トップ Companies くまもと経済EX 2007 熊本を支える金融機関として、 品質のトップバンクを目指す
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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金融・保険・卸・流通・小売
熊本を支える金融機関として、 品質のトップバンクを目指す
肥後銀行
「新世紀 第三次中期経営計画」を実施中
 県境を越えた金融機関の経営統合や不良債権処理を終えたメガバンクの攻勢、今年10月に実施される郵政民営化など、地域金融機関の競争環境が大きく様変わりしている。こうした中、熊本のリーディングバンクである肥後銀行(小栗宏夫頭取)は、06年4月にスタートさせた「新世紀 第三次中期経営計画」に、全行一丸となって取り組み、着々と金融の新局面への適応力を強化、高度化させている。今回の第三次中計では、「風土改革と構造改革による企業理念の実現」と「お客様との接点強化による地域密着」を基本コンセプトに掲げて、同行の企業理念である「お客様第一主義の実践」と「豊かな地域社会への積極的な貢献」の実現を目指している。
3つの“M”を重点項目に
 第三次中計の基本コンセプトの一つである「構造改革」では、3つのM(マネジメント戦略、マーケティング戦略、マンパワー戦略)に重点をおいた営業施策で地域密着を進めている。
 マネジメント戦略は、組織体制の整備、役割と責任の明確化、行内インフラの整備などを進め、顧客の利便性向上につながる積極的な投資を行うなど、最適な金融サービスを提供する枠組みを整備している。
 マーケティング戦略では、3S運動(スマイル・サービス・ソリユーション)を展開し、顧客との接点強化に努めていく。また法人、個人取引分野をセグメントして対応策を進めており、法人戦略の強化では、本店営業部に法人営業部を新設して事業資金の貸し出しを強化。さらに営業統括部情報営業グループを核とする情報営業態勢の整備を行い、経営支援やビジネスマッチングなどのコンサルティング業務を拡充している。マッチング業務としては、2007年3月には社団法人熊本県物産振興協会との共催で、「くまもと“食”の商談会」を開催、販路拡大の支援を行ったほか07年5月には、業務協力協定を締結している農林漁業金融公庫熊本支店と共同で、潟Cンフォマート(東京都)との連携による同社運営ホームページ上に「熊本食材市場」を開設するなど地場企業の振興や地域活性化の支援に取り組んでいる。
 地元企業のニーズに応えるため各種セミナーや交流会なども随時開催して情報提供も行っている。上海駐在員事務所をはじめ県外支店でも、業種ごとの取り組みを強化し、福岡支店・福岡事務所の情報提供機能・市場分析機能強化などの施策を通じて事業資金貸出の増強に努めている。06年9月にリテール分野に特化した専門部署として県内金融機関で初となる「ビジネスローンセンター」を熊本市安政町に新設、小口事業資金貸し出し強化にも着手した。
 個人取引対策では、住宅資金や自動車ローンなど個人向けローンを取り扱う「ローンプラザ」の県内6店舗態勢(砂取、子飼橋、八代田中町、流通団地、荒尾緑ヶ丘、光の森)を構築した。新型複合店舗としてリニューアルした上通支店には、金融情報の発信拠点「フィナンシャルプラザ上通」を新設、資産運用や個人ローンの相談受付、最新金融情報を提供し多様化する個人ニーズに応えている。
 3つ目のマンパワー戦略では、コミュニケーション能力や専門能力を備えた人材育成に向けたキャリア別育成プログラム、キャリア選択制度などを導入した。さらに全行的なITスキルのレベルアップにも取り組んでいる。
利便性向上のためチャネル整備を進める
2月13日に「光の森支店」がオープンした。支店2階はローンプラザ光の森となっている
明るい1階の店内(光の森支店)
 同行では、地域の顧客に対する利便性の向上のため店舗の移転・リニューアルも活発だ。浜町支店(山都町)の新築移転、07年2月には「光の森支店」を移転新築した。この光の森支店は全自動タイプの貸金庫300庫と、県内金融機関の店舗では初となる「太陽光発電」を採用している。さらに今年7月には天草支店を移転新築、9月には上益城郡嘉島町に新店舗を予定するなど、「より身近で、安心・便利な肥後銀行」を実現するためチャネルの整備を進めている。
豊かな地域社会づくりに注力
水源涵養林の整備・保全のため植樹をしている「阿蘇大観の森」(阿蘇市小倉牧ノ内)
崎元達郎熊本大学学長(左)へ目録を贈呈する小栗宏夫頭取
 銀行業務に加えて、同行では環境保全や福祉・文化活動への支援など豊かな地域社会づくりにも力を注いでいる。財団法人「肥後の水資源愛護基金」とともに水資源保全活動への顕彰活動やシンポジウムの開催、水源涵養林の育成など幅広い活動に取り組んでいる。九州の金融機関として初めて、2004年に環境ISO14001の認証を取得するなど全行を挙げて環境負荷の軽減に取り組み成果を上げている。
 平成19年度より、熊本大学大学院医学薬学研究部に「感染制御学(肥後銀行)寄附講座」を設置した。HIV(エイズ)ウィルス、成人T細胞白血病ウィルスなどのレトロウィルスの感染機構を研究し、感染を制御する研究内容となる。また、熊本県立大学との協力講座を開講し、同行と地域流通経済研究所から講師を派遣するなど地域の教育機関への支援も積極的に行っている。
地元銀行としての使命を果たす
小栗 宏夫 頭取
 同行の19年3月末での総預金残高は、前期末比610億円増の3兆1,986億円(増加率1.9%)となった。この内、熊本県内の総預金残高は2兆9,926億円で、全体の93.6%を占めている。また、総貸出金は、地元中小企業や公共団体のほか個人に対して積極的に対応した結果、前期末比405億円増加し、期末残高2兆1,123億円(増加率2.0%)となった。熊本県内向け貸出金残高は1兆6,162億円で、全体の76.6%を占めている。こうした点からも同行の地域社会に対する積極的な姿勢が見て取れる。「肥後銀行は、お客様、地域との関係を一層強固なものとし、第三次中計を通して健全性と収益性を兼ね備えた品質(クオリティ)のトップバンクを目指します」と語る小栗頭取。地域経済の発展と地域社会への貢献という地元銀行としての使命を果たすべく、着実に取り組んでいる。


小栗 宏夫 頭取
おぐり・ひろお 1941年8月24日生まれの65歳。65年東京大学法学部卒、同年富士銀行入行。鎌倉、恵比寿、銀座支店長を経て92年5月取締役。95年常務取締役。98年4月肥後銀行に相談役として入行。同6月専務(代表取締役)、2000年6月副頭取(同)、01年6月頭取就任。熊本経済同友会代表幹事ほか公職多数。
企業DATA
[所在地] 〒860-8615 熊本市練兵町1
[TEL] 096-325-2111
[資本金] 181億円
[設立] 大正14年
[事業内容] 普通銀行業務
[代表者] 小栗 宏夫 頭取
[従業員] 1,987人
[URL] http://higobank.co.jp

[採用情報]
●問い合わせ先:当社のホームぺージをご覧ください。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。