トップ Companies くまもと経済EX 2008 掛け替えのない人命を預かる“命の対価”として報酬を受けています
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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電力・運輸・建設・不動産
掛け替えのない人命を預かる“命の対価”として報酬を受けています
巨シ日本運転代行
戸島駐車場全景
 昨今の飲酒運転による悲しい事故を背景に、07年秋より法令の罰則もより強化され、運転代行の利用は急激に伸びている。その中でも「お客様本位の事業」を際立たせるのが(有)西日本運転代行。営業車両70台、乗務員200人を抱え業界トップ企業として成長を続けている。
1.迅速な対応(SPEEDY)
2.徹底した安全追及(SAFETY)
3.心のこもったサービス(SERVICE)
4.適正な料金(PROPER CHARGE)
 4つの「基本理念」を事業運営の指針とし、顧客最優先の営業姿勢を打ち出している。県内約450の登録事業者で法人業者は数少ないが、同社は会社組織を確立させることで、顧客からの信頼と安心感の獲得に成功している。
保険を充実させて顧客の安心を
 あまり知られていないが、代行運転中の事故については、顧客自身が加入している自動車保険は失効して適用されず、賠償責任のすべては運転代行業者が担うことになる。そこで顧客車両による第三者への損害をカバーするため、業者には専用保険への加入が義務付けられている。自動車運転代行業法が定める補償限度額は対人賠償8千万円以上、対物200万円以上。これに対し同社は対人無制限、対物1千万円と補償を増強。さらに同法では「肝心のお客さまに対する補償がなされていない」と問題意識を持ち、搭乗者傷害保険と車両保険に併せて加入し、不慮の事態にも万全を期している。

顧客車両の事故に適用される専用保険
対人賠償 無制限
対物賠償 1000万円
搭乗者傷害 500万円
車両 500万円
運転代行業者として県内初のドライブレコーダー導入
 07年、同社は運転代行業者として県内で初めてドライブレコーダー(運転映像記録装置)を営業車全車両に搭載した。同装置は車への衝撃を感知して作動し、車載カメラで衝撃前後の様子を映像的に記録する。通常は事故時に活用されるが、同社では同装置が急ブレーキや急ハンドルにも反応し、走行速度も記録する機能に着眼。週に数回、レコーダーの記録を定期点検することで交通マナー向上と安全運転の習慣化につなげている。関社長は「ドライブレコーダー導入は事故の証拠を残すことが第一の目的ではなく、乗務員の安全運転に対する意識の喚起が最大目的。映像証拠が残り、仮に当社が不利な立場になるとしても、事故の真相を明白にして車社会の安全につなげることが交通産業に携わる者の責務であり、常に事故ゼロを追求し続ける使命かおる」と話している。


関 利廣社長
せき・としひろ 玉名市出身、1948年11月23日生まれの59歳。趣味は釣り、ゴルフ、スポーツ観戦。
女性乗務員も活躍
レディース課
 同社では06年、女性客に配慮して「レディース課」を発足しだ。男女の乗務員でペアを組み、女性客には女性乗務員が顧客車両の運転に当たる。専属の女性スタッフを配置して女性客の安心感を高める工夫は顧客からの反響も大きく、稼働中の12台を08年内には30台まで増車する予定。
普通二種運転免許取得を支援
研修センター
 拡大を続ける同社において、乗務員の確保は重要課題となってきた。特に一種免許に比べ圧倒的少数の二種免許保有者の確保は業界全体で困難とされる。そこで同社では、本部営業所(熊本市戸島1丁目)駐車場内に二極免許試験用の特殊な練習コースを設置し教習車両を3台配備、二種免許取得養成講習を開講している。指導には自動車学校の教官として勤務経験を持つ専門員と補助員2人が当たり、徹底した安全運転の技能が磨かれる。「乗務員全員の二極免許取得を目標に安全運転のスペシャリスト集団を目指します」と関社長は抱負を語る。
南営業所の稼働で熊本都市圏全域を営業圏内に
ドライブレコーダー
保険事業部
 現在、営業所として稼働しているのは本部営業所、光の森営業所(合志市豊岡)、西営業所(熊本市花園7丁目)の3ヵ所。待機所は熊本中心部のほか光の森、保田窪、水前寺、健軍、田崎など21ヵ所を設けている。09年初頭をめどに南営業所(仮称)を開設する計画で、熊本都市圏全域のカバー体制が強化される見通し。
関連事業を展開し効率化を図る
教習車両・練習コース
 原油価格高騰などの事業環境悪化を受け、料金の改定を余儀なくされる業者は多い。同社では「燃料価格問題は料金上乗せで解決するのが最も簡単な方法だが、企業努力をせずして安易に顧客に負担を強いることは企業として恥ずかしい行為で、これまで築いた信頼も損なってしまう」とし、料金据え置きを前提とした解決策を模索した。
 同社は08年春より自動車整備事業、中古車販売事業、保険事業、陸送事業、二種免許取得養成事業の5つの関連事業部を本格的にスタートさせ、グループとしての事業展開により経営課題を打開していく方針をとった。
「すべてはお客さまのために」
自動車整備事業部
中古車販売事業部
 地域とともに発展を続ける同社では、ユーザーニーズに応えるため、05年春に営業時間を大幅に拡大した。飲酒運転が社会問題となって、結婚披露宴や法要などによる昼中の需要に対応するためである。運転代行の昼間営業は生産効率が低く全国的にも異例。しかし、関社長は「地域密着の企業である以上、顧客の要望を反映させるためには利益を度外視することも必要。何よりも飲酒運転の根絶に企業として取り組む社会的責任がある」と話す。
 関社長の事業理念の一つに「運転代行業とは、単に顧客車両の運び賃をいただく仕事ではない。掛け替えのない人命を預かる“命の対価”として報酬を受ける仕事」という考えがあり、それは同社の社風にも表れ、お客様優先主義の心のこもったサービスが多くのリピーターを生んでいる。
企業DATA
[所在地] 〒861-8041熊本市戸島1-1-11
[TEL] 096-349-0166
[FAX] 096-349-7441
[資本金] 300万円
[設立] 1984年8月1日
[事業内容] 熊本県公安委員会認定第930079号 (社)全国運転代行協会 加盟
[従業員] 200人
[出先] 営業所:本部(戸島)営業所、光の森営業所、西営業所 待機所:光の森、楠、菊南、麻生田、保田窪、月出、新外、健軍、水前寺、南熊本、田迎、嘉島、近見、田崎など

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。