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くまもと経済EX 2010

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鞄本リモナイト
阿蘇からの贈り物『リモナイト(阿蘇黄土)』
 リモナイトとは、沼地や浅い海などの鉄分を多く含む水が空気に触れ、酸化作用が起きた際に沈殿した黄土のことで、「褐鉄鉱」「沼鉄鉱」とも呼ばれる。阿蘇でしか採れないので、別名「阿蘇黄土」ともいわれる。
 なぜ、阿蘇でしか採掘できないのか。それは阿蘇の大噴火が深く関係しているからである。阿蘇の度重なる大噴火は、阿蘇山と外輪山との間に大きな火口湖を生み出した。火口湖には、地中から排出されたマグマや熱水に含まれるミネラル成分が多量に流入し、植物などの有機物も蓄積され、それらは水中で分離分解された。やがて、湖は干上がり、火口湖は大きなカルデラとなって今の姿となり、溶出した鉄分を多く含む堆積物がリモナイト鉱として、阿蘇・狩尾一帯に分布したのである。現在でも地下から湧き出る水は、鉄分やミネラル分を多く含み地上で酸化し蓄積し続けている。いわば、リモナイトは阿蘇からの贈り物なのだ。
 埋蔵量は約260万トンともいわれており、年間出荷量は約2千トンにも上る。戦後、この一帯約2千ヘクタールにわたる鉱業権は三井鉱山のもので、採掘していた鉄を八幡製鉄所に供給していた。現在、鉄で生計を立てている金属鉱山は全国でも同社だけという。
リモナイトが持つ多様な能力
 採掘されたばかりの土は酸化第一鉄で、これを3年かけ天日干しなどを繰り返し、水酸化第二鉄に変化させる。水酸化第二鉄は、ガスや有害物質との結合が高く吸着力に優れており、アンモニアやリン、硫化水素や残留塩素などを引き付けるという作用をあらゆる分野で利用し商品化、現在では脱硫剤など商品数も13種類にも上る。天然資源から生み出すものなので、“エコ”であることはいうまでもない。さらに、同社は日本で唯一、脱硫剤リサイクル技術(熊本県産業技術センターと共同開発:特許公開中)を有するため、使用済み脱硫剤を廃棄することなく、原料へと再生できる環境に優しい企業なのである。
 代表的な商品は、畜産飼料添加剤「ライトミネラル」。豚は、本質的に優れた選別能力と採食能力を持っている。豚舎飼いにより、土に接さず飼養されるようになった豚はミネラル不足になりやすい。豚は不足したミネラルを動物的本能で体に取り入れようとするため、ライトミネラルを競って食べるという。天然ミネラルで鉄分を多く含んだ同商品には、免疫力の向上や体質改善などの効果が見込まれる。また、土壌改良用活性土「リモニド」は、土壌内に含まれるアンモニアや硫化水素ガスを吸着することにより、根の成長の妨げを抑えることができる。ほかにも、土壌内のミネラル補給や微生物の活性化などの効果があるため、「収穫時期が早まる、野菜の日持ちが良くなる」など、農家からの声があるという。そのほかカルシウム、マグネシウムといったマルチミネラルがバランスよく含まれているので、ペット用健康捕助食品としても販売。ペットやトイレ、水まわり、部屋など、臭いが気になる場所に振りかければ、消臭効果もあるという。
 同社では、宮崎県の口蹄疫被害の支援として、希望者にはリモナイトを利用してもらっている。「リモナイトは消臭・脱臭効果を持つため、口蹄疫により奇しくも殺処分となった家畜を埋却した土壌に散布していただくことで、異臭などの抑制が期待できる」と説明する。
マレーシアに現地法人を設立
 同社はこのほど、マレーシアに現地法人「LIMONITE MALAYSIA」を設立し、輸入・販売の許可を取得した。
 同社の海外進出は韓国、中国・台湾に続くもので、畜産の飼料添加剤およびペット用商品の輸出供給を開始した。今年7月には現地代理店が来日。阿蘇市の生産工場を視察し、さらなる販売拡大に向けた計画と協力体制を確認した。畜産に関しては現地の飼料メーカーにもオファーを開始、リモナイトを配合した飼料の製造も視野に入れている。ペット商品は、マレーシアでのオリジナルブランドを立ち上げ、動物病院、ペットショップを中心に販売を展開する予定。また、将来的には同法人を拠点とし、周辺諸国(インドネシア、タイ、シンガポールなど)への輸出展開も計画しているという。
 「阿蘇の恵みであるリモナイトは地の塩であり味の素。自然が自然の摂理によって生成したこの天然資源を最大限に活用し、本来の自然の機能に還すことを通じて、安全で安心できる地球環境を創造し、人々の健康で幸福な生活の実現に貢献する“地球企業”となることを目指すとともに、思いやりの心を持って社会に尽くします」と語る杉原実会長。
 熊本・阿蘇から世界へ・・・同社の挑戦は続く。
profile
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杉原 実 会長
すぎはら・みのる/阿蘇市出身、1930(昭和5)年11月15日生まれの79歳。熊本高校‐熊本商科大学卒。有明製鉄梶A阿蘇鉱山鰍経て日本リモナイト汲創設。趣味は絵画、写真、アマチュア無線。江原伝承塾塾長
profile
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栗谷 利夫 社長
くりや・としお/熊本市出身、1949(昭和24)年8月11日生まれの60歳。中学3年より5年間仏門に入る。僧・筆名 厚盛(こうじょう)。著書に「社会活動倶楽部」「民幕府」「創世紀」など。昨年は、メセナ、経済そして青春の葛藤を題材にした小説「回廊(回廊・萌ゆ・蒼き鳴動)」出版。
企業DATA
[所在地] 〒869-2235 阿蘇市狩尾289
[TEL] 0967(32)1082
[FAX] 0967(32)3709
[資本金] 1億円
[設立] 1966(昭和41)年2月
[代表者] 杉原実会長 栗谷利夫社長
[従業員] 30人
[URL] http://www.limonic.co.jp
[出先] 熊本営業所 〒860-0812 熊本市南熊本3-14-138 くまもと大学連携インキュベータ202 TEL096(374)7701 FAX096(374)7705     阿蘇鉱業所、東京営業所、福岡営業所、ニューヨーク
[関連企業] 笈「蘇デザインファーム、Sindo.U.S.A

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。