トップ Companies くまもと経済EX 2009 常に変革にチャレンジし、自由で創造性豊かなリーディングカンパニーを目指す
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
常に変革にチャレンジし、自由で創造性豊かなリーディングカンパニーを目指す
椛蛹
1円パチンコを導入、大幅増益を記録
 パチンコ人口の減少、全国チェーン企業の進出によるオーバーストアー、さらに法規制による人気パチスロ機の完全撤去、そして逆風の経済環境、遊技業界も熾烈な競争環境にさらされている。しかしながら同社の今期決算では、減収となるものの経常利益では21億3500万円を計上、税引前利益では前年比33%増の6億5600万円の大幅増益を記録した。
 要因としては、5号機への移行によるパチスロの落ち込みを、人気パチンコ機への入替が奏功したことと、昨年から大津店と山鹿店に導入した低価営業の1円パチンコにより集客がアップし、稼働率がよくなった点が上げられる。
 1円パチンコは、通常貸玉(4円パチンコ)に比べ射幸性は低いものの、ゲーム感覚で気軽に遊べるため、家族連れなど幅広い客層の呼び戻し効果があると言われており、導入により廃業を免れた弱小店舗も多いと言われる。そのためピーク時全国で18000店舗あった遊技場が12000店舗を切るのではないかと一時、懸念されていたが、今年3月末の段階では12987店舗と予想以上の数値に踏み止まっている。
 しかしながら、今後は1円パチンコもエリアでの競合の時期を迎えつつあり、その際は結局、新台入替をする設備投資力、いわゆる企業力で勝敗が決まると言われている。そうなると好決算を永年持続し企業体力のある同社などに最終的に軍配が上がるはずだ。

山口徳洋社長
やまぐち・とくひろ/熊本市坪井出身。1950(昭和25)年1月30日生まれの59歳。血液型O型。立教大学法学部卒。85(昭和60)年社長就任。(社)日遊協相談役。趣味は旅行(イタリアなど)、読書、ワイン。座右の銘は「懸命不動」(揺るぎない信念を持って事にあたれば何事も成就するという意)
「地域1番店」の高循環システムを構築、ブランディングに成功
 同社の高収益体質の背景には、徹底したエリアマーケティングとコストダウン戦略が貫かれている。「勝てる立地」と「効率的な設備投資」である。その勝てる立地が八代、天草、人吉と、過当競争状態が続いている熊本都市圏から南進策を執ってきた。一方では、「地域一番点になることが最大の命題。オンリーワンになれなければ撤退の覚悟も時には必要」といわゆる「勝てる立地」へのビルド&スクラップ戦略を徹底することで高収益体質をキープし続けている。
 そうした企業体力を背景に「顧客還元を実践できる店」としての評判が集客に繋がり、さらに繁盛店(地域1番店)としての好循環システムを構築している。いわゆる正の上昇スパイラルが“大劇”のブランディングを高めている。
 店舗展開に関しては、熊本市内では、建築基準法の条例が厳しくなり様々な規制に縛られているため都市圏での出店はほぼ視界には無いという。しかし、福岡や東京など大都市圏での立地の可能性については、綿密にリサーチしながら次のステップへの準備を着々と進めている。
パーソナルシステムの導入も計画
 「今後はパーソナルシステムの導入がカギを握る。これは1円パチンコ導入店にも有効なシステムでホールでの省力化が期待できる」(山口社長)と新システムの導入を計画している。パーソナルパチンコシステムとは、プリペイドカードシステムと各台に設置された計算機(精算機)が連動したオートメカのパチンコ機で、ドル箱が不要なため従業員の労働力軽減(人員効率化)が図れるためホールの経営効率もアップすると言われる。
借入金比率は5%未満に、次の出店構想も
 同社の資金調達方法も特筆すべきものがある。県内企業や全国の遊技業界に先駆け、私募債やシンジケートローンなどを利用した資金調達を行ってきた。新規店出店時など、これまで5回に亘り私募債を発行。第1回の発行から数えると調達額は19億6100万円。主要取引行のみずほ銀行、三井住友銀行が引受先となる銀行保証付無担保私募債。無担保私募債は、通常の担保付私募債に比べ、自己資本比率や利益率など厳しい審査基準が設定されている。同社はその基準値をクリアする財務内容であることが証明されたわけで、その信用力は極めて高い水準にあると言える。資金需要旺盛な業界の中で、借入金比率も5%を切るという超健全経営だ。2年後には完済し完全無借金経営となる見通しだ。
 「節税的意味合いからもそろそろ新規の設備投資も必要。来年には用地選定も」と新たな出店展開も睨んでいる。
「業界変革」から17年、人材が財産
 それは17年前、当時はまだ「お客様への接客」というという言葉のなかった、パチンコ屋と呼ばれていた時代。山口社長は「業界変革」を唱え、企業改革に着手した。合言葉は「パチンコ屋からサービス業へ」。ホテルや百貨店にもひけをとらない「サービス」を提供する。「質の高いサービス」こそ、お客様に選ばれる条件と考えている。そのサービスを体現する人材こそが財産であり武器ともいえる。業界に先駆け大卒の新卒採用を開始、これまでの店舗展開と企業業績の拡大も優秀な人材獲得とその成長によって実現してきたものだ。今期の定期採用では高卒の新卒20人の採用だが、新規展開と共に大卒採用も復活する計画だ。「勝ち組の中の勝ち組へ」、遊技業界でのリーディングカンパニーを目指すためにも人への投資は惜しまない。
企業DATA
[所在地] 〒860-0808 熊本市手取本町4-1
[TEL] 096-354-0611
[FAX] 096-352-4476
[資本金] 1000万円
[設立] 1983(昭和58)年
[事業内容] 遊技場経営
[従業員] 415人
[URL] http://www.taigeki.com
[出先] 店舗数:10店舗

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。