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くまもと経済EX 2010

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製造・農業
自社技術を医療分野で“進化” アメリカに現地法人、海外市場も積極展開
リバテープ製薬
“進化”キーワードに新製品
 社名にも冠している家庭用ばんそうこう「リバテープ」を開発したことで知られる同社だが、現在の「リバテープ」の売上に占める割合は1/4以下。5割以上を占める医療機関向けの製品群に主軸を移し、売上を伸ばしている。杉山社長は「ばんそうこうで培ってきた技術を基礎に、医療の分野でハイクオリティな商品を提供する。製品開発のキーワードは“進化”。自社が持つ技術を医薬品の分野で応用していきたい」と話す。
厚さ10ミクロンの極薄フィルム
 近年、特に注目を集めているのが家庭向けに「フレックスケア」の名称で販売している、厚さ10ミクロンの極薄フィルムだ。同製品は、今年5月、第13回の熊本県工業大賞・奨励賞を受賞するなど各方面で高い評価を受けている。
 非常に薄い透明フィルムのため、柔軟性、伸縮性に優れており、貼付中の違和感がほとんどないというのが最大の特徴。防水性を持っており、貼り付けしたまま入浴・シャワーが可能で、外部からの細菌の侵入を防ぐことができる。また、1日あたりの水蒸気透過量は約3千g/uと従来製品の3倍の透過性があり、体内からの発汗などによるムレを抑えられるという。個人向けの販売以外にも、医療機関向け商材にも商品化。創傷面の被膜保護、注射針・カテーテルなどの穿刺部の固定や被膜保護用のテープとして活用が期待されており、医療関係者からの評価も非常に高いという。
 今年4月には、この10ミクロンの極薄フィルムをさらに“進化”。大学との共同研究を通して、粘着面にビタミンCなどを配合し、貼っておくだけで有効成分を経皮吸収させ、肌のケアができる美容シートとして販売を始めている。
 また、ばんそうこうで培ってきた貼付技術に着目。大学との産学連携で、大学が開発した肌へ有効成分を吸収促進させる技術と、同社の貼付技術を組み合わせた新たな製品の共同研究が進んでいる。今年秋にも、しわ用・しみ用化粧品として、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが主成分の経皮吸収剤の発売を予定している。
全国5000超の病院で採用される分包消毒剤
 主軸となっている医療機関向け商品の中でも、中心的な役割を果たしているのが自社開発の個別包装の外用消毒剤。「スワブパッド」「スワブスティック」「薬剤綿球」など使用用途に応じた製品を開発し、全国約5000を超える医療機関で採用されている。これらの消毒剤は現在も好調を維持。今年6月には、約1億6千万円をかけ菊池市七城町の熊本第2工場に分包消毒剤の製造ラインを増設。需要増に対応した生産体制の拡充を図っている。
 また、新型インフルエンザ対策などで消毒剤の需要が高まる中、今年3月には、携帯用に分包したジェルタイプ消毒剤を新たに商品化。本社工場に約4000万円をかけ、製造ラインを新設した。携帯用、1回使いきりのジェルタイプ消毒剤は全国初だという。
米・ロサンゼルスに現地法人を開設
 医療機関向け商材の海外展開にも積極的に取り組んでいる。毎年秋にドイツで開催される世界最大の医療用品国際展示会「MEDICA」にも3年連続で出展。この展示会をきっかけに、ロシア、中国、UAE、タイ、スーダンなどの国との取引を開始した。また、今年6月には、アメリカ・ロサンゼルスに現地法人L.U.C(リバテープ・USA)を設立。現地に専属スタッフを置き、医療機関向け商材の北米展開も本格的に始めている。
 中国市場も、本格的な進出から約4年。富裕層が多い沿海部の医療機関を中心に販路を拡大してきた。今後のさらなる拡大に向け、現地からの要望が高いコストを抑えた製品などの商品化も検討しているという。
直販事業も来年には黒字化
 自社開発の化粧品を中心にした直販事業も堅調に推移している。30代以上の女性をメーンターゲットに展開しており、中心となっているのは「リマーユ」シリーズの名称で販売している「馬油」を基材にしたシャンプー、トリートメント、せっけんなど。リピーターの数も順調に増えており、1年後の黒字化を目指している。
「常に改革・革新を」
 「商品のライフサイクルが短くなり、ヒット商品がつくりにくい時代。中小企業は常に改革・革新をしていかないと厳しくなっていく。今後も産学連携を強化し、高付加価値で顧客満足度の高い新しい商品を常に生み出し、新しい市場を開拓したい」と意欲を話す杉山社長。「フットワークの軽さは中小企業の1つの武器。全員参加による活性型の企業運営を心がけ、全社員が同じ方向に伸びていける社風をつくりたい」と力を込めた。
profile
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杉山宏治 社長
すぎやま・こうじ/宇城市小川町出身。1943(昭和18)年8月12日生まれ、66歳。67年同社入社、76年取締役営業部長、84年常務取締役、96年から現職。趣味は釣り
企業DATA
[所在地] 〒861-0136 熊本市植木町岩野45
[TEL] 096-272-0631
[FAX] 096-275-1064
[資本金] 1億円
[設立] 1960(昭和35)年5月
[事業内容] 医薬品・医療機器・医薬部外品・化粧品・健康食品の製造販売 
[年商] 約38億円(10年3月期)
[代表者] 杉山宏治社長
[従業員] 250人
[URL] http://www.libatape.jp
[出先] 本社・工場(熊本市植木町)、熊本第2工場(菊池市七城町)、東京営業所(東京都新宿区)、大阪営業所(大阪市天王寺区)、熊本営業所(熊本市植木町)、商品センター(菊池市七城町)

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。