熊本の明日を拓く未来創造企業　１００の戦略

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製造・農業

人々の熱き思いと芸術が奏でる日本最大級の工場内庭園

横場工業㈱

西日本唯一の専用岸壁を有するプラント工場

　国の重要港湾ならびに貿易港として繁栄する八代港域海面に、ひときわ目を引く『専用岸壁』を有する企業が横場工業㈱（八代市新港町、江崎拓茂社長）である。
　同社は総面積約４万㎡という大規模な工場敷地で、産業プラントの企画・設計・製作・据付・制御・試運転・メンテナンスまでを総合的に施工できる事業体制を確立している。溶接技術や据付技術を基礎とした高い技術力と、最新設備で創出する品質の確かさには定評があり、これまで数多くの実績を残してきた。西日本唯一の専用岸壁を持ったプラント工場としての特色である水陸両方に合理的で充実したフットワークを最大限に生かし、国内をはじめ、海外に向けてネットワークを拡大している。
　また、近年は新分野への進出にも積極的で、あらゆる分野で培ってきたエンジニアリングノウハウを用いたシステムを構築、ユーザーのニーズにあったオーダーメードの自動化・省力化装置などを提案する。

創業者・横場一馬氏の熱き思い

　初代社長である故・横場一馬氏が1943（昭和18）年に同社を創立して60余年。この期間は国内の重工業にとって、重厚長大～停滞期まで経験する激動の時代だった。もちろん、同社も直面し乗り越えてきたわけだが、それも横場初代社長が持つ事業拡大への先見の目とリーダーシップ、社員への思いやりからなる経営理念があったからこそともいえる。
　３代目・江崎社長は、同氏との思い出を感慨深げに振り返る。「初代社長にとって会社は我が家。会社＝家庭、社員＝家族・子供であり、それらを守り、皆を幸福にしていくことが自らの使命であり喜びだったようだ。私財を投げ打ち、身を粉にして私たちを育ててくれた。創業者として、そして父同様の人格者として尊敬してやまない」と。

石内義夫社長との出会い

　江崎社長は就任当時、人生観を変える人物・石内義夫社長と出会った。同社長は広島県呉市で㈲呉緑化センター、鹿児島県で㈲世界一温泉を営みながら、40数年間福祉に尽力しているという人物だ。今では江崎社長が『人生の師』と仰いでいる。「初対面で『なに、３代目、偉くなりなさんな。立派になりなさいよ』と教えられた。以来、人間的な魅力に引かれ、人生の教訓や礼儀作法などを教えていただいている。江戸時代の名藩主・上杉鷹山は“学問のための学問でなく、実際の生活の行動に照らした学問が必要”と説いている。同師の下で学ぶのは、まさに日常で実際に起こる行動に照らした勉強会であり、ことわざにある“他人の振り見て我が振り直せ”ということ。これは、経営における人材育成に直結していると考える。企業体質を変えるには社員教育が最も重要で、意識改革が基本になくてはならない」と江崎社長は石内社長の教えの意味を語る。現在では社員研修などで鹿児島を訪れ、社員一同学んでいるようだ。
　

八代に誇る日本最大級の工場内庭園に

　横場初代社長の理念を維持・継承している江崎社長は、会社＝家庭ならば憩いの場＝庭が必要だという発想で、このほど『一馬庭園』と命名した工場内庭園を建設した。“心和み皆が笑い集える庭園”が設計コンセプトだ。また、地域住民に憩いの場を提供するという社会貢献の一環という意図も含む。施工は石内社長に依頼、伊予の青石をはじめ、高知の赤石、奇岩石、鳥海石、木化石などの名石の数々、本キリシマ、花水木、陽光桜、しだれ梅、こぶしなどの四季折々で楽しめる木々が、敷地内に所狭しと立ち並ぶ。豪華かつ和テイストのオアシスともいうべきだろうか。来訪者のためのラウンジ的なスペースも設けており、庭園を見ながらお茶を味わうこともできる。
　江崎社長は「庭は芸術であり心が表れるもの。芸術（造園）は作家に惚れ、作品に心を観るという。石内社長に寄せられたお客さまの感想文も読み、それに倣ってデザインなどすべてを石内社長にお任せした。庭づくりを通し、社員一同さまざまなことを学んでいきたい。さらには、地域の方々気軽にお越しいただける庭園にしていきたい。庭園づくりはまだ始まったばかり。八代が誇る日本最大級の工場内庭園に創り上げていく」と意気込みを話している。

企業DATA

[所在地]　〒866-0034 八代市新港町1-6

[TEL]　0965-31-3200

[FAX]　0965-37-0332

[資本金]　2520万円

[設立]　1943（昭和18）年4月

[事業内容]　一般産業プラント、設計、製作、据付（各種サイロ、タンク、搬送・環境設備など）、省力化機器、企画・設計、製作（自動機、ロボットなど）

[代表者]　江崎拓茂

[従業員]　200人

[URL]　http://www3.ocn.ne.jp/~yokoba/

[出先]　興人出張所〒866-0881 八代市興国町1-1、日本製紙出張所〒866-0823 八代市十条町1-1

[採用情報]

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※この記事内容は、くまもと経済ＥＸ：2006年7月1日発行分の掲載内容です。

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