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くまもと経済EX 2010

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こんにゃくの魅力を全国へ発信 県産品使用の新商品開発でこんにゃくを未来へ伝承
(資)鳥丸八十七商店
 「味のある名脇役」───そんな言葉の似合う日本の伝統食「こんにゃく」。これをこよなく愛し、そこに秘める可能性を引き出しつつ未来へ伝えようとするのは、こんにゃく製造・卸売の(資)鳥丸八十七商店(熊本市細工町、鳥丸宣彦社長)。
 同社は大正6年に創業者鳥丸八十七が創業。彼は大日本博覧会にて、こんにゃくの製法を評価され、有功賞銀賞を受賞した人物。創業から93年を経てもなお、「こんにゃく」という食品の魅力を探求し続けている・・・・・・。
こんにゃくへの信念と愛情がおいしさの秘訣
 「ハイ、ハイ!ハイ、ハイ!」。歴史を感じる大正のレトロな建物の中から聞こえる威勢の良い掛け声。創業から代々受け継がれたこんにゃく作りにおける阿吽の呼吸。時を経ても色あせることなく、いまに生き続けている。「時間との勝負でもあるこんにゃく作りは、笑顔で、はつらつ、テンポよくがポイント。息の合った作業がこんにゃくをよりおいしく、清涼でふくよかに仕上げるんです」と生き生きと話す4代目鳥丸克彦専務。
 同社では国産のこんにゃく芋からできる高品質の特級粉を使用。また水には、おいしさの産婆役とも言える熊本の地下水を軟水加工して使っている。高い技術や良質な原料はもちろんのこと、「おいしいこんにゃくをお届けしたい」という堅固な信念と深い愛情が、「鳥丸のこんにゃく」のおいしさの秘訣となっているのだろう。
県産品を原料に新たなこんにゃくの味を創出
 日本の伝統食こんにゃくの可能性を掘り起こそうと、同社ではさまざまな次世代こんにゃくを生み出している。現在主力商品として売り出しているのが、山都町産のゆずを練り込んださしみこんにゃく「ゆずっこ」。また、昨年農林水産省が実施する「農商工等連携事業計画制度」で認定を受け、現在熊本市供合産のキヨミドリ大豆のおからを使ったこんにゃくを開発中。豆腐を作る際に出るおからの有効活用と県産品のPRを主な目的としている。ほかにも企業や農家と連携し、県の特産物を原料にした新商品も開発中で、おいしいこんにゃくを生み出すため日々研究に勤しんでいる。
 「こんにゃくに熊本の特産品を取り入れることで、熊本県のPRに貢献したい。熊本ブランドとして県内外に認知させていければ。新商品開発はこんにゃくの新たな味を知ってもらう機会。さまざまな手段を使っておいしさを伝承していきたい」と意気込む鳥丸専務。同社ではこんにゃくを若い世代、特に10代、20代の人に食べてもらうために、さらなる新商品開発に挑んでいる。こんにゃくの未来への可能性を切り拓いていく心構えだ。
『一日一生』。こんにゃくを未来へ伝承する
 業務用商品こんにゃくを製造する同社では、要望に沿った大きさや形にして3日以内でサンプルを渡している。鳥丸社長自らが計算し、型枠を設計・製作。これまでのノウハウを駆使し、同社製造機械で製造するので、短期間で試作が完成するのだろう。
 最近では小売店での熊本フェアーなどに出店し、試食販売への取り組みを開始した。「お客さまに直接対面し、こんにゃくへの思いを言葉で伝え、要望を直に聞き入れることが、おいしいこんにゃく作りに役立つと考えています」と語る鳥丸専務。
 九州新幹線全線開業をビジネスチャンスと捉え、お土産品としてのこんにゃく作りも考案中。熊本駅に程近いという好立地を生かした、古町地区全体での町づくりの必要性も訴える。「これからは観光客や地元の人に向けて、鳥丸ブランドを広めていく絶好の機会。さまざまな販売方法にチャレンジしたい。ただ、新たな事業に取り組みながらも、同時にこれまでの伝統を大切にしたい。例えば基本業務である掃除一つにとっても、心を込めて精一杯取り組んでいきたい」と思いを語る鳥丸社長。 
 同社の教訓である『一日一生』。「今日一日を一生と思い励む」その姿が、おいしいこんにゃくと共に未来へ伝わっていく気がしてならない。
profile
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鳥丸宣彦 社長
とりまる・のぶひこ/1937年7月生まれの73歳、熊本市出身。日本大学理工学部機械工学科卒。1961年潟Nボタ(旧久保田鉄工)に入社し、産業機械クレーン設計を手がける。70年鳥丸八十七商店前社長の逝去に伴い、同社入社。72年代表社員に就任。88年プリッコ(サラダこんにゃく)開発・製造。90年カットこんにゃく開発・製造し、業務用ベンダー向けに卸売を始めた。座右の銘は「汝自當知」profile
profile
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鳥丸克彦 専務
とりまる・かつひこ/1968年7月生まれの42歳、熊本市出身。九州学院─東海大学工学部生産機械工学科卒。92年、横浜市のアネスト岩田潟vラント課に入社。96年、「湿式塗装ブース用塗装スラッジ補修システム」を開発、特許認定。97年よりスーパーバイザーとして中国(アウディ・長春汽車)などの塗装設備を立ち上げる。02年に退社し、同年鳥丸八十七商店に入社。座右の銘は「経営は実行なり」
企業DATA
[所在地] 熊本市細工町1-11
[資本金] 1100万円
[設立] 昭和32年7月
[事業内容] こんにゃく製造・販売
[従業員] 15人

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。