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くまもと経済EX 2008

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創業65周年、専用岸壁を武器に全国展開 自然の法則に沿った意識改革を
横場工業
専門岸壁が最大の武器
専用岸壁で全国へ製造品を出荷。道路沿いの外壁まで進んでいる日本最大級・工場内庭園づくり
国道3号線沿いに開設した第2設計事務所
 1943(昭和18)年4月7日、初代・故横場一馬社長の「会社は我が家、社員は我が子」という“思い”から生まれ育ち、今年で65周年を迎えた横場工業梶B
 各種サイロやタンク、搬送・環境設備などの自動機、設計から据付、設備メンテナンスなどを幅広く手掛け、全国から業種を問わず仕事を受注している。
 最大の武器は八代港につながる唯一無二の専用岸壁。これは初代・横場社長が先見の明でいち早く取り入れたもので、今では法律的に許可されない、同社のみが使用できるもの。これにより製造品を直接船に積み込むことができ、陸送できない大型製品の生産・輸送を可能とした。大型の熱処理炉や発電所での防音設備、環境対策の設備、珍しいところでは沖縄・嘉手納基地でのジェットエンジンの防音設備などを高い技術力で製造し、多岐にわたる大型製品を八代港から出荷している。
第2設計事務所を開設、設備投資で基盤強化
 同社は近年、積極的に設備投資を行い、基盤強化を図っている。昨年は本社敷地内に環境対応型「ステンレス製品の酸洗浄排水浄化処理装置」を設置。今年5月末には同市敷川内町の国道3号沿いに「第2設計事務所」を開設した。
 第2設計事務所は建築面積が174u。鉄骨2階建てで、フロア面積は341u。外壁や内装などを改修し活用、業務拡大と技術力向上を目指す。国道沿いには同社の専用岸壁や一馬庭園などの看板を設置しPR、すでに効果を発揮しているという。
 また、8月には同社敷地内北側に「密閉型室内質処理工場」の着工に乗り出す。総事業費は2億5千万円で来年完成予定。同工場は鉄骨平屋建てで、建築面積は約630u。大型製品塗装時に、製品表面に砂を吹き付け、汚れや酸化膜などを除去し、鋼材の下地を露出させるという下処理を行う工場だ。同工程を経て塗装することで、塗装膜の接着が良くなり、防錆効果が格段に向上する。同工程を用いて大型製品を扱う塗装技術業者は県内では珍しいという。さらに、工場内にはクレーンや砂回収用の集塵装置などの機械類を導入し、1日あたり100uの処理能力を持つブラスト設備となる。
 そのほか、中長期計画として本社近隣に第2工場、鹿児島県に鹿児島工場などを展開する予定で、土地の購入なども着々と進んでいる。
扇子状の組織づくりのための意識改革
 3代目・江崎社長は、初代が抱き続けた“思い”を維持継承し、自らが扇子の軸となり裾野に広げる「扇子状の組織」を創り上げるため、人生の師・石内義夫・(有)呉緑化センター初代社長(広島県呉市)の経験からなる実学を学びながら「意識改革」に取り組む。「石内先生は故・横場社長と同じ世代(創業者)。初代とは私の想像をはるかに超えるほど命懸けで仕事をし、恩に報い、感謝の心を忘れない。これこそ“企業の原点”ともいうべきことではなかろうか。私たちは時代の変遷とともに大切なことを忘れ去り、初代が築いたものを食い潰してきた。旧態依然とした企業体質を根底から変えるための原点回帰。私を含め全社員が切り替え発展すべく意識改革をせねばならない。マイナスからプラスになればその差は2倍と大きいものとなり、財産へと変わる」と江崎社長。続けて、「意識改革とともに、石内先生には日本最大級・工場内庭園づくりにも携わっていただいている。1年前とはまた見違えるほど進化しており、四季に応じた折々の木々や花々が、皆様をお待ちしております。日本人の心ともいうべき和の庭園をぜひ一度ご覧ください」。
“自然の法則”がキーワード
工場内庭園をバックに記念撮影をする和服姿の女性社員。“意識改革”で礼儀作法を学ぶ
 今年度の意識改革の柱は『素直』。「素直な心を持つことは人を信じる心“信心”を生み、信じ合う心に派生し“誠(真実)”を生み出す。これが自然の法則で、真実は絶対に『1+1=2』にしかならないということ。一段ずつ階段を上がるようにこつこつと努力すれば、足場は固まり努力が実を結ぶ。礼儀作法も重要だ。各人がお互いに思いやりを持ちつつ心豊かに過ごすための礼儀作法を、日ごろから身につけておくことで、自然と相手の心を豊かにできる。そうすると自然に相手からも心豊かにしてもらえる。こういう流れも1つの自然の法則。自然の法則に勝るものはない。なぜなら、世の中のすべてがその上に成り立っているものだから」と石内先生は説く。
地域への感謝を形に・・・八代市に1千万円を寄付
左から石内義夫・(有)呉緑化センター社長、坂田孝志八代市長、江崎拓茂・横場工業且ミ長、江崎幸子・同社長婦人
 同社は7月8日、福祉・教育をはじめとした姿勢に役立ててほしいと八代市に1000万円を寄付した。また、ミャンマーサイクロンおよび中国四川省大地震被害への募金として100万円を納めた。加えて、石内氏も100万円寄付し、それぞれ坂田孝志八代市長から感謝状を受け取った。同社がこのような多額の寄付を贈呈したのは初めての試みだ。「今、当社があるのも、すべては地域の方々から“おかげ”をいただいているからこそ。その感謝の意と、災害で困っている人々のお役に少しでも立てればと考えた。40年来、募金やボランティア活動などの慈善事業に尽力されている石内先生に、社会貢献することの意義を“意識改革”の一端で気付かせていただいた。当社でもさまざまな形での社会貢献を続けていきたい」と江崎社長は語る。
 「一度決めたら二度とは変えぬ これが自分の生きる道 泣くな迷うな苦しみ抜いて 人は望みをはたすのさ」。これは、昭和の歌姫・美空ひばりさんの『人生一路』の歌詞。この詞を胸に、横場工業3代目社長が、維持継承、そして発展に命を懸ける。
企業DATA
[所在地] 〒866-0034 八代市新港町1-6
[TEL] 0965-31-3200
[FAX] 0965-37-0332
[資本金] 2520万円
[設立] 1943(昭和18)年4月
[事業内容] 一般産業プラント、設計、製作、据付(各種サイロ、タンク、搬送・環境設備など) 省力化機器、企画・設計、製作(自動機、ロボットなど)
[URL] http://www3.ocn.ne.jp/~yokoba/
[出先] 興人出張所:〒866-0881 八代市興国町1-1 日本製紙出張所:〒866-0823 八代市十条町1-1

[採用情報]
●募集要項:プラント設計、機械設計、工事現場監督、溶接、組み立て、営業、事務員など(合計25人程度)
●問い合わせ先:詳細は同社まで
※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。