トップ Companies くまもと経済EX 2008 「信用・信頼」を経営の礎に一層の業務品質向上を推進
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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電力・運輸・建設・不動産
「信用・信頼」を経営の礎に一層の業務品質向上を推進
熊本交通運輸
異常な燃料の高騰で厳しさ増す運輸業界
益城物流センター
広島営業所
 原油価格の高騰に引きずられ高騰を続ける軽油価格、環境関係の各種法令・条例の強化、輸送単価の下落など、運輸業界を取り巻く現状は一層厳しさが増している。熊本交通運輸(上益城郡益城町)の住永全司社長は「今年6、7月で1リッターあたり24円も上昇しました。昨年1年間で上がった以上の額が、1ヵ月で上がっています」と困惑する。業界としては燃料上昇分を、燃料サーチャージとして荷主への理解を求める活動を行っているが、なかなか足並みが揃わず、浸透が図れていない。ただ「昔からのお客様の中には、現状を見て、理解を示していただけるところもあります。本当にありかたいことです」と感謝の念を口にする。
 1972(昭和47)年に誕生した同社は、「長距離輸送」、「倉庫」、「専属・専門輸送」を事業の柱として、地元に密着した展開を続けてきた。そしてこの厳しい状況において、現在同社の「倉庫」事業は順調に拡大を続けている。
九州内の物流拠点目指し鳥栖市に進出
現在、グループで約440台の車両を保有
 同社では1978年に熊本輸送団地内に入居後、1980年に同地に初めて倉庫を建設。1994年、97年には八代市港町、同鏡町に相次いで建設し、2001年益城町に、同社物流部門の要ともなる「益城物流センター」(総面積7500u)を開設した。続いて2005年に嘉島南工業団地、2006年に広島県三次市のみよしハイテク団地に相次いで倉庫を設置、同年には沖縄県那覇市に沖縄営業所も開設した。また福岡営業所を福岡熊交汲ニして分社化し、北部九州での営業拠点として位置付けている。
 こういった展開に加え、今年は佐賀県鳥栖市の九州自動車道鳥栖インター横にある「グリーン・ロジスティクスパーク鳥栖」に進出を決定、7月末に進出調印を行った。「九州の物流の中心地に進出することができました。これで九州全域を視野に入れた展開が可能になります」と住永社長の期待は高い。さらに鹿児島空港の隣接地にも鹿児島県内3ヵ所目となる拠点用地を取得したほか、沖縄県でも本格的な拠点整備の構想を持つ。
 また、同社では顧客の倉庫内での作業を行う作業部門も高い評価を受けて いる。住永社長は「当社では単に物を運ぶだけでなく、お客様のニーズに的確に対応することを心掛けています。そしてさらに一歩踏み込んで、お客様への様々な提案も実施しています。これらの経験、ノウハウが作業部門での好調さに結び付いていると考えます」と自信を見せる。


住永金司社長
すみなが・きんし/上益城郡御船町出身、1947年5月15日生まれの61歳、熊本商業高校卒。72年熊本交通運輸鰍設立。熊本トラック運輸事業協同組合理事長、社団法人熊本県トラック協会理事、益城町商工会会長
コンプライアンスを推進し「信用・信頼」を強化
グループ全社員対象に実施した安全推進大会
 「物流を通じてお客様に信用される“ビジネスパートナー”としてお役に立ちたい」と、経営方針に“信用・信頼”を柱として据える住永社長は、“信用・信頼"強化のためコンプライアンスの推進にも積極的だ。昨年は全社員が参加し、熊本と福岡で安全大会を実施、さらに安全マネジメント担当者が各営業所を抜き打ちで検査するなど徹底して安全・安心管理を実施している。また長距離部門の大型車全てに特殊なアルコール検知器を装着。これはドライバーがエンジンをかける前に検知器に息を吹き掛け、反応が出るとエンジンが始動しない機能と、4時間を越える連続運転ができない機能を併せ持つているため、遠隔地にいて対面点呼ができないドライバーの管理を可能にしている。
バス、タクシー事業も着実に拡大
熊本城築城400年祭のラッピングを施した観光バス
本格稼動を始めたタクシー事業
 同社では本業に付随した新規事業にも着手している。2006年からは観光バス事業に参入、熊交観光バス鰍設立し現在8台体制で稼働している。また昨年10月には同社でタクシー事業も開始、現在21台体制で営業している。「実はこれも、当社のドライバーの、定年後の受け皿として考えたのです」と住永社長は事業参入のきっかけを話し、「バスも稼働率が上がってきており、財務内容も改善が見られます。タクシーは、現場も『接客サービス日本一のタクシー会社を目指す』と言っており、士気は高いですね。やはり長く続ける事業として、サービス内容や人材育成をしっかりと行い、事業の基礎を固めたい」と展望する。
 また今年5月からは携帯電話の販売業も開始した。「これも、当初は社内の電話料金の削減のため、全社的に携帯電話に変えようとしていたのです。その手続きの途中で、当社で営業をやってみないかというお話しをいただきました」。現在ではソフトバンクモバイルの販売代理店として熊本市健軍に店舗に構え、営業を行っている。
「変えられる物にエネルギーを全力投球」
 「業界を取り巻く現状の厳しさは頂点に達していると考えます」と話す住永社長は、今年のテーマとして「変えられる物に、エネルギーを全力投球」という言葉を挙げた。「確かに燃料の高騰を始め、経営環境は確実に変化しています。しかし旧態依然とした仕事を続けていれば生き残れません。ですから、こういった現状に、会社を合わせていかなければ、ということです」とその意味を話す。そのため「もう一度全社的に現状の仕事を一つ一つ点検し、磨きをかけたい。それと同時に一層の業務品質の向上を実施し、お客様との信頼関係を強化しながら、物流を通して地域の発展に貢献したい」と、全社的な体質強化を図りながら難局を切り開く姿勢だ。
企業DATA
[所在地] 〒861-2212上益城郡益城町黒石崎2240
[TEL] 096-286-2304
[資本金] 9,000万円
[設立] 1972年4月
[事業内容] 一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫業、通運事業、産業廃棄物収集運搬業、バス事業、タクシー事業
[年商] 92億円(グループ)
[従業員] 600人(グループ)
[URL] http://www.kumako.co.jp/
[出先] 東京事務所、中部(三重)営業所、広島営業所、福岡営業所、益城物流センタ一、ハ代営業所、鏡営業所、鹿児島営業所、沖縄営業所
[関連企業] 熊本旭運輸共熊交観光バス梶Aサンコー・コミュニケーションズ梶A福岡熊交共KMKコーポレーション共熊交エクスプレス

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。