トップ Companies くまもと経済EX 2008 「お客様第一主義」で、医療事務IT化を推進
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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医療・医療関連・教育
「お客様第一主義」で、医療事務IT化を推進
叶シ日本メディカル
レセコンの県内シェアトップ企業
 医療事務用コンピューターシステム販売の叶シ日本メディカル(熊本市平成3丁目)は、昭和51年の創業以来、熊本県におけるレセプトコンピューター(診療報酬請求用コンピューター)のパイオニア企業として、県内シェアトップの座を誇っている。同社の30年を超える事業経歴は、そのまま熊本県下の病医院や調剤薬局の医療事務コンピューター化、IT化の歴史と重なっている。
 今年4月に、医療法改正(診療報酬改定)が行われ、特定健康診査、特定保健指導の実施がスタートした。「2年に1度の改定時にスムーズな変更が出来るように全社挙げてのサポート体制を採っている」と語る辻正治社長。医療機関、調剤薬局などに対するサービスの質の低下を防ぐため、県内で1番多いスタッフ数を抱え、迅速なサポートに取り組んでいる。創業期を経て、第二創業期に入った同社は、辻社長を先頭に社員一丸となってこれまで30年間築いてきたユーザーとの信頼関係に、さらに磨きをかけている。

辻正治社長
つじ・まさはる/1969(昭和44)年9月25日生まれの38歳。熊本市出身。辻詔一郎会長の長男。熊本商科大学付属高校−熊本電子ビジネス専門学校情報処理科卒。90年三洋電機入社、主に商品の企画・開発を担当する。97年に企画室長。趣味はスポーツ全般。「義理を欠かない。人情を忘れない」が生活信条であり仕事のスタンスでもある。
「電子カルテ」が医療IT化の主役に
 IT化の波は医療界にも急速に押し寄せている。国の総医療費抑制が大きな流れとなり、医療機関の経営環境も大きく変化している。こうした中、医療IT化のメインツールとして注目されているのが「電子カルテシステム」。レセプトコンピューター導入による院内業務の効率化は、既に医療経営のスタンダードとなっており、辻社長は、「医療IT化のポイントは、“患者主体の医療”を実現するメインツールとなる電子カルテの活用」と見ている。
 この電子カルテシステムは、@医療情報の提供によるインフォームドコンセントの推進、A医療の質的向上、B医療事務の効率化、に大きく貢献すると期待が寄せられている。最近は受診者側でも意識変化が出て来ている。「セカンドオピニオン」という考え方も出てきている中で、特に医療機関に対する選択する意識が強まってきている。そのため“受診者に選ばれる医療機関”であることが、健全経営につながっていくことになる。
 この“患者に選択してもらえる医療機関”となるための有効な対策の一つが、電子カルテ導入によるインフォームドコンセントの推進である。検査や治療の結果を画像やグラフで、受診者に分かりやすく提示できるのが電子カルテの大きな特徴であり、コミュニケーションも図れる。「様々な診療・検査機器との連携が進み、患者データを一元的に管理する方向にある電子カルテは、これまで以上にインフォームドコンセントの推進能力を高めている」と辻社長は話している。
 2008年4月からは、一定の猶予期間を持ってレセプトのオンライン請求が義務化されたため、医療機関、薬局ではレセプト電算処理システムの導入が必要となってくる。「経営環境が厳しさを増す中、各医療機関も“受診者に選ばれる医療機関”になれなければ生き残れません。レセプト電算化や電子カルテ導入など、当社が先生方のお役に立てる環境は広がっているとも言えます」と、時代の変化に応じたサービスを心掛ける。
信頼のアフターフォロー体制
 医療IT化の主役になると見られている電子カルテシステムだが、運用するのは「人」である。そのため辻社長は、「ドクターやスタッフなど使用する側の要望を反映させた形での保守・メンテナンスの専門的なスキルと、一定数のスタッフを揃えたバックアップ体制が必要」と企業としての総合的な運用サポート体制の必要性を指摘する。
 創業以来、同社がビジネスの原則としてきたのが、病医院や調剤薬局との信頼関係の構築。県内業界では同社だけが開催している医療機関関係者を対象とした説明会も、今回は2月末に『診療報酬改定』と『レセプト電算処理システム』のテーマで開催した。こうした積み重ねが、病医院関係者の間で評価の高いアフターフォロー体制を生み、同社への信頼の基礎となっている。
「信頼なくしてビジネスなし」
 同社の経営理念は“安心と信頼”。業界内の競争は激しくなっており、県外企業の参入で価格競争にもなってきた。「ハードの価格は安いが、アフターフォローなしの売りっ放しという無責任なビジネスはしたくないし、決して長続きもしません。先生方との間に信頼に裏打ちされた永続的な関係を築けるとは思えません」と辻社長は言い切る。専門知識を持った自社スタッフによる安心感のあるサポート体制の提供がまず基本にあり、その上で初めて『電子カルテ』など病医院の健全経営に向けた新システムの提案が可能となる、というのが辻社長の考え方である。「万全のサポート体制の上にしか、“先生方のお役に立てる西日本メディカル”は存在しません」と徹底した『お客様第一主義』を採っている。
 辻社長は、06年9月に創業者である父・辻詔一郎氏(現会長)からバトンタッチを受け、社長に就任した。以来、「会長から引き継いだことを100%、当たり前にやっていくことが私の使命だと思っている」とお客様第一主義を貫くサービスの向上に努めている。辻社長は、「地域に貢献できる会社を目指している。会社も私自身も熊本に育てられました。多くの先輩方にもお世話になっています。皆様に何とかお返しをしたい」と自分のポリシーを前面に出して社業に取り組んでいる。この気持ちが、企業のさらなる成長を支えている。


辻詔一郎会長
つじ・しょういちろう/1942年(昭和17年)10月8日生まれ65歳。熊本市出身。県立済々黌高校卒。昭和51年、日本メディコムの特約店として個人創業。「機械を売るのではなく、人間性を買っていただけ」「買っていただいた時から、本当のお付き合いが始まる」が信条
企業DATA
[所在地] 〒860-0833熊本市平成3丁目16-13
[TEL] 096-379-6611
[FAX] 096-379-6366
[資本金] 1、000万円
[設立] 1978(昭和53)年2月
[事業内容] 医療事務用コンピューター「サンヨーメディコム」の販売、電子カルテシステムの販売、メンテナンス、プログラム開発、情報処理サービス、医療事務養成校「日本メディコム学院」の運営、医療事務に関するコンサルティング業務
[年商] 売上高:5億円(平成19年6月期)
[従業員] 30人
[URL] http://www.n-medical.co.jp/
[関連企業] 泣潤[ク情報システム

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。