トップ Companies くまもと経済EX 2010 コンクリート2次製品で合理化、省力化に貢献
くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■サービス 
■金融・卸・飲食  ■情報通信・ICT関連  ■運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
製造・農業
コンクリート2次製品で合理化、省力化に貢献
熊本不二コンクリート工業
 創業から37年、二度のオイルショック、バブル崩壊といった幾多の危機を糧とし、無駄の無い高効率経営に磨きをかけてきた菊池市泗水町のコンクリート二次製品製造・熊本不二コンクリート工業梶B事業収益性の高さ、財務内容の充実振りから、文字通り「顧客から選ばれる企業」の一つといえる。一工場あたりの売上高、経常利益で全国一の業績と評価された同社の事業運営のノウハウは、山田社長自身の経営者としての経験と、事業にかける情熱が生み出したものだといえる。「言葉で説明すればありきたりのことですが、些細なことを見逃さず絶えず改善を繰り返した結果が今の姿だということです。大勢の人が働く工場は、毎日その姿を変化させるまさに生き物ともいえる存在です。ずっと同じ姿形ではありません。命を持つ生き物として接し、変化を見逃さず育み育てていくということでしょうか」。70歳を越えた今でも、山田社長は毎朝の工場の見回りを欠かさない。数字からでは分からない生産現場の様子を、自分の五感を駆使し感じ取る山田社長ならではの工場管理の手法だ。
高品質、高機能製品に対応
 同社では、昨年約3500万円を投資し、シェイク方式による二次製品成型装置を導入した。
 これは、従来の型枠に流し込んだ生コンをバイブレーション(振動)をかけることで型どおりに充填する方法に対して、流動性の高い高流動生コンを使用し、型枠をゆすることで(シェイク方式)充填する方法。気泡のない、表面が平滑な製品に仕上がるなど、高品質な製品製造に適した方式だ。「インフラ整備で使用される二次製品の中で、特に一般に目にとまりやすい製品には、機能だけでなく、外見の美しさなども配慮した製品づくりが求められています。当社では、シェイク方式による二次製品製造の比率を、今後少しずつ高めていく考えです」。
環境、景観にも配慮
 現在コンクリート二次製品は、普段の生活の身近な場所で利用されることから、意匠やデザインなどの工夫や、現場作業の合理化、効率化までを視野に入れた、文字通り環境対応型製品の開発が求められている。同社では景観に配慮した、地下水涵養にも役立つポーラスコンクリート製道路側溝、雨水浸透枡、のり面を安定させ、やわらかな緑の雍壁をつくる2次製品「サングリーン」など、環境、景観に配慮した2次製品づくりにも積極的に取り組んでいる。
 「環境保護、エコロジー社会実現にむけての世界的な潮流の前に、業界も新たな対応を求められています。機能性一点張りの製品づくりから、環境や景観に配慮した製品開発、自然との調和を目指した工法の開発など、時代の求めに応じて、二次製品へのニーズも今後大きく変化するものと思います」。
二次製品で合理化、省力化に貢献
 現場作業員の高齢化、熟練工の不足など、深刻な問題を抱える建設業界では、現場作業の省力化、合理化が急務の課題だ。同社ではそうした時代の要請に応えるべく、同社オリジナルの二次製品「ヘイベック」を開発。従来のブロック積みに比べ、熟練工・一般工を多数必要とせず、一般的な重機で速く確実な施工を実現した。現場のコンクリート工事をほとんど必要としないことから、現場作業の軽減化も図れるなど、まさに業界が求める合理性、省力化に対応した二次製品といえる。
 業界の合理化の流れから、今後現場打ちから、二次製品を多用するコンクリート工事が増えていくと語る山田社長。二次製品利用は、工場生産による均一な製品で、少人数で手早く、経済的に施工できることから、管理費・経費の削減にも役立つという。
 今後の市場の推移については、建設業界の省力化、効率化の一層の進展で、低コストで、施工性の高い2次製品の需要がますます高まると言われている。欧米諸国では、セメント需要の約25%が2次製品で占められているのに比べ、国内の2次製品需要が未だ約13%程度にとどまっていることから、「今後日本でのコンクリート2次製品の需要は継続的に高まるのでは」と、今後の市場拡大に期待をにじませる。
年内に特別養護老人ホーム建設
 同社山田社長が理事長を務める社会福祉法人「東康会」では、菊池市泗水町に、年内を目処に特別養護老人ホームの建設を予定している。同法人では、三角町で福祉工場ウッドピアねんりん、福祉ホーム花の島・こちょう苑を経営しており、今回特別養護老人ホームを機に、高齢者向け介護福祉事業に取り組む意向だ。「日本で唯一、工場敷地内の天然温泉施設として有名になりました不二の湯の事業ノウハウを生かし、温泉施設と組み合わせた福祉施設の構想を具体化していきたい」と今後の抱負を語った。
profile
---------------------------------------------------------
山田純策 社長
やまだ・じゅんさく/1937(昭和12)年5月13日生まれの73歳、本渡市南新町出身、56年天草高校‐60年法政大学法学部卒、同年帝国ヒューム管鞄社、73年退社、同年熊本不二コンクリート工業叶ン立、代表取締役社長。(社)菊池法人会会長、社会福祉法人「東康会」理事長、二男、一女。趣味は旅行、長男敬太さんは同社専務取締役。長女麻紀子さんは合志市で司法書士事務所を開業。次男健二さんは社会福祉法人「東康会」施設長。
企業DATA
[所在地] 861-1214 菊池市泗水町田島2444
[TEL] 0968-38-3131
[資本金] 1,000万円
[設立] 73年
[事業内容] コンクリート二次製品製造販売・[道路用コンクリート製品(U字側溝、L型等)・下水道用コンクリート製品(組立マンホール、各種桝等)・農業用コンクリート製品(FNDベンチ等)・その他各種コンクリート製品の製造販売]
[年商] 23億(2010年6月期)
[従業員] 135人
[出先] 天草営業所(上天草市松島町)

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。