熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

製造・農業

医療用製品主軸に海外展開新商品・新市場に挑戦

リバテープ製薬㈱

厚さ10ミクロン新タイプの絆創膏

　厚さ10ミクロン｡実際に手にすると、その薄さにまず驚かされる。リバテープ製薬㈱(鹿本郡植木町､杉山宏治社長)が開発した新タイプの絆創膏｢フレックスケア｣は､これまでの常識を覆す新製品として大きな注目を集めている。
　同社でも｢新たな目玉になり得る商品｣(杉山社長)と位置づけており､販売拡大に意欲的に取り組んでいる。｢フレックスケア｣は､10ミクロンという非常に薄い透明フィルムのため､柔軟性､伸縮性に優れており､貼付中の違和感がほとんどないというのが最大の特徴だ。防水性を持っており､貼り付けしたまま入浴･シャワーが可能で､外部からの細菌の侵入を防ぐことができる。また､１日あたりの水蒸気透過量が約3千ｇ／㎡と従来製品の3倍の透過性があり､体内からの発汗などによるムレを抑えられるという。
　同製品に使う素材を応用し､医療機関向け商材としても商品化。杉山社長は｢創傷面の被膜保護､注射針･カテーテルなどの穿刺部の固定や被膜保護に効能がある。医療関係者からも非常に高い評価をいただいている。ムレない､かぶれないという特性は､これまでの絆創膏の常識を覆す新商品｡特許も取得しており､国内外で積極的に展開したい｣と意欲を語る。

杉山宏治社長
すぎやま･こうし/1943(昭和18)年8月１２日生まれ､64歳｡宇城市小川町出身｡67年同社入社､76年取締役営業部長､84年常務取締役､96年から現職｡趣味は釣り｡好きな言葉は｢不退転｣

世界市場へも展開

　この医療機関向けの｢フレックスケア｣を武器に､海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいる。昨年11月には､ドイツで開催された世界最大の医療用品国際展示会｢メディカ｣に初めて出展。｢ブースには世界80力国､約200社の訪問があり､一部では具体的な商談も進んでいる｣(杉山社長)と手応えをつかんでおり､今秋の同展示会にも出展を予定している。
　昨年､ヨーロッパの商品流通には必須となっているＣＥマーク(安全性､有効性及び品質を確保するための基本要件を満足していることを示す統一マーク)を取得。同マーク認証の前提条件となる医療機器に特化した品質管理の国際規格ISO13485の認証も取得するなど､世界市場での展開へ着々と準備が進む。

売上の5割占める医療関連商材

　1960(昭和35)年に設立した同社。社名にも冠している日本初の救急絆創膏｢リバテープ｣を開発したことで有名だが､現在､｢リバテープ｣の売上は全体の2割程度。約5割は医療機関向けの製品が占めている。
　中でも､02(平成14)年に製品化した医療機関向けの個別包装の外用消毒剤は､多くの医療機関で採用され､大ヒット商品となった｡院内感染防止や安全性向上の必要性から､個別包装で使い捨てできる同製品の需要は急速に拡大｡これまでに｢スワブパット｣｢スワブスティック｣｢薬剤綿球｣など使用用途に応じた製品を開発しており､現在､全国の国立大学や総合病院など約5000施設で利用されている。消毒剤の種類やサイズなど､医療現場からのより細分化したニーズに応じた新たな商品開発も進めている。

通販事業も増強

　自社開発の健康食品､化粧品を中心にした直販事業も3年目を迎え､徐々に売上を伸ばしている。直販の中心となる植物由来の化粧品｢レフリェ｣は、植物の主成分･セルロースを球状に加工したものに､保湿成分を加え､｢モイスセル｣という独自開発の保湿剤を配合。しっとり感とさらさら感という相反する使用感を実現した点が最大の特徴だ。｢レフリェシリーズは､30歳代以降の女性がメーンターゲット。インターネットによる通販が主だが､リピーターも増えており､手応えを感じている｣と杉山社長。今春から､直販事業部の人員も増強し､更なる市場拡大を図っている。

知的ネットワークいかした商品間発

　これまで医科･医療機関向け商品、個人向けのオリジナル化粧品､健康食品など､地元の研究施設､大学研究機関との知的ネットワークを構築し、多くの自社開発商品を手掛けてきた。今年1月には､馬油成分を配合した女性用の育毛剤｢Ｖ･ＭＡＮＥ(べ･マン)ヘアエッセンス｣を新たに商品化｡医薬部外品で､育毛､養毛､発毛促進､脱毛の予防などの効能･効果がある。毛髪、頭皮保護成分の馬油と､植物由来(甘夏、センブリ､高麗人参､タマサキツヅラフジ)の成分を配合している。毛髪だけでなく､紫外線､整髪料､汗などによりダメージを受けている頭皮にも潤いを与えるのが特徴。今後も産学連携の研究開発で､積極的に新商品の開発を行っていく。

常に挑戦続ける姿勢で

　｢中小企業ならではの､スピード感を待った企業体質を構築したい｡全社員が参画意識を持つことが大事。自分たちで考え､自分たちで変化していこうという企業風土ができつつある｣と杉山社長。｢モノづくり企業として生産技術を磨きながら､新しい商品､新しい市場に挑戦を続けていきたい｣と展望を語る。

企業DATA

[所在地]　〒861-0136　鹿本郡植木町岩野45

[TEL]　096-272-0631

[FAX]　096-275-1064

[資本金]　１億円

[設立]　1960(昭和35)年5月

[事業内容]　医薬品･医療機器･医薬部外品･化粧品･健康食品の製造販売

[年商]　約36億円(08年3月期)

[代表者]　杉山宏治社長

[従業員]　220人

[URL]　http://www.libatape.jp

[E-Mail]　info@libatape.co.ip

[出先]　本社・工場(鹿本郡植木町)、熊本、第2工場(菊池市七城町)、東京営業所(東京都新宿区)､大阪営業所(大阪市天王寺区)､熊本営業所(鹿本郡植木町)､商品センター(菊池市七城町)

[採用情報]

現在､登録がありません。

※この記事内容は、くまもと経済ＥＸ：2008年7月1日発行分の掲載内容です。