トップ Companies くまもと経済EX 2009 創立50周年の歴史と伝統を礎に、次代の保健医療を担う人材を育成
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■飲食・サービス 
■金融・保険・卸・流通・小売  ■情報通信・ICT関連  ■電力・運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
医療・医療関連・教育
創立50周年の歴史と伝統を礎に、次代の保健医療を担う人材を育成
(学)銀杏学園 熊本保健科学大学
1959年に化血研衛生検査技師養成所として創立
 学校法人銀杏学園・熊本保健科学大学(熊本市和泉町、小野友道学長)は、今年創立50周年を迎えた。同大学の前身は1959(昭和34)年に(財)化学及血清療法研究所が公益事業の一環として設立した、化血研衛生検査技師養成所である。この養成所は厚生省指定の衛生検査技師養成所として、全国で初めて創立された6施設の一つだった。翌年熊本医学技術専門学校と改称、その後1968(昭和43)年に銀杏学園短期大学(2年制・衛生技術科)へと発展、1973(昭和48)年からは3年制へと移行した。またこの年には熊本市京町から清水町への校舎移転も実施した。1983(昭和58)年に地域社会の要望に応え、新たに進学課程(2年制)の看護科を増設した。
 その後、医療環境の急激な変化・発展に伴う時代の要望に応え、改組転換し2003(平成15)年に保健科学部に衛生技術学科、看護学科を配置する熊本保健科学大学を開学した。同大学の開学に伴い、キャンパスも和泉町へと移転した。現在では衛生技術学科、看護学科、リハビリテーション学科、助産別科(1年課程)を擁して臨床検査技師、食品衛生管理者、MR(医療情報担当者)、CRC(治験コーディネーター)、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士など、保健医療分野で活躍する専門性の高い人材を育成している。
 小野学長は「50年という歴史の重みを感じている。設立母体である化血研と、これまで地域に根ざした学校運営を行ってきた方々に感謝したい」と創立50周年を迎えた感想を述べる。今年は@猫について考えるシンポジウムA一ノ瀬たけしスプリングコンサートB桜記念植樹100本C認定看護師教育課程開設記念キックオフシンポジウムD創立50周年記念・柳田邦男講演会(第8回公開講座)E大学院開設記念キックオフシンポジウムなど、50周年の記念行事を続けている。

小野友道学長
おの・ともみち/1940年8月23日生まれ68歳。山口県周南市(旧徳山市)出身。熊本大学医学部卒。79年熊本大学医学部皮膚科助教授、91年同教授、2002年医学部長、03年同大学院医学薬学研究部長、04年国立大学法人熊本大学理事・副学長、06年11月熊本保健科学大学副学長、07年4月から現職。
大学院保健科学研究科を開設
 医療現場が大きな変化を見せる中、小野学長は「患者さんを中心に置き、医師、看護師、臨床検査技師、理学療法士ら医療スタッフが、お互いに情報を提供しながら治療にあたる“チーム医療”が現在の医療の流れです。本学では、このチーム医療を支えるメディカル・スタッフの育成が重要な使命だと考えています」と大学の教育方針について説明する。この言葉を裏付けるように、同大学の既設学科では国家資格を取得した学生は、県内外の大規模病院や製薬会社・医療関連企業などにほぼ100%就職を決めている。また助産別科の修了生も全員が国家資格に合格している。
 また同大学は「この50年の歴史を踏まえ、さらなる高度専門職人材養成を行いたい」(小野学長)との思いから、今年大学院保健科学研究科保健科学専攻(修士課程)を新設した。 臨床検査領域とリハビリテーション領域において、より高度な知識と技術を有するプロ育成を目的として、スキルアップした研究を実施する。この大学院は一般学生以外にも、医療現場や地域で活躍している社会人にも広く門戸を開いているのも特徴だ。
国内3ヵ所目の認定看護師教育課程を開講
 加えてキャリア教育研修センターを設置し、今年10月から国内初の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程を開講。認定看護師は、日本看護協会の看護師認定審査に合格し、現在19分野ある看護分野で、熟練した看護技術と知識を用いて高水準の看護実践を行える人材のことだ。看護師に対して指導・相談活動などを行い、他職種との調整を図り総合的で質の高い看護の実践を目的としているため、チーム医療の中でも中核を担う人材として期待も高い。「脳卒中リハビリテーション看護の課程は、現在熊本、愛知、静岡の3県でしか開講されていません。そのため北海道や関東圏からの受験者もあり、ニーズの高さを感じています」と小野学長は手応えを感じている。
大学の特性生かした地域との連携活動を実施
 “地域に密着し、開かれた大学”を標榜する同大学は、地域連携にも熱心に取り組んでいる。昨年には熊本市北部商工会と地域協定を締結。西里地域健康講演会や商工会フェア(健康まつり)、ワールドフーズカーニバルinフードパル熊本での血液サラサラ度・骨密度測定など地域住民や企業の健康管理分野で、大学の特性を生かした活動を行っている。小野学長は「学生たちがこれらのボランティア活動で学外の人たちと触れ合うことは、大変に大きな勉強の機会だと思います。特にチーム医療で不可欠なコミュニケーション力を養えると考えています」と期待を込める。同時に国際連携の進展を目的に韓国、中国、タイの大学・専門学校との連携・交流を開始した。
 また2003年から始めた公開講演会も定着し、現在では入場券の入手が困難なほどの人気を集めている。第一回目の日野原重明・聖路加病院名誉院長・理事長に始まり、スポーツジャーナリストの乙武洋匡さん、作家・放送タレントの永六輔さん、堀田力・さわやか福祉財団理事長、作家の渡辺淳一さん、鎌田實・諏訪中央病院名誉院長、評論家の金美齢さんなど、各界のトップクラスのメンバーを講師として招聘している。今年6月に創立50周年記念として行った講演会では、ノンフィクション作家・評論家の柳田邦男さんが「いのちを見る眼」をテーマに講演、約1600人が来場した。
専門看護師育成のため新コース開設も視野に
 「保健医療の関連分野は生命を預かる専門職です。その点をきちんと踏まえ、人に優しく、チーム医療の中で活躍できる人材を培いたい。それには社会に複合的に発生する出来事を広い視野で捉え、そこから自分自身で問題を見出し、立ち向かい、解決の方策を模索する能力を涵養していきたい」と抱負を話す小野学長は、将来的な展開として専門看護師育成などのコース新設を視野に入れている。保健・医療・看護分野でのスペシャリスト養成機関として、同大学の教育・研究環境の充実強化は、時代に対応しながら一歩先を見据え着実に歩みを進めている。
企業DATA
[所在地] 〒861-5598 熊本市和泉町325
[TEL] 096-275-2111
[FAX] 096-245-3126
[事業内容]  [学部構成] 保健科学部(1学部3学科)衛生技術学科、看護学科、リハビリテーション学科、理学療法学専攻・作業療法学専攻、助産別科、大学院保健科学研究科保健科学専攻(修士課程)、キャリア教育研修センター認定看護師教育課程(脳卒中リハビリテーション看護分野)
[従業員]  [学生数] 1,222人
[URL] http://www.kumamoto-hsu.ac.jp
[出先]  [沿革] 昭和34年化血研衛生検査技師養成所の創立 昭和35年熊本医学技術専門学校と改称 昭和43年銀杏学園短期大学(2年制)衛生技術科 昭和48年銀杏学園短期大学(3年制)衛生技術科 昭和58年銀杏学園短期大学(2年制)看護科 平成15年熊本保健科学大学開学(保健科学部衛生技術学科、看護学科) 平成19年保健科学部リハビリテーション学科増設、助産別科新設 平成21年熊本保健科学大学大学院(修士課程)新設キャリア教育研修センター開設

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。