トップ Companies くまもと経済EX 2007 50余年の実績踏まえ第二の創業期 サービスの基本に立ち返るとき
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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電力・運輸・建設・不動産
50余年の実績踏まえ第二の創業期 サービスの基本に立ち返るとき
昭和タクシー(資)
サービスの原点見据えタクシー業務を遂行
国道3号沿いの日吉営業所・配車センター(熊本市近見1-4-11)
シンボルマークのバルーンを鮮やかなパステルグリーンでデザインした小型車
 「“確実・安全・迅速”を誠実に実践していくことが当社の使命。人命を輸送しているという強い意識を全社員が共有する取り組みを、今後も継続していきたい」
 1955(昭和30)年4月熊本市野田で創業し、熊本市南西部を中心に事業を展開する同社。角谷キヨ子前社長(現会長)の後を受け経営の指揮を執る角谷社長は、創業52周年を迎えた今年を第二の創業期と位置付け、「基本中の基本に立ち返り、タクシー業務を遂行していく」と、サービスの原点への回帰路線を継承する。
 2002(平成14)年2月にタクシー業界の規制緩和が始まって以降、既存業者による増車や他業種からの新規参入などを背景に、タクシー車両は一気に増加。客待ち車両の違法駐車や不当な料金値引きが横行した。営業環境が劇的に変化する中、「タクシー事業者の倫理観が問われている。規制緩和でサービス原理が働けばいいが、単なる価格競争の原理は好ましくない」と警鐘を鳴らす。
タクシーの利用促進視野に料金改定を検討
 中央でタクシー運賃の改定(値上げ)が行われ、一般論としても、料金値上げは必須と言われている。角谷社長は「顧客に選ばれるためには、支出に見合う、またはそれ以上のサービスを提供することが不可欠」と言い切る。可処分所得が伸び悩み、タクシー代が削減される時勢の中、タクシー利用に対する消費をいかにして促していくかが、生き残りのカギとなる。同社は、初乗り料金を現状より低く抑え、近距離からの利用を促進する方向で料金改定を検討するという。「タクシー利用を促進できるような接客、そして営業体制の構築が必要。経営体質がしっかりしていれば、上質の乗務員が集まり、上質のサービスも提供できる」と、その効果に期待を寄せる。
乗務員の労働環境整え事故防止に尽力
 同社は、毎月1回全体会議を開き、過去の事故分析や、苦情の事実報告と原因の分析、その対応策を検討している。快適な移動空間を提供する前提となる交通事故防止に関しては、乗務員一人ひとりがその意識付けを強く行うことで、交通事故の減少につながっているという。さらに、サービスを提供する乗務員自身への配慮も忘れない。長時間勤務が日常的と言われる同業界にあって、所定労働時間内での労働体系を堅持。乗務員の過労防止に資するため、始業・終業時間を厳守することで労働集約型の質の向上を図っている。
ポイントカード・運転代行が定着新規顧客の開拓に意欲
 同社が取り組む顧客確保策の一つが、ポイントカードサービス。乗車料金500円ごとにポイントカードにスタンプを1個押し、スタンプ20個で乗車券500円分を提供するというもの。ポイントがたまったカードを本社に送付または直接持参した顧客に対し、乗車券を提供する。その際に収集した顧客データは、マーケティングの材料として活用し、さらなるサービスの向上に反映させることで利用者に還元している。2000年12月にスタートした同サービスも今年で7年目に入り、利用者の認知度も高まりを見せている。
 人員輸送のプロとして、サービスの幅を広げたのが運転代行サービス。得意先からの強い要望を受け、2002年4月に開始した同サービスでは、タクシー車両をそのまま運転代行車両として利用。タクシー業務と同じく競争相手が多い事業ではあるが、創業以来培ってきた“確実・安全・迅速”というアドバンテージを十分に活かし、24時間体制で事業を行っている。配車の迅速さはもとより、全車代行運転保険に加入し、キャリアを積んだプロドライバーが運行するという安心感、安全性が奏功。「サービスの純度が高い」などという顧客からの評判にも支えられ、今後も固定客の創出と新規顧客の開拓に取り組む構えだ。
“地域で最も信頼されるタクシー会社”を目指して
弾力性に富んだサービスと会社経営をバルーンで表現したロゴマーク
角谷 安宣 社長
 同社の売り上げは近年増収傾向で推移しており、利益額も、燃料代の値上げが計画利益を吸収し微増にとどまってはいるものの、増益を維持している。同業者が乱立する中で、他社との差別化については「当社に対し利用者がどのような印象を持っているのかを、まず見極めなければならない。結果的に当社を利用していただき、増収増益を確保できているということは、他社との差別化を利用者自身にしていただいている証なのでは」と謙虚に語る。
 “地域で最も信頼されるタクシー会社”を標榜する同社は、今年3月、新入学児童をはじめとする小学校児童の事故防止に役立ててもらおうと、地元の各小学校への寄付を行った。8月15日に行われる川尻地区の伝統行事・精霊流しでは、同実行委員会への協力を長年にわたり継続している。「地元とのつながりを大切にしていきたいという思いから、これらの貢献活動を行っている。地域の皆様に育てていただいた企業として、今後も地域のお役に立てるよう努力したい」― 地元の立場に立った企業運営に努める姿は、タクシー利用者の立場からサービスの在り方を模索する同社の姿勢そのものだ。


角谷 安宣 社長
かくたに・やすのぶ 1952(昭和27)年12月19日生まれの54歳。角谷キヨ子会長の長男。熊本市花畑町出身、熊本商科大学中退。趣味は登山とクレー射撃。熊本南地区安全運転管理者等協議会会長、熊本南地区交通安全協議会副会長、熊本県警察官友の会熊本南支部理事。
企業DATA
[所在地] <本社>〒861-4114 熊本市野田2-5-6
[TEL] 096-357-9678
[FAX] 096-352-0289
[設立] 1955(昭和30)年3月
[事業内容] 一般乗用自動車旅客運送事業(タクシー業)
[代表者] 会長:角谷キヨ子 社長:角谷安宣
[従業員] 132人(管理部門:男10人・女2人、乗務員:男116人・女4人)
[URL] http://www.showa-taxi.co.jp
[E-Mail] info@showa-taxi.co.jp

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。