トップ Companies くまもと経済EX 2007 「原点」に戻り業務の高品質化を進め 新たな市場開拓に挑戦
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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「原点」に戻り業務の高品質化を進め 新たな市場開拓に挑戦
熊本交通運輸
8月に新会社 熊交エクスプレス鰍設立
益城物流センター
本社
 1972(昭和47)年に誕生した熊本交通運輸梶i上益城郡益城町、住永金司社長)は、「長距離輸送」、「倉庫」、「専属専門輸送」を事業の柱として、着実な成長を遂げている。
 同社は今年8月をメドに本社を分社化し新たに熊交エクスプレス(株)を設立する。資本金は300万円で社員は熊本交通運輸から転籍し、約60人でスタートする。業務は長距離輸送専門に特化し、熊本交通運輸を支えてきた事業の柱の一つを担うこととなる。住永金司社長は「一つは改正省エネ法に沿った対応で、業界全体が厳しい中、業務を特化させて一層のキメ細かなサービスの提供と新たなニーズの開拓を行いたい」と分社化の理由を説明する。
 業界を取り巻く環境は、軽油価格の異常な高騰、各種法令・条例の度重なる変更、輸送単価の下落など、厳しい状態が続いている。そんな中、同社の07年3月期決算の売上高は、グループ全体で約90億円を達成した。「業界を巡る状況が厳しい中、これまでの業務を見直し、無理をせずに従来の仕事を丁寧に実行し、事業の品質強化を図った結果ではないでしょうか」と住永社長は振り返る。
グループ全社員対象の安全推進大会を実施
グループ全社員対象に実施した安全推進大会
 この事業品質強化の一つとして、同社では今年2・3月にグループ全社員を対象にした安全推進大会を実施した。これは近年の貨物自動車関連法案の改正、悪質違反・重大事故の続発による罰則強化などを踏まえ、社員の遵法精神の涵養と安全意識の高揚を目的として実施。熊本大会、福岡大会、八代大会と3回開いた大会には、社員約500人と協力会社13社が参加した。大会では住永社長が安全マネジメント、改正省エネ法など関連法規に、真摯に取り組む重要性や飲酒運転の撲滅、コンプライアンス意識の向上などを訓示した。住永社長は「各種法令・罰則の強化により、個人の過失が企業の存続に関わる事態になってきています。また改正省エネ法による荷主様からの要望も高度化しています。社員にこれらの状況を周知徹底してもらうとともに、荷主様の要望に対応できる体制整備に全社一丸となり取り組んでいきたい」と、さらなる品質強化に意欲的だ。
国内10拠点で顧客ニーズに対応
広島営業所
 同社は1978年に熊本輸送団地内に入居後、1980年に同地に初めて倉庫を建設。1994年、97年には八代市港町、同鏡町に相次いで建設し、2001年益城町に、同社物流部門の要ともなる益城物流センター(総面積7500u)を開設した。さらに一昨年10月には嘉島南工業団地、昨年4月には広島県三次市のみよしハイテク団地に相次いで倉庫を設置、また昨年11月には沖縄県那覇市に沖縄営業所も開設。全国に10拠点を配置したほか、福岡営業所を福岡熊交汲ニして分社化し、北部九州での営業拠点として位置付けている。6月からは東京事務所のスタッフを増員し、大都市圏での営業活動も活発化させる予定だ。
海外からの評価も高い精密機器の一貫輸送事業
精密機器運搬の専用車両
環境に配慮し天然ガス車も導入
 住永社長は「当社の倉庫業は単なる倉庫ではありません。基幹の運輸事業から派生した事業なので、どの倉庫でも24時間の入出庫が可能です。さらに商品保管・管理など、荷主様のニーズに的確に対応できます」と同社の倉庫事業の特徴を説明する。中でも益城物流センターを起点に行っている精密機器の一貫輸送は、大きな伸びを続けている。同社では半年以上の期間をかけ、同事業に携わる人材を育成したほか、専用車両(13トン・総輪エアサス・空調、落下防止パワーゲート、GPS搭載など)を導入。デリケートな商品に対し、安心できる輸送・荷扱いの豊富なノウハウ、そして最適な据付・レベル調整までの一貫した作業などが評価され、半導体製造装置、同検査装置、各種医療機器と、取り扱い内容も多岐に渡ってきた。取引先も、国内はもとより韓国、台湾、北米にまで拡大している。「倉庫には積極投資を行いたい」と話す住永社長は福岡、鹿児島での拠点整備に取り組み、九州内の拠点の組織化を進める。さらに「県内にも大規模な新しい倉庫を開設したい」と意欲的だ。
観光バス事業、タクシー事業にも参入
ラッピングバス
今年中から本格的に始動するタクシー事業
 同社では本業に付随した新規事業にも着手している。昨年4月からは観光バス事業に参入。熊交観光バス鰍設立し、大型(53人乗り)4台、中型(29〜34人乗り)3台、マイクロバス1台を保有。うち4台には熊本城築城400年のラッピングを施し、観光振興にも一役買っている。また熊交観光バスは今年4月からタクシー事業にも参入。現在、益城町広崎に事業所の開設を進めており、秋口からの本格稼働を目指している。
裾野が広がる「4PL」事業
 同社では現在、4PL(フォース・パーティ・ロジスティクス)事業への取り組みも着実に進んでいる。「4PL」は優れた「3PL(企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービス)」のノウハウを持つ物流企業が、別の物流企業にそのノウハウを伝授すること。すでに、社員に独自研修を実施し“提案営業”を展開している同社では、現場で集めた情報を基に、それぞれ取引先独自のロジスティクスを開発している。「他社がやらないからやっているだけ」と笑う住永社長だが、同社の4PL事業は荷主側からの評価も高く、着実に裾野を広げている。
 「原点に戻ろう」を目標として掲げる住永社長は「お客様の繁栄が当社の繁栄につながると考えています。そのためにも一層“仕事の質”を磨きたい。そして物流を通して地域の発展に貢献したい」と、さらなる業務品質の向上に向け、新たなステージに臨む。


住永 金司 社長
すみなが・きんじ 上益城郡御船町出身、1947年5月15日生まれの60歳、熊本商業高校卒。72年熊本交通運輸鰍設立。熊本トラック運輸事業協同組合理事長、社団法人熊本県トラック協会理事、益城町商工会会長
企業DATA
[所在地] 〒861−2212 上益城郡益城町黒石崎2240
[TEL] 096-286-2304
[資本金] 9,000万円
[設立] 1972年4月
[事業内容] 一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫業、通運事業、産業廃棄物収集運搬業、バス事業、タクシー事業
[年商] 90億円(グループ)
[代表者] 住永 金司 社長
[従業員] 606人(グループ)
[URL] http://www.kumako.co.jp/
[出先] 東京事務所、中部(三重)営業所、広島営業所、福岡営業所、益城物流センター、八代支店、鏡営業所、鹿児島営業所、沖縄営業所
[関連企業] 熊本旭運輸求A熊交観光バス梶Aサンコー・コミュニケーションズ梶A福岡熊交求AKMKコーポレーション

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。