トップ Companies くまもと経済EX 2009 確かなプロ技術と地域貢献で“熊本のいい男集団”を目指す
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■飲食・サービス 
■金融・保険・卸・流通・小売  ■情報通信・ICT関連  ■電力・運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
電力・運輸・建設・不動産
確かなプロ技術と地域貢献で“熊本のいい男集団”を目指す
渇F佐美工業
紆余曲折を経て、宇佐美工業が誕生
 1995(平成7)年の会社設立から土木工事業を中心に成長を遂げ、近年は異業種分野へも進出している渇F佐美工業。県内の有力企業に名を連ねる同社だが、「紆余曲折を経て、ようやくここまで辿り着いたという感じですね」と宇佐美和男社長は、感慨深くこれまでを振り返る。
 宇佐美社長は大学を中退し土木工事会社に勤務後、個人事業で化粧品販売やエステティックサロン経営、通信カラオケ機器販売などさまざまな業種に携わったが失敗、多額の負債を抱えてしまったという。その後、負債を返済するために熊本市にある解体業の会社へ入社。「これから周囲の人に少しずつでも恩返しをし、解体業者として第2の人生を始めようと思っていたが、肉体的・精神的な疲れから自動車事故を起こしてしまいました。もう、自分の中には、絶望感しかありませんでした」と話す。そんな時、以前からお世話になっていた土木関連会社の社長にフリーの職人として雇ってもらい、人生の再スタートを切った。宇佐美工業の誕生だ。
土木工事から測量・設計・調査事業で企業の成長期へ
 土木工事業者として創業し、着実に受注が増えてきた頃。1人で立ち上げた会社もしだいに10人、20人を抱える企業になったという。土木工事をはじめ、舗装や上下水道・造成・解体工事など事業も幅広く広げた。2006年の1月には、現在地に3階建ての本社ビルを構え、事業拡大は加速した。また、測量・設計・調査・開発申請という一貫した事業。これは、国や県の下請けとして水門調査や高速道路に関する調査、地質調査など多岐に渡り、県内でもトップレベルの実績を誇っている。この事業は現在の同社における事業の大きな柱になっており、宇佐美社長は「近年の経済不況で土木工事は減少する傾向にある。そんな中、測量・設計・調査・開発申請の分野を土木工事に次ぐ第2の柱として会社経営をさらに軌道に乗せたい」と話している。
天然砕石を使った地盤改良工事業を開始。 「エコ」をテーマに地域貢献
 競争激化で淘汰の時代を迎えている21世紀。業界での生き残りへ宇佐美社長は「環境」をテーマとした地域貢献を強調する。その第一弾として同社はこのほど、天然砕石を使った地盤改良工事業を始めた。
 地盤改良は、建造物を建てる際に地盤の破壊・沈下などを防ぎ、安全な地盤を形成するための工事。同工法の開発元であるハイスピードコーポレーション梶i愛媛県)と施工代理店契約を結んだもので、県内では2社目の代理店となる。同工法は、従来のセメント改良や鋼管杭の代わりに天然砕石を使った地盤改良工事。ピストンバブルと呼ばれる技術によりドリルの先端部分で砕石を突き固め、硬度を持った砕石杭を形成し、地震の揺れなどに強い安全な地盤を形成する。施工された杭は建物を建て替える際の撤去が不要で、繰り返し使用が可能。また、砕石は産業廃棄物として扱われないため産廃費用が発生せず、土壌汚染や地下水汚染など環境汚染の防止にもつながるという。初年度は約80件の受注を目指す。宇佐美社長は「熊本の自然環境に配慮した事業として軌道に乗せ、社会貢献につなげたい」と力を込める。
 また、地域貢献の一環として同社が取り組んでいるもう1つの活動が「元気な子供プロジェクト活動」と題した、健全で元気な子供たちを育成する会社独自の取り組みだ。この活動は、県内の幼稚園や保育所の園児と先生たちに地方で開かれるプロレス観戦へのチケットを配り、試合に招待するというもの。宇佐美社長は「この活動を通じて、次世代を生きる子供たちに夢を持って元気に生きてほしいということを伝えたい」と話しており、今後も協力業者と手をつないで活動の輪を広げていく構えだ。
飲食事業へ進出、「食彩庵 潤和」をオープン
 2006年3月、本社ビル1階に飲食店「食彩庵 潤和」をオープンし、合わせて店舗運営の新会社居§aを設立した。「潤和」とは、門構えの中に王がいる、すなわちお店という空間の中で人と人が集い楽しんでもらいたいという意味と、宇佐美和男社長の「和」から命名。店舗には座席数65席を設け、昼はビジネスマンやママさんの集まりに好評のランチ(3種類)、そして夜は肉や魚料理など居酒屋メニュー100種類を用意。新鮮な素材を厳選し、日々新しいメニュー作りに力を入れており、年間で約4500万円の売り上げを確保している。「当店はビジネスマンから子供連れのファミリー客、ママさんの集まりなど客層は幅広い。それぞれの客層のニーズに応じ、予算やメニューの面で喜んでいただけるよう、従業員一同細かく対応し、提案しています。将来的には2号店・3号店も出店したい」と同社。「食」の事業エリアにおいても確実に歩を進めている。
プロの技術を持った“熊本のいい男集団”を目指す
 「一企業として、誰に対しても感謝の気持ちを忘れず、お客さまに喜ばれる仕事をしたい」。宇佐美社長が貫く人生のポリシーだ。また「お客さまに喜ばれるためには、まず社内におけるチームワーク力、すなわち協調性が大事。自分たちが向上しなければ、お客さまにも喜んでもらえないし、良い会社は築けない」と従業員に対してフェイストゥフェイスで教え込んでいるそうだ。
 「確かなプロ技術と協調性を持った集団」。彼らの姿はきっと事業を拡大するに連れて、“熊本のいい男集団”と言える姿になっていくことだろう。なぜならその姿は、エネルギッシュな宇佐美和男社長の目指す企業の理想形だからだ。
企業DATA
[所在地] 〒861-8043 熊本市戸島西1-5-35JKビル2F
[TEL] 096-368-4700
[FAX] 096-368-4702
[資本金] 1,000万円
[設立] 1995(平成7)年
[事業内容] 一般土木・舗装・上下水道・造成・解体・造園・外構・地盤改良工事業、産業廃棄物収集運搬業、測量・設計・調査・開発申請
[年商] 2億4千万円
[代表者] 宇佐美和男社長
[従業員] 30人
[関連企業] 宇佐美コンサル梶i電子納品代行業)、旧徳企画(保険代理業=日本興亜損保・アフラック・ソニー生命保険、不動産賃貸業、経営コンサルタント業、IT関連業)、居§a(飲食業、食品販売業=お食事処「食彩庵 潤和」を運営)

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。