トップ Companies くまもと経済EX 2009 高度で暖かい医療と看護を提供し地域に愛される病院に
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■飲食・サービス 
■金融・保険・卸・流通・小売  ■情報通信・ICT関連  ■電力・運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
医療・医療関連・教育
高度で暖かい医療と看護を提供し地域に愛される病院に
医療法人 聖粒会 慈恵病院
 キリストの愛と献身の精神を信条に、高度で暖かい医療と看護の提供を理念に掲げる(医)聖粒会 慈恵病院(熊本市島崎6丁目、蓮田太二理事長)。診療科目は産婦人科、外科、内科、消化器外科、乳腺外科、こう門外科、麻酔科など多くの分野で患者の立場にたった高度で暖かい医療と看護を提供し、地域の人に愛される病院を目指している。
蓮田太二理事長
はすだ・たいじ/1936(昭和11)年1月23日生まれ、73歳。熊本大学医学部卒。医学博士。69年社会福祉法人聖母会琵琶崎聖母慈恵病院産婦人科部長、71年同病院長、78年医療法人聖粒会慈恵病院を設立、理事長に就任







蓮田晶一院長
はすだ・しょういち/1930(昭和5)年2月20日生まれ、78歳。九州大学医学部卒。胆石症の泰斗、日本外科学会会長の三宅博教授に師事。九州中央病院(福岡市)外科部長を経て、78年4月に実弟の産婦人科医・蓮田太二医師と共に慈恵病院を設立。79年に病院長に就任
内視鏡手術・乳がん・痔の診療など多岐に渡る診療
 外科では、平成3年春に県下では初となる腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、現在は胆石症、虫垂炎、腸閉塞、胃や大腸がんなどの広い分野での医療に実績を残している。また、急増する乳癌の精密検診機関、日本乳癌学会関連施設、日本がん治療認定医機構研修施設、日本外科学会・日本消化器外科学会専門医制度関連施設に認定。その他の先進治療として、ジオンという硬化剤を使った痔核の新しい注射療法や、PHP法という特殊な器具での手術も手掛けている。この術式は、こう門に傷がつかず腹腔鏡手術と同様に術後の痛みも少なく、患者さんに優しい手術といえる。診療は日本内視鏡外科学会技術認定医、日本臨床腫瘍学会指導医、日本外科学会・日本消化器外科学会・日本大腸肛門病学会専門医指導医が質の高い医療を提供。
 内科では、専門医が昼夜を分かたず一般疾患はもとより専門の成人病、内分泌疾患に加え、健康教室、栄養指導、人間ドックと予防医学に力を注いでいる。そのほか小児科では、専門医が一般疾患をはじめ専門の発育不全や癇癪(かんしゃく)など、多年の経験を生かした診療を行う。
実績を積み重ねる産科、婦人科
 婦人科では、昭和52年より膣式手術(子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮脱、膣脱、子宮初期癌等)を数多く実施。平成5年には腹腔鏡補助下子宮全摘出手術も始めた。
 産科は、ソフロロジー法による自然分娩を主に行っている。しかし、最近では無痛分娩を希望される方も多く、今後も増えていくものと思われる。一方で緊急帝王切開に備え、定期的にシミュレーションを行い、超短時間での帝王切開を実施できる体制を整えている。さらに婦人科では、このほど県内で初めて子宮脱の手術を開始し、これからは積極的に展開していく方針だ。
 また、従来の母親学級を両親学級として家族も一緒に参加できるようにし、妊娠中より心を育てる育児の話を行う。また出産後約1週間以内に電話を入れ、必要なケースには母と子の訪問や育児のサポートのための日帰りケア、エンゼル広場(育児サークル)、双子・三つ子の会の「さくら会」など、妊娠中より産後のケアを大切にして育児支援も含めて一貫した関わりをもっている。産後のうつ病が全体の10〜15%を占めると言われている中、慈恵病院ではその発生を0に近い状態を維持している。
運用から2年“こうのとりのゆりかご”の支援広がる
 日本で初めての取り組みとして全国的に話題となった「こうのとりのゆりかご」。本来の目的は、1人でも多くの赤ちゃんとお母さんが幸せを実感できるように、預ける前に相談していただくこと。子どもは家庭で育つことが最良の方法だと考え、事前の相談により選択肢が広がり解決策が見つかることも少なくない。運用開始から2年。「こうのとりのゆりかご」の平成20年度利用件数が25件。同年度の電話による全国各地からの初回相談件数は472件で、運用開始からの2年間で973件にまで上るという。同院によると「これはあくまで初回相談件数であり、同一の方による複数回の相談を含めた延べ相談件数はこの3〜5倍になる」のだそうだ。また、田尻由貴子看護部長によると「私と産婦人科の看護師長、外来の看護師長の3人で対応しているため、交代で携帯電話を持ちいつ電話がかかってきても対応できるようにしている」のだという。設置を発表した当初は、病院に寄せられるメール、手紙、電話には反対意見が半数ほどを占めていた。それが時とともに賛成者の数が増え、2年目を迎えて周囲の反応が驚くほど良くなったという。
 同院では現在、依頼を受け「命」をテーマに青年会議所、カトリック系の保育園、PTA、地域の婦人会などでの講演活動を行っている。状況を理解してもらうことで「ゆりかご」に対する考え方に変化が見られてきたのではないかと推測する。また、「全国には4万件以上の児童虐待が報告されており、ゆりかごの運用が遺棄を助長しているのであれば、25人では済まず千人近くになるはずだ」と見解を述べる。
第三者評価による改善
 慈恵病院は、平成10年12月に県内で3番目となる(財)日本医療機能評価機構による認定を受けた。平成20年11月には、高い評価を受けて3回目の更新を完了している。また、地域に愛される病院を目指して、患者や地域の方々とのモニター会議を年4回開き、病院を利用する人々のためにより良い改善ができるように努めている。これからも定期的に第三者評価を行っていくことで、より質の高い医療を提供できる体制づくりに取り組んでいく。
企業DATA
[所在地] 〒860-0073 熊本市島崎6-1-27
[TEL] 096-355-6131
[FAX] 096-359-8221
[事業内容]  [診療科目] 外科、乳腺外科、こう門外科、消化器外科、内科、産婦人科、小児科、麻酔科
[従業員] 約170人 医師 常勤11人 [病床数] 98床
[URL] http://www.jikei-hp.or.jp

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。