トップ Companies くまもと経済EX 2009 “第二の創業”施設全体のリニューアルに着手 「本物のサービス」提供目指す
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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“第二の創業”施設全体のリニューアルに着手 「本物のサービス」提供目指す
阿蘇カドリー・ドミニオン 活「蘇熊牧場
次世代見据え新たなシンボルづくり
 動物レジャー施設「阿蘇カドリー・ドミニオン」を運営する活「蘇熊牧場(阿蘇市黒川、小笠原徹朗社長)。全国放送のテレビ番組にも出演する天才チンパンジー“パンくん”、ブルドッグの“ジェームズ”が動物ショーを行っている「みやざわ劇場」がけん引役となり、九州全域からはもちろん、山口、広島などからも多くの観光客を集めている。
 1973(昭和48)年の開設から36年。同社では現在、次の時代を見据えた施設全体のリニューアルを進めている。小笠原社長は「時代の変化に合わせて、私たちも変わっていかなければならない。この数年間を“第二の創業期”と位置づけ、よりお客さまに喜んでいただける新たな仕組みの創造を目指している。今の施設の“売り”はパンくん、ジェームズに代表されるような、エンターテインメント性を持たせながら、動物たちの潜在能力を多くの方に伝える試み。全体のリニューアルを進める中で、次の時代のシンボルとなるようなモノをつくっていきたい」と意欲を語る。

小笠原徹朗社長
おがさわら・てつろう/北海道千歳市出身、1947(昭和22)年2月2日生まれ、62歳。拓殖大学商学部卒。73年阿蘇熊牧場入社、92年から社長。08年4月阿蘇デリシャス設立、会長に就任。熊本県観光連盟副会長、阿蘇観光協会会長
ソフト・ハード両面でリニューアル
 全体のリニューアルを始めるにあたって、同社が最初に取り組んだのは社員の意識改革だ。「お客さまが本当に満足していただけるサービス」の追求に向け、社員教育を再度徹底。「共に切磋琢磨し、成長していく」という意味を込めた社是「共生」に基づいた行動指針を策定し、顧客が求める「本物のサービス」提供に向けた取り組みを始めている。
 スタッフ教育の徹底、現在行っているサービスのブラッシュアップ(磨き上げ)などソフト面だけでなく、ハード面のリニューアルにも着手。同社では、「クマの森」をコンセプトにした展示方法の大転換を計画している。昨冬には、第一期工事としてバックヤード部分を整備した。繁忙期を避け冬期期間中のみ工事を行い、5年ほどの期間をかけて大規模な改築を進めていく方針だ。他にも、クマやインコ、イヌなど様々な動物によるショーを行う「スウィングステージ」のリニューアルを行ったほか、来春に向け「わんわん動物村」(イヌと触れ合う施設)の改修も予定している。
“地域の名物”づくりへ
 「阿蘇の自然に恵まれた食材や特産品を使った“地域の名物”を作りたい」と地域の食のプロデュースを目的に昨年立ち上げた活「蘇デリシャスの取り組みも、すでに多くの実績を挙げている。
 最も注目を集めたのが、鹿本農業高校(山鹿市)との連携で商品化した「コメロンパン」。熊本産米粉と七城産のメロンを使って作る同商品は、1個180円と決して安くない価格ながらも、東京の百貨店などでも販売されるヒット商品となった。今年4月からは、岡山県の百貨店・天満屋などでも販売が始まるなど販路は拡大しており、同社と生産を担当するパン製造業・古木家(阿蘇市一の宮町、古木大次郎代表)が菊池市泗水町に工房を開設。年間40万個の生産体制を整えた。同社では、米粉を使った新たな商品として、カレーパンの開発も進めているという。
 小笠原社長は「熊本は食材の宝庫。今後も素材を掘り起こし、話題性を付加するなど、売れるための演出をしていく。“いきなり団子”などに続く全国的な名物をつくるのが目標」と意欲を見せている。
10月に大分・久住に「ペットと泊まれる温泉宿」2号店
 「阿蘇カドリー・ドミニオン」と併設しているペットと泊まれる温泉宿「御宿 小笠原」も好調。2号店となる「久住 小笠原」(大分県竹田市久住町)が、10月1日にオープンする。同旅館は全室離れで、ペットと一緒に楽しく温泉宿を楽しめるというのが最大の特徴。「久住 小笠原」は、約4万uの敷地に、離れの宿泊棟(約100u)10棟を建設。全棟に内湯と露天風呂を設ける。「御宿 小笠原」と同様、敷地内にドッグランや動物専用の露天風呂も整備する予定となっている。
 小笠原社長は「ペットはすでに文化として完全に生活に定着している。旅行もペットと楽しみたいという方はかなり多い。他社との共同設立・運営なども視野に、九州域内で3号店、4号店なども検討していきたい」と話す。
“阿蘇ブランド”の構築も
 年間約40万人が訪れ、阿蘇地域の観光マーケット開拓拠点となっている同施設。来訪者の満足度を高め、地域の魅力を広く伝えていくことが求められている。「お客さまの真贋を見極める目というのは確か。“本物”を提供しないと喜んではいただけない」と小笠原社長。“本物”のサービスを提供するため、施設が持つ素材やアイデアを磨き上げ、グレードアップさせるとともに、地域とのネットワークを活かした“阿蘇ブランド”の構築にも力を注いでいく。
企業DATA
[所在地] 869-2225 阿蘇市黒川尾西2163
[TEL] 0967-34-2020
[FAX] 0967-34-0846
[資本金] 4000万円
[設立] 1973(昭和48)年6月
[従業員] 65人
[関連企業] ペットと泊まれる温泉宿「御宿 小笠原」,活「蘇デリシャス

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。