トップ Companies くまもと経済EX 2007 安心・安全・ヘルシー軸に新たな食文化を拓く
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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製造・農業
安心・安全・ヘルシー軸に新たな食文化を拓く
潟qライ
“家庭での調理”をアウトソーシング
今年3月にオープンした泗水公園前店
 熊本・福岡・大分・佐賀の各県で弁当・惣菜店89店舗を展開する潟qライ(熊本市春日7丁目、平井浩一郎社長)。1968(昭和43)年の設立以来、車社会の到来をいち早く見越した郊外型店舗の展開、当時画期的だった24時間営業の開始など、時代に先駆けた事業展開を進めてきた。2001(平成13)年には売上高100億円を突破。従業員数は1600人を超え、名実ともに熊本の食産業のリーディングカンパニーとなっている。
 「外食と家庭で料理する食事の中間に位置し、出来上がったものを持ち帰って食べる」という中食産業は、働く女性の増加や単身世帯の増加などを背景に、急速に市場を拡大している。「時代が変わっても、人間が生きていく上での生活、つまり、食事をして睡眠をとらなければいけないことは変わることがない。“家庭での調理”をアウトソーシングする時代がやってきた」と話す平井社長。日本の伝統的な食文化を守りつつ、“HMR(Home Meal Replacement・家庭内の食事を代行する)企業”として、新たな食生活の時代を切り開いる。
都市型店舗“元気ダイニング”
都市型店舗のモデル店となる元気ダイニングヒライ帯山店
元気ダイニングでは、商品陳列ケースも低い位置に配置し、通路幅にもゆとりを持たせている
 「よりお客さまのニーズに合った店舗を」との視点から、旧型店舗のリニューアルを積極的に進めている同社。新業態の店舗開発にも意欲を見せる。
 昨年11月に リニューアルオープンした“元気ダイニングヒライ・帯山店”(同市帯山6丁目)は、都市型店舗のモデル店。04年にオープンした手作り惣菜専門店「元気もりもりダイニング」(同武蔵ケ丘)でのノウハウを継承・発展させたもの。12月には東町店(同健軍本町)も“元気ダイニング”としてリニューアルし、現在、3店舗を展開する。
 同店のキーワードは「食べて健康、食べて元気」。毎日店内で手造りする惣菜、おにぎりなどを提供する健康と安心・安全にこだわった惣菜専門店だ。主婦層や高齢者などをメーンターゲットに、健康志向を意識したメニューを増やしており、惣菜の種類は従来型店舗の2倍以上。女性向けにデザート類も拡充した。また、イートインスペースを拡大しているほか、内装は、“都会のオアシス”をコンセプトに木目調で心和む空間を演出している。
 さらに、今年7月には同市水前寺1丁目に新業態のバイキング惣菜・できたて弁当の持ち帰り専門店を出店。より小さな商圏を想定したコンパクトな店舗となっており、新たな“街中店”の開発にも意欲的に取り組んでいる。
地域特性に合わせた店舗づくり
山小屋風の外観が特徴的な阿蘇郡南阿蘇村の立野店
 観光地などでは、地域特性に合った特徴的な店舗づくりも進めている。上天草市大矢野町の大矢野店では、リニューアルに合わせ、店内に焼きたてちくわの製造直売を行う「ちくわ工房」をオープン。製造ラインをガラス張りにし、見学可能にしているほか、土産品コーナーを拡充し「海の駅・サザンどりーむファクトリー」として営業を行っている。
 また、阿蘇郡南阿蘇村の立野店も大幅にリニューアル。外観を山小屋のロッジ風にしたほか、イートインコーナーでも定食を強化。たかなめし、だご汁などのオリジナルメニューを提供している。両店舗ともリニューアル以降、家族連れなど観光客の来店が大幅に増加している。
BDF再生へのシステムづくり推進
熊本市春日7丁目の熊本本社・工場
 環境保全を意識し、これまでもムダを省いた簡易包装、生ゴミの肥料化、消滅型生ゴミ処理機の導入などを図ってきた。
 環境に対する新たな取り組みとして、現在、今年秋からの運用開始を目指し、店舗から出る廃食用油などをバイオディーゼル燃料(BDF)に再生するシステムづくりを進めている。
 同社では、廃食用油の回収・再生はもちろん、グリストラップと呼ばれる油溜め槽に流される排水に混じる油も、新たに設置する「油分分離装置」を使って効率的に回収。回収した油は、専用のプラントを持つ業者が回収・再処理して、BDFを精製する。
 今年5月、県や大学、民間企業などが共同で、この廃食用油のBDFに再生するシステムを柱とした「くまもとECO燃料拡大推進研究会」が発足するなど注目度も高く、同社もシステム確立に向け注力していく方針だ。
人にも環境にもやさしい食べ物を提供
平井 浩一郎 社長
 今後に向けて、地産地消の取り組みを本格化させることを目的に、社内に農業法人準備室を立ち上げているほか、従業員の福利厚生のさらなる充実を目指し、出産祝い金の大幅な増額を行った他、託児所利用者に対する補助なども検討している。
 家事の省力化が進む中、さらなる成長が見込まれる中食産業。平井社長は「安全でおいしい、人にも環境にもやさしい食べ物を提供し続けたい。独自の安心・安全・ヘルシーを軸とした商品戦略、個人の能力を最大限引き出す人材戦略、デパ地下を始めとした店舗展開戦略を武器に積極的な事業展開を行っていく」と抱負を語った。


平井 浩一郎社長
ひらい・こういちろう 1956(昭和31)年5月29日生まれ、51歳。熊本市九品寺出身。ロイヤル梶Aカネミ食品鰍経て、82年同社入社、98年5月から現職。趣味は読書、絵画、音楽、スポーツ
企業DATA
[所在地] 〒860-0047 熊本市春日7-26-70
[TEL] 096-324-3666
[FAX] 096-326-4115
[資本金] 2億7330万円
[設立] 1968(昭和43)年5月
[事業内容] 弁当・惣菜・サンドイッチ・おにぎり
[年商] 約111億円(07年3月期)
[代表者] 平井 浩一郎社長
[従業員] 1700人
[URL] http://www.hirai-wa.com
[関連企業] どんどんライス(熊本市・福岡県筑後市) ワイドリサーチ(熊本市) ヒライパッケージ(熊本市) サン・トップ運輸(熊本市・福岡県筑後市)

[採用情報]
●募集要項:新卒・既卒積極採用中。
●問い合わせ先:詳細は当社webサイトまで
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。