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くまもと経済EX 2010

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製造・農業
日本の食と環境に新たな潮流を
一般社団法人・自然と健康を守る会
米作りの家庭菜園化で、日本の食と農が変わる
 自然と健康を守る会(熊本長嶺東5丁目、金森實理事長)では、今年水田約3ヘクタールを取得し、本格的な米作事業に乗り出した。米作りはプロの営農家の仕事というこれまでの常識を覆す通称「お布団農法」と呼ばれる農法で、無農薬省力化による米作りに取り組む。「この農法は、米づくりはプロがやるものという私たちの常識を覆す大変画期的な農法です。これまで消費者としてお米を食べていた方々が、自らの手で自ら食べる米を生産できる可能性を大きく広げてくれます。ご承知の通り、現在の日本の食料自給率は、先進国中でも決して高いとはいえない状況です。質、量ともに今の食料自給を改善する方法として、多くの人が農業生産に関わり、関心をもってもらうことは、日本の社会にとってもたいへん大きな意味があると思います」。
お布団農法の概要
 同社では「水稲布マルチ直播栽培」(通称・お布団農法)による米作りを、企業、団体の福利厚生、または地域貢献事業としても提案したい考えだ。農業放棄地の有効活用、地下水の涵養といった地域の自然環境への貢献や、農作業を通しての社員相互の親睦、社員とその家族に生産した米を頒布できるなど、福利厚生面においても役立つと同社では話している。「機械に大きく依存することなく、しかも米作りの経験がなくても、比較的軽微な労働で、無農薬の安全性の高い米が生産できるこの農法は、多くの方が農業に接する機会を増やしてくれと思います」と。今はお布団農法による米作り会員を増やしていくと同時に、自社で生産した無農薬米の直販体制を順次整備し、将来は同社が開発した衣食住にかかわる自然は製品の販売につなげたいと今後の計画について語った。
竹の持つ未知の可能性引き出す
 同社が米作りと並び力を入れているのが廃棄物、未利用資源を有効活用した製品開発だ。特に同社では竹の持つ有用性に注目、目下原料の加工法、用途開発を進めている。竹は食用はもちろん、繊維製品、建材など、様々な用途で利用できる貴重な資源との考えから、同社では竹資源が豊富で、竹による町おこしを推進する御船町と共同で、竹の有効活用を目的とした研究・製品開発の拠点づくりを計画している。
 「竹布」ブランドで各種竹繊維製品を製造する潟iファ生活研究所(東京都渋谷区)の相田雅彦社長も、金森理事長の計画に賛同し御船町に生産拠点の建設を検討している。相田社長は「現在食用の水煮竹の子の9割は中国産です。まずは竹の産地である御船町で、この竹の子の生産と加工を手がけていきたい」と。さらに竹の殺菌効果を生かした医療用ガーゼ、床ずれを抑える寝具などの各種繊維製品の開発に取り組んでいきたいという。「資源として豊富なだけでなく、竹には数多くの潜在的な有効性が隠されています。竹の持つそうした特長を最大限引き出し、製品開発を進めていきたい」と抱負を語った。
“竹造” 住宅建設を計画
 排水汚泥の中に含まれる重金属、各種有害物を含む産業廃棄物を炭化、固化する過程で無害化するノウハウを持つ同社は、竹を炭化したものをブロック状に固め、建材として利用することを目指している。「竹炭は脱臭、空気清浄効果などの働きがあることは広く知られています。この竹炭をブロック状に固化したこの製品は、これまでにない新しい機能を持った建材として今後様々な用途での利用が期待できます」。 また同社では、竹材のみを使用した住宅建設を計画。構造材、内装材、屋根材など、住宅建設に必要なほとんどの建材を、竹を原料としたもので建設するという。「竹の可能性を広く知ってもらう契機とし、竹由来の建材の需要喚起につなげたい」と金森代表はその意義を語った。
profile
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金森實 理事長
かなもり・みのる/熊本市出身、1950年(昭和25年)5月10日生まれの60歳。自然素材による用途開発、普及啓蒙を主業務とする一般社団法人・自然と健康を守る会理事長。数年前に水稲布マルチ直播栽培(通称・お布団農法)に出会い、本格的に米作り事業に着手。今年は作付け面積3ヘクタールでの米作を計画。既成概念に囚われない柔軟な手法で、新たな農業経営に挑戦している。
企業DATA
[所在地] 〒861-8038 熊本県熊本市長嶺東5丁目4-87
[TEL] 096-201-9477
[FAX] 096-201-6273
[設立] 2009年11月
[事業内容] 自然環境、健康に関する各種情報発信、事業企画、無農薬米の生産・販売、竹由来の各種製品開発
[代表者] 理事長 金森實
[URL] http://www.shizen21.com/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。