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くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
地域に根づいた弁護活動と共に 若手企業のサポートを実践
田中ひろし法律事務所
玉名に公設事務所を設立したきっかけ
玉名警察署のそばにある田中ひろし法律事務所
田中裕 弁護士
 玉名・荒尾地区を中心に、県北の広範囲に渡って弁護活動を展開している田中ひろし法律事務所。2004(平成16)年9月に公設事務所(玉名ひまわり基金法律事務所)として開設。そして今年1月には「田中ひろし法律事務所」として経営を始めた。  
 「弁護士が少ない地域で活動したいという意識が徐々に芽生えてきた」と語る田中弁護士。玉名・荒尾地区は17万人を超える人口を有するが、弁護士が一人しかいなかった。もともと福岡の法律事務所に勤務し、悪徳商法対策、薬害肝炎などの弁護団、敷金問題の研究会などに力を入れていた田中弁護士は、消費者事件を通して弁護士過疎地域(弁護士ゼロワン地域)でさまざまな被害が多発していることを懸念し始めたそうだ。特に福岡の久留米地区から熊本市までのエリアには弁護士が少なく、広範な弁護士過疎地域であった。「困っている人の所に弁護士から出向いていくこと」をモットーに掲げ、玉名を弁護士業務の基盤地域とした新たな活動をスタートしたのである。


田中 裕司 弁護士
たなか・ひろし 菊池市出身。1971(昭和46)年6月20日生まれ、36歳。済々黌高校─九州大学教育学部卒。98年司法試験合格、2000年福岡県弁護士会登録。福岡の弁護士事務所に勤務後、玉名ひまわり基金法律事務所に赴任。今年1月、「田中ひろし法律事務所」に名称変更。趣味はゴルフ、食べ歩き。
地域の問題解決に貢献できる法律事務所
トラブルを未然に防ぐためのアドバイスに努めている
 法的相談のニーズが多い玉名、荒尾地区。多重債務、悪徳商法などの民事事件、窃盗、飲酒運転などの刑事事件と、多種多様な事件が起こっている。高齢者が多い地域でもあるため、一人暮らしの老人を狙った事件が後をたたず、泣き寝入りする人も少なくない。その割に弁護士が少なかったせいもあり、被害者にとって弁護士が身近な存在ではなく、弁護士への相談が問題解決の手段となっていなかったため、誰に相談してよいかわからない人も多かった。また法律事務所に対する「敷居が高い、近寄りがたい、弁護士に相談することではないかもしれない」という先入観から、弁護士訪問を躊躇する人もいたようだ。
 そこで田中弁護士が努めたのが、「新しい法律事務所、新しい弁護士のイメージを伝えること」。玉名のFMラジオで毎週法律談義のコーナーに出演した際は、地域の方に向けて弁護士の仕事内容やトラブルを未然に防ぐための簡単な知識などについて説明したり、相談に来てほしいということをアピールしたりなど、身近で親しみやすい存在としての弁護士像を伝えた。
 他にも地域住民の方が催す勉強会、講演会などにすすんで参加したり、地元の高校での法律教育授業で講義したりと、地域住民との交流を図ることにいそしんでいる。地域に根づいた活動に積極的に取り組むことで、弁護士をより身近な存在に、法律事務所をより訪れやすい場所へと変化させているのである。
新しい形の総合事務所へ
的確かつスムーズに債務整理の処理などが行われるオフィス
田中ひろし法律事務所のロゴマーク。六法辞書をイメージした明るく親しみやすいデザインで、知識や経験を積み重ねていくという意味が込められている
 今年1月からの個人事務所としての経営は、業務形態を拡大するためのものと言える。一つに他の弁護士過疎地域への法律事務所設置という目標だ。将来的には弁護士を増員し、水俣などの弁護士過疎地域への支店設置を目指す。そしてもう一つの目標が「若手企業への法的サポート」である。
 熊本でも近年増えつつある若手企業にとって、リスク管理は重要な問題だ。しかしトラブル後に弁護士に対処を依頼するのが一般的である今日、特に若手企業にとって弁護士が身近な存在であるとは言えないだろう。今こそトラブル予防に重点を置いた、日常的に相談できる法律事務所が求められているのだ。
 そこで田中弁護士が考えるのが「ワンストップサービス」。他の専門職や企業コンサルタントの方と手を組んで、連携しながら仕事をする。つまり隣接した場所(同じビル)でタイアップして、相談者の問題を解決するのだ。相談者は一つの場所でさまざまな相談ができるため、相談所を探したり移動したりする手間が省ける。何より一つの企業に対してさまざまな角度から総合力を発揮して解決にあたれる点で、大きな信頼感、安心感を与えられるのは間違いないだろう。現在も若手企業をバックアップするような法律相談を行っており、近々企業プロモーションを行う潟Xリーアイプロモーションズと連携した形で事務所を新設する予定もある。
 「これまで消費者事件を多く扱ってきた経験を生かして、若手企業には消費者の視点にたった経営についてアドバイスしたい。未来の熊本を担う若手企業をサポートすることは、熊本の明るい未来につながる」と語る田中弁護士。何かトラブルが起こったときの顧問だけではなく、若手企業のベストパートナーとなるべく、新しい法律事務所像の創出を目指す。
企業DATA
[所在地] 〒865-0016 玉名市岩崎74-1とくながビル2F
[TEL] 0968-76-8861
[FAX] 0968-76-8862
[設立] 2004(平成16)年9月
[事業内容] 民事・刑事・家事・企業法務
[代表者] 田中裕司 弁護士
[従業員] 3人
[E-Mail] thl@wish.ocn.ne.jp

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。