トップ Companies くまもと経済EX 2009 有能な人材集団づくりで「企業」としての社会的責任を果たす
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
有能な人材集団づくりで「企業」としての社会的責任を果たす
河合興産
逆風下で高利益水準を記録
 現在、アミューズメント業界を取り巻く環境は、スロット5号機問題をはじめ、大手チェーン店の地方参入による競争環境の激化、サブプライムローンに端を発した世界的な大不況など、ホール経営にとって非常に厳しい逆風が吹き荒れている。最盛期には全国で3000万人いると言われたパチンコユーザーも、近年では1200万人まで減少していると言われており、正に業界全体が大きな転換期を迎えようとしている。
 「環境の変化に最も適応する者だけが生き残る」とういうダーウィンの進化論に基づけは、業界においても、“パチンコ屋”から“企業”に変革できた会社だけが生き残るサバイバル戦へと突入している。
 1968年宇城市小川町で創業、サンライトの屋号で阿蘇市に内牧店、上天草市に大矢野店、八代市に鏡店、八代郡に宮原店、宇城市に小川店と遊技場を展開する河合興産梶i熊本市水道町)。逆風下にさらされる業界にあって3期連続の大幅増益を記録するなど、安定した経営軌道を確保している。7月下旬には社長に江村徹副社長が昇格、「逆風の今こそ大きなビジネスチャンス」と新しい経営ビジョンを掲げている。

江村徹社長
えむら・とおる/北九州市小倉北区出身、1966年生まれの43歳。福岡大学経済学部卒。会計事務所勤務後、遊技場経営の潟Jナヤマ(本社・宮崎市)入社、取締役、常務取締役を歴任。2006年10月に河合興産鰍ノ取締役副社長として入社、08年6月から代表取締役副社長。今年7月から代表取締役社長就任。河合忠男会長の甥。趣味はゴルフ。
堅実性を受け継ぎながらも“攻め”の経営を
 前任の河合忠男社長の経営方針について江村新社長は「投下資本を抑えたローコストの店舗展開で高い還元率を実現しエンドユーザーからの信頼を得、安定した経営軌道を確保してきました。結果として郊外への店舗展開が当社の出店戦略と言えるでしょう」とその堅実性を受け継ぎながらも“攻め”の展開も睨んだ経営を心掛けるという。
 今年5月期決算では、前年比で売上高約100%、経常利益56%増を記録、直近の3ヵ年でも、08年度が前年比で売上高10%増、経常利益45%増、07年度には前年比売上高約100%、経常利益では大幅増益の22倍をマークしている。好決算の要因としては「部店長クラスの採用や登用などによる配置転換、外部からの人材招聘なども実施、組織に刺激を与え人事面での活性化を図った点が大きい」としながら「1円パチンコの導入も功を奏した」という。
 営業店5店舗のうち4店舗は各エリアの中で順当に業績を上げていたが、大矢野店が同業他社の進出でオーバーストア状態になり熾烈なシェア争いを余儀なくされていた。
 そこで導入したのが低貸玉営業。1円パチンコは、通常貸玉営業(4円パチンコ)での集客の弱い店舗の起死回生策として導入されるケースが多いが、同社の大矢野店では、遊技環境動向を考慮した積極的な営業施策として導入した。通常貸玉では新台のほか射幸性の高い機種に支持が集まるが、低貸玉営業では高確立、高ベースの機種や個性的なモチーフを採用している機種などの支持が高い。よって通常貸玉で「勝ち負け」を、低貸玉で「遊ぶ」ことを目的としている顧客の相違が見られ、新規顧客の開拓やスリープユーザーの復活が期待できるわけだ。結果として新台入替などの設備投資コストやそのための広告コストも圧縮でき、それが好決算へ繋がっている。
逆風の今こそ大きなビジネスチャンス
 今後の店舗展開に関しては「我々の業界は、今、淘汰再編の真っ只中で最終的な産業としての形が見えてくるのは10数年後だと思う。逆風の今こそ大きなビジネスチャンス。攻めにでてシェアを伸ばしたい」と優勝劣敗の中で淘汰される業者、店舗をいかに効率的に買収できるかがポイントになるという。
 「エリアは特定せず、出てきた物件が適地であれば出店する。地方だけでなく都心部への出店も視野に入れている」と競争環境にあえて身をさらし打ち勝つことも強い企業体となるための鍛錬だという。「ただ、競合に勝つことが全てとは考えません。地域社会との共生、企業体としての品格も非常に重要です」と企業体として成長する過程での調和の大切さを強調する。
競争力も品格も“人財の成長”から
 「競争に勝ち残るにも、品格ある企業体を築くにも、人材が全てです。いかに有能な人材集団を組織し機能させていくかに掛かっている」と人材育成が「企業化」への必須条件だと言い切る。現在、同社の総スタッフ数は約100人、1店舗あたり20人程度の配置になる。最近、江村新体制の組織構成を敷いた。会長、社長の代表取締役の下に取締役会、その下に江村社長自ら本部長を務める営業本部、さらに各営業支店、その他に営業企画部、人財開発部、危機管理部、商品部がある。さらに兼務する管理本部の下に経営管理部、総務人事課、経理財務課となっている。
 「大切なのは“社員の成長”。ひとりひとりの思いを大切にする。そして各々が高い意識を持っことで、お互いの信頼に繋がる。近年、若い社員が管理者として成長してくれている。企業の変革を担うのはその管理職クラス、彼らの成長は、必ず会社に変革と成長をもたらすはず」地域に責任ある企業として持続可能な態勢は、人と組織の成長の相互作用の中から生まれてくるという。
 今後は新卒の積極採用も計画しており、成長のポテンシャルが極めて高い注目企業として目が離せない新星となりそうだ。
企業DATA
[所在地] 〒860-0844 熊本市水道町4番32号
[TEL] 096-359-0053
[FAX] 096-359-5315
[資本金] 1000万円
[設立] 1975年2月
[事業内容] 遊技場経営
[代表者] 約100人
[URL] http://www.sunlight-group.jp
[出先] 店舗数:5店舗

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。