トップ Companies くまもと経済EX 2008 若い好奇心を惹きつける魅力ある大学目指し
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■飲食・サービス 
■金融・保険・卸・流通・小売  ■情報通信・ICT関連  ■電力・運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
医療・医療関連・教育
若い好奇心を惹きつける魅力ある大学目指し
崇城大学
情報学科では次代を動かすIT技術者育成を目指す
 「これまで、大学の工学部は理論を学ぶ場で、実践的な技術、知識は企業の研究室で学ぶものという考え方かおりましたが、若い頭脳が世界をリードするIT業界では、学生時代に、基礎理論にとどまらない、実践的な知識技術を学べる環境がなにより大切です」。
 柔軟な発想と、若い頭脳がなにより求められる情報分野で時代に即した人材育成を目指す同大学では、平成17年度に、工学部電子情報ネットワークエ学科、応用電気情報工学科の2学科を情報学部として分離独立。文字通り情報、IT分野で世界をリードする逸材を生み出すべく大きな一歩を踏み出した。
 「情報学部設立当時は、専門分化したテーマに別れ、いわゆる机上論が主な内容でした」と設立当時を振り返る中山学長。「学生にとって魅力あるカリキュラムは」、「急速に発展するIT市場にどう対応するのか」、「学生の才能を開花させるプログラムは」など数多くの課題を抱えた同大学では、07年度から中村末廣元ソニー副社長を副学長に迎え、現情報学部3学科の再編に取り組む。中村副学長は企業出身の教員を含む再編プロジェクトを立ち上げ、市場発想をコンセプトに、ソニーの人材育成プログラムをベースとしたアイデアを加えた再編案を立案。再編プロジェクトチームによる再編案の骨子は、情報学部を情報学科1学科にし、情報を“活かす”技術を身に付ける「ソフトウェアサイエンスコース」、情報を“創る"技術を身に付ける「メデイアサイエンスコース」、情報を“司る”技術を身に付ける「情報エレクトロニクスコース」、情報を“動かす”技術を身に付ける「ロボティクスコース」の4コースを設置するというもの。
 この4コースは次代が求める、マーケティング発想をベースに検討されたもので、2年次にコース選択した学生は、3年間先端的なIT技術者として自分にふさわしい専門性を見つけ修得し社会に巣立っていくという仕組み。「かつてスタンフォード大学の学生だったヤフー、グーグルの創業者は、学生時代にビジネスモデルを考案、卒業と同時にITベンチャー企業として注目を浴び、瞬く間に世界企業へと成長していきました。情報分野はまさに若者の若々しい発想と柔軟な頭脳が、存分にその潜在能力を発揮できるフィールドです。同大学でも、スタンフォード大学にならい若い頭脳が思いっきりその才能を開花できるよう、環境づくりに取り組みたい」。
 09年度からスタートする情報学部情報学科は、あくまで崇城大学が目指す「次代の進化」のひとつ。その先には若きベンチャーを輩出することで熊本再活性を目標に定める。
研究成果をビジネスに ペンチヤー起業家育成目指す
市場発想をコンセプトに、情報学科再編に取り組むソニー元副社長で、ソニー中村研究所所長の経歴を持つ中村木廣崇城大学副学長。
 大学発ベンチャーの動きが活発化する中、崇城大学が展開する学生主体のベンチャー育成の取り組みは、起業を目指す学生を大学が支援し、または環境を整えるという大学の役割と立場を明確にした点で、これまでの大学組織主体または、教授主体のベンチャーと明らかに一線を画しているといえる。
 財団法人くまもとテクノ産業財団が平成13年8月に文部科学大臣並びに経済産業大臣から事業計画の承認を受けて発足した「熊本TLO」(技術移転機関)では、大学等の研究成果を特許化したうえで産業界に技術移転し、特許を活用した新製品の開発や新規事業の創出を促すとともに、特許の活用にともなう実施料を大学等に還元するなど、産学共同でのベンチャー育成の機運も次第に高まりを見せ始めている。
 同大学では「研究の成果をビジネスヘとつなげていくことができて初めて産業としての発展が見込める」との考えから、特許講座など学生が起業するに当たって必要な知識習得を目的とした講座の開設や、学生の起業、モノづくりを支援するモノづくり委員会を設立するなど、学生が積極的に起業できる様々なプラン設置にも積極的に取り組む。
日本初、国内唯一で全国にアピール
空港設備と隣接した空港キャンパスを保有するのは、国内では崇城大学だけ。
パイロット養成コースでは自家用免許はもとより、事業用免許取得できるカリキュラムも。
 今年4月に、プロパイロット養成を目的にスタートした工学部宇宙航空システムエ学科の「専修課程パイロット養成コース」には今年7入の新入生を迎えた。団塊世代のパイロットの大量退職などに伴い、今後パイロットの人材育成需要が高まることを受け、かねてから開設を計画していたもの。4年次7月までに計230時間のフライト実習を実施。在学中のプロライセンス(事業用操縦士技能証明)取得を目指す。4年間の学費は約1400万円。同大学では、昨年4月に国内の大学で初の、国土交通省認定の「専修課程航空整備士養成コース」も開設しており、全国で唯一、空港施設に隣接した空港キャンパスを持つ同大学ならではのカリキュラムとして、全国から注目を集めている。「全国で唯一、国内の大学で初めてという試みだから意味があると思っています。パイロット養成コースならびに、航空整備士養成コースのいずれもが、北は北海道から、南は沖縄まで、大空に夢を抱く学生たちに強くアピールできる、まさに全国区の学科だと自負しています」。少子化を向かえ大学進学人目が減少する中、他の大学にはない個性的な学部学科を創設することが、広く全国から学生を集めるきっかけになると語る中山学長。
 若い好奇心を惹きつけてやまない魅力ある大学を目指す崇城大学のこれからに一層の期待が集まる。
企業DATA
[所在地] 〒860-0082熊本市池田4丁目22-1
[TEL] 096-326-3111(代表)
[設立] 昭和24年4月電気・電波学校創立、昭和36年2月学校法人君が淵学園認可。昭和42年熊本工業大学開学
[事業内容] 学部構成:工学部5学科、情報学部3学科、生物生命学部2学科、芸術学部2学科、薬学部1学科、大学院工学研究科博士課程6専攻、修士課程7専攻、大学院芸術研究科博士課程1専攻、修士課程2専攻
[従業員] 学生数:3,678人
[関連企業] 関連施設:エネルギーエレクトロニクス研究所、応用微生物研究所、衝撃先端技術研究センター、附属専門学校

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。