トップ Companies くまもと経済EX 2008 全社一丸となった意識の共存で革新・改善進める
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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金融・保険・卸・流通・小売
全社一丸となった意識の共存で革新・改善進める
熊本大同青果
1日の取扱量は約450トン
最前列左が月田社長
経営計画発表会の様子
 熊本大同青果(熊本市田崎町、月田求仁敬社長)は、1961(昭和36)年に4つの青果問屋が合併し、誕生した。同39年には田崎市場の開設事業者の一社として移転、現在では一日の取扱量が約450トンにものぼる、県内最大の青果卸売市場として、熊本の“食”を支える企業として発展を続けている。
 同社の月田社長は「人が企業です。人の成長なくして、企業の成長はありません。そのため社員一人一人が人間として成長できるように、大きな家族のような組織を目指します」と社員教育に重点を置いた経営方針を話す。

月田求仁敬社長
つきだ・くにたか/熊本市出身、1958(昭和33)年4月3日生まれ、50歳、明治大学農学部卒。大学卒業後、東京築地の東京中央青果鰍ノ入社、その後84年熊本大同青果冠入社、95年から専務として現場の指揮に当たり同年12月に社長に就任。趣味はゴルフ、読書。
勉強会などで社員の共通認識の浸透図る
 同社では、社員教育の一環として各種の勉強会活動を盛んに行っている。今年は経営品質協議会(JQA)の日本経営品質賞の受賞を目指し、社内一丸となった取り組みを始めた。これは「自分たちの活動を自己評価し改善・革新の手段を発見する」、「継続的な経営革新を進めていく考え方とその活動プロセス」という意味を持つ「セルフ・アセスメント」のプロセスにより、共通する枠組みを用いて経営の質を評価し、革新モデル企業を表彰する制度だ。月田社長は「すぐに取り組んで、すぐに受賞できるような簡単なものではありません」と厳しい認識を示すが「全社員で取り組み、自分たちの仕事を検証しながら、業務自体を見直し、改善していくきっかけになれば」と。同事業に取り組む真意を話す。このため同社では月に一回の取りまとめと講習会を実施している。このほかにも全部署で年間200時間の勉強会を行うほか、月1回は部署や役職を問わない10人程度を集めた「社長勉強会」、その月生まれの社員を対象に、企業形態・就業規則など会社の概要全般を学習し、食事会も併設した「大同スクール」などを開き、社員の育成に力を入れている。
 また社内にありがとうカード、MVP、社内美化、社内親睦、報道、ディスプレイの7委員会を設置、自らの就業環境を自分たちで考え、実施・検証し、改善するサイクルを目常業務に取り入れ、社員の就業意識について底上げを図る。さらにこれらの勉強会、委員会活動などは、参加や課題達成に応じてポイントを支給。このポイントが各種の規定に達すると、手当てや賞与のアップにつながる仕組みにもなっている。「今年は特に社員全員で勉強しようと考えています。業務を取り巻く環境も大きく変化しており、流通形態も変化してきています。これらの現状を踏まえ、自分たちで、どうやって変化に対応していくか学習することは重要だと思います」と月田社長は全社的に経営革新に取り組む構えだ。
クラブ活動・社内行事で“横のつながリ”を強化
 同社では社内でのコミュニケーション強化のため、クラブ活動を実施している。「大同太鼓部」、「お花倶楽部」、「ボウリング部」、「野球部」、「陸上部」、「登段部」などが活動している。特に「太鼓部」は、毎年1月5日の初競りを知らせる合図を任されるほか、結婚式での演奏依頼が舞い込むほどの実力を持つ。組織内に多くの部署を抱える同社において、役職、年齢、男女を問わずに参加できるクラブ活動は、幅広い「横のつながり」の強化に役立っている。月田社長は、クラブ活動への理解も深く、各部の活動時にはできるだけ参加し、激励を行う。
 そのほかにも多彩な社内行事を実施し、社員の親睦を深めている。新春の金峰山登山大会にはじまり、ボウリング部主催の社内ボウリング大会、ファミリー運動会、ゴルフ大会、ファミリーバーベキュー大会、社内スポーツ大会などがあり、多くの行事は家族で参加できるものだ。またレクリエーションや懇親会などのイベントには全社員参加も義務付けている。月田社長は「最近では、飲み会のときの代行運転の費用まで会社が負担していますよ」と笑いながら「当社では良い意味での“ムラ社会”が必要だと考えています。いろいろな活動を通じ、お互いがお互いを知ることができれば、助けられたり助けたりする場面が出てきます。個人としては苦しいことも、社員全員の協力や助け合いがあれば、そこは“意識のつながった職場”になっていくと思います。そういう環境をベースにして、一歩ずつ改善と革新を進めていきたい」と経営の方向性を示す。
初競りの様子
「大同太鼓部」の演奏
「お客様に愛され支持される会社を目指す」
 今年3月決算では売上高225億円に達した同社だが、冒頭述べたように、月田社長は経営環境の変化を敏感に感じている。さらに近年では各種偽装や異物混入など「食」に対しての信頼も揺らぎ始めた。「“食”は“命”に直結する重要な問題。安心・安全で美味しい商品を提供することが当社の使命」との信念を持つ月田社長は「会社は家族です。苦しいこと楽しいことを共有しながら、みんなで力を合わせ道を切り開いていく。そしてお客様に愛され、支持される会社を実現したい。そのため社員に“やりがいのある仕事”ができる環境を整えるのが社長の仕事です」と、自らが社員の先頭に立ち、時代の変化に立ち向かう姿勢だ。
企業DATA
[所在地] 〒860-0058熊本市田崎町484熊本地方卸売市場内
[TEL] 096-323-2500
[FAX] 096-323-2503
[資本金] 3、000万円
[設立] 1961年3月
[事業内容] 青果物・卸売業(市場)
[年商] 225億円(08年3月期)
[従業員] 207人(グループ全体)
[URL] お野菜百科アドレスhttp://10831.ip
[関連企業] 褐F果物流センター、椛蜩ッリース、熊本大同冷蔵

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。