育 
製造・農業
人・車・建築物、街全体に「やさしい」 調和を重んじた駐車場づくりを目指す
明工計装
電気工事業からメーカーへ
コイン式無人パーキングシステム「フラットパーク」
 1957(昭和32)年、はじめは家庭用電化製品の販売会社として設立された明工計装。徐々に販売だけではなく、電気工事や制御盤の製造を行うようになり、1981(昭和56)年には工場内の製造ライン機器制御盤の製造が本業となる。そのようななか、駐車場の入口に取りつける「バー式ゲート」の製作を受注したことをきっかけに、自動車の「ロック装置(車止め)」を開発するようになる。これが後に同社が試行錯誤を重ねて完成させた、無人パーキングシステム「フラットパーク」の原型なのである。1986(昭和61)年には“無人有料駐車場に関する新方式の開発と実用化”に対して「科学技術庁長官賞」を受賞し、無人パーキング事業への本格的な取り組みがスタートした。
 改良を重ねて完成型となった「フラットパーク」は、現在日本各地の無人パーキングに約300カ所、約3500台設置されており、有料駐車場はもとより各種施設(ホテル・マンション・レストラン・スーパーマーケット・病院など)の時間貸駐車場で幅広く活用されている。駐車場機器メーカーとしての位置を確立した同社は、さらなる「フラットパーク」の全国販売を展開していく心構えだ。
「フラットパーク」のオリジナル性
24時間管理システムが利用者のトラブルを解決
 特許登録済みでもある同社の代表製品「フラットパーク」は、「人にやさしい・車にやさしい」、また「建築物・街にやさしい」をコンセプトに開発された無人パーキングシステムだ。「フラットパーク」という名は、自動車のロック装置を下げた状態では地面とほぼ水平(フラット)になることから名付けられたもの。ロック板は鋳鉄製なので、堅牢で曲がり割れることはない。表面には亜鉛メッキが施してあり、車両と接触する部分はラバー(ゴム)製となっている。非常に洗練されたデザインだ。
 また「フラットパーク」は管理センターと電話回線でつながっており、トラブル時には強制解除などの迅速な対応が可能。平日昼間は自社で管理を行い、利用者の声を直接受け止めている。「お客さまへのアフターサービスとして、設置後の運営やメンテナンスを積極的に請け負いたい」と話す中山社長。製品とお客さまに対する愛情が滲み出ている。
 精算機は1台ずつ独立している「独立型」と、1ヶ所で料金を精算する「集中型」の2種類。これをベースに同社ではUD対応(障害者用)精算機も開発した。精算機下部の空洞スペースは、車椅子の方の足がひっかからないようにするためのもの。また硬貨投入口が受け皿タイプになっていたり、手すりがついていたりなど、障害者の方の利便性を追求したつくりとなっている。他にもスロット付き精算機などもあり、設計へのユーモアも忘れない。つまり「フラットパーク」は、利用者における快適な利用を最大限に考慮したシステムなのである。
「フラットパーク」がやさしい理由
 「フラットパーク」のコンセプト、「人にやさしい・車にやさしい」また「建築物・街にやさしい」とは、人の心や環境に配慮した製品づくりを心がけたいという、同社の製品理念である。
 「フラットパーク」の特徴の一つが、ロック装置の地面より上の突出部分が2センチしかなく、その名の通り「フラット(水平)」である点。入庫する際に装置を乗り越える違和感がなく、スムーズかつ安全に入庫できる。また利用者、特に高齢者や子供がパーキング内を歩く際、つまずいて転ぶなどの危険も防ぐ。これらの点で「人にやさしい」。
 もう一つの特徴が、車両と接触する部分がラバー製となっている点。ロックした状態で誤って車を動かしたとしても、車が傷つく心配がない。またロック装置をスムーズに乗り越えられるため、アクセルのふかしすぎによる事故も防止する。「車にやさしい」とはこのことである。
 さらに「フラットパーク」の凹凸のなさは、「建築物・街にやさしい」。無人パーキングで目立ってしまいがちなロック装置は地下に埋設されるため、空間をスッキリと見せ、周辺の景観を維持できる。例えばタイル張りの地面に「フラットパーク」を施しても、地下に埋設されて目立たないため、タイルの美しさを損なわせない。また亜鉛メッキが施されたロック装置は錆びにくく、時間がたっても老朽化しない。つまり建築物が持つイメージ、さらには街全体の持つ雰囲気を壊さないのが「フラットパーク」なのである。人、車、建築物、街全体が調和して共存できる空間を提供すること、これが同社の熱い志だ。
お客さまのニーズに応えた販売を目指す
中山 雄二 社長
 今後はメーカー直販を維持しながらも、OEM供給を手段として、手の届かない地域への全国販売も展開していく心構えだ。「その上でも綿密なコンサルティングを行うことを怠ってはならない」と中山社長は話す。設置環境の調査を行い、お客さまのニーズに合う場合のみ「フラットパーク」を推薦する。利益獲得だけを目的とせず、お客さまの要望に的確に応えた上で販売することが、信頼関係を築く方法とする明工計装。自社製品への愛着と真摯なサービス精神から生まれる販売方針なのである。


中山 雄二 社長
なかやま・ゆうじ 1961(昭和36)年2月9日生まれ、46歳。熊本県出身。趣味はテニス
第2、第3の「フラット」を
障害者用駐車場音声装置「フラットボイス」
同社の夢を担う「フラットファイブ」
 同社はJR水前寺駅の駐車場に障害者用駐車場音声装置「フラットボイス」を設置している。この「フラットボイス」とは、障害者用駐車スペースに車両が入ると、音声案内とランプ点灯で利用条件を告知するという機能を持つパーキングシステムだ。現在動力に太陽電池を採用した新たな改良に取り組んでいる。障害者の方の快適な利用を追求した、UD対応装置なのである。また「フラットゲート」という公園の入口などに設置する車両侵入防止装置も、実用化に向けて準備を行っている。
 同社のイメージキャラクター「フラットファイブ」の5人には、「フラットパーク」に続く新たなパーキングシステムを、第2、第3の「フラット」として多く生んでいきたいという、新製品開発への意欲が含まれている。人、車、建築物、街全体に「やさしい」駐車場づくりへのさらなる挑戦は続いていく。
企業DATA
[所在地] 〒860−0073 熊本市島崎2丁目1−7
[TEL] 096−352−0019
[FAX] 096−359−0548
[資本金] 2500万円
[設立] 1996(平成8)年4月
[代表者] 中山 雄二 社長
[従業員] 13人
[URL] http://www.meikokeiso.co.jp/

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。