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くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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製造・農業
次の時代を見据えた ファクトリーイノベーションを提案
潟Gヌエーエスコーポレーション
RFID利用した工程履歴管理システムを開発
 ものづくり企業として、あらゆるシーンでの業務効率化、省力化の提案をする潟Gヌエーエスコーポレーション(合志市御代志、中川一男社長)はこのほど、RFIDを利用した工程履歴管理システムを開発した。
 RFIDとは、無線通信を利用した非接触型の自動認識技術で、今回開発したのは入出力機器を工程ごとに用いて履歴や情報を管理するもの。カード型のRFIDタグを、カードリーダーを改良した機器に通してロットナンバーを発行。製品と一緒に工場内を流れていき、工程ごとに置かれた専用の機器にかざすだけでサーバー上に履歴が残される。一般的なバーコード管理では、はがれやすさや水濡れなどに弱く、読み込みに手間がかかるといった欠点があったが、カード式のRFIDはそれらを克服しているだけでなく、表面には必要情報を印字できるため、データベースと紙ベースの二つの方式で工程管理していくことができる。カードは約500回の書き換えが可能でコストパフォーマンスにも優れている。また、工程上様々な実績(不良内容など)を入力する必要がある場合においては、顧客の業態に合わせたソフトを同社が開発。IDを読み込み後、タッチパネルで必要な情報が入力できるようになっている。もし、工程を飛ばして次の工程に入ってきた場合には、読み込み時にエラー表示が出るためミスの防止にも役立つ。
 RFIDを利用したシステム導入のメリットとしては、データ入力の手間が省けて工程履歴管理を省力化できるほか、リアルタイムに在庫がどの場所にあるのかなどを把握することも可能になる。また、万が一にロット単位での不良が発生した場合には対象の製品を絞り込むことができるため、対策コスト等のリスクを回避することができる。そのほか、製品が市場に出回った際のアフターサービスやメンテナンス、さらに廃棄後のリサイクルする際にも工程の簡略化が期待される。
 「きっかけは自社の工程管理の省力化を考えたことから」と中川社長。電子機器の受託生産などに取り組む同社だから、工程管理に必要なノウハウやアイデアは持ち合わせている。また、ISMS(情報セキュリティーマネジメントシステム)を運用する同社では、入退室管理も強化しており、そこにRFIDを活用していた。今回のシステム開発もそんな同社の“ものづくり企業”の強みを存分に生かした格好だ。第一弾は夏以降に電子部品を製造する工場に納品を予定している。
 中川社長は「安心・安全の観点からトレーサビリティーの強化はあらゆる分野で求められてきている」と話すように、同システムは工業・農業・食料加工など業種等を問わず様々な製造工場で活用できる。また、システムや機器を応用することでトレーサビリティーの中でも倉庫や物流管理といった活用方法や、資産・備品管理への応用、セキュリティシステム、販売管理、書類や書籍管理、顧客管理など、利用する側の使用目的や利用環境などに柔軟に対応していけることが魅力だ。「お客様が抱える問題や、もっと効率的にしたいという個々のご要望に応じたシステムを作り上げていく。管理に対する悩みをお気軽にご相談いただき、一緒に解決していきたい」と話した。
悩みの数だけニーズがある。新たなツールで問題解決
 自社におけるLCA(ローコストオートメーション)の取り組みなどを生かした「ファクトリーイノベーション」を掲げる同社では、工場における業務の効率化、自働化の推進で顧客の“ものづくり”のサポートも得意としている。また、同社の仕事は何も工場に留まるものではなく、自らが持つ“ものづくり力”を発揮し、あらゆるシーンの“不便”を“便利”に変えることで悩み解決に一役買っている。
 例えば医療の現場では、限られたスペースに配置する電子カルテ用のパソコンをスムーズに利用できるような専用の台を開発。また、内視鏡洗浄装置のオプション品の開発を手掛けるなど小さなことでも、そこで働く人がスムーズに業務をこなせるようなツールを導入することで現場の効率化をサポートする。
 さらに農業の分野では、特定野菜の選別機を開発し作業効率のアップに貢献。変わったところではアスパラガス収穫専用のはさみを開発し話題を呼んでいる。その名も「寄切楽太郎」で、読んで字のごとくそれまで一般的な採取用ハサミでアスパラを一度切断し、落ちたアスパラを拾い寄せるという作業が必要だったがそれを一度にやってのける。簡単なことのようだが、生産現場での収穫時間を20%程度削減できたほか、収穫時の無理な姿勢の緩和につながり、収穫負荷の軽減に役立っている。実用新案登録も済ませいている同商品は、はさみに取り付けられたクランプ部分を取り替えることでベビーリーフ、ナスビ、イチゴなど様々な作物の収穫に対応できるのがポイントだ。
 そのほか、同社では各種ソフトの開発、ネットワーク管理サービス、パソコン教室「ホームコンじゅく」の運営など業務は多岐に渡るが、その全てに共通していることは悩みをニーズと捉え問題解決に向けて確実なサポートを推進しているということだ。「悩みの数だけニーズがある」ことをモットーに、同社が持つアイデアと技術力があらゆるシーンの問題を解決へと導いていく。
企業DATA
[所在地] 〒861-1104 合志市御代志489
[TEL] 096-348-5551
[FAX] 096-348-5561
[資本金] 4,000万円
[設立] 平成9年2月
[事業内容] 【MBS事業ドメイン】マーケティング事業 ビジネスソリューション 事業サポート事業  【EMS事業ドメイン】エンジニアリング事業 マニファクチャリング事業 ソフト開発事業
[代表者] 中川一男
[従業員] 223人
[URL] http://www.nas-net.co.jp/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。