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くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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金融・卸・飲食
若い力でニーズを捉え青果物を通じた社会的使命の追求
鞄。本物産
熊本城本丸御殿バナナで地域への感謝を形に
 今年3月、熊本市役所の応接室に鞄。本物産(熊本市田崎町、藤本健介社長)など、3社から幸山市長に熊本城復元整備基金への寄付が手渡された。
 同商品は同社が商品開発を推進し、田崎市場の熊本大同青果梶A熊青 西九州青果鰍フ協力のもとに実現したもの。藤本物産の藤本泰弘専務は「熊本で青果に携わる企業として、どういった形で地域への恩返しができるかを考えた。3社が連携し、少しでも郷土のお役に立てれば」と開発の経緯を話す。
 商品の名前はその名も「熊本城本丸御殿バナナ」。パッケージには熊本城・本丸御殿の写真を一面に用い、重厚感がありインパクトも強い。またバナナ自体も一本一本が肉厚で、食べると口いっぱいに甘味が広がる。この味の秘訣と、今回の地域への感謝を形にするというプロジェクトの背景には、同社の成り立ちや強みが隠されている。
 鞄。本物産は、現在青果物全般を取り扱い、その分野におけるリーディングカンパニーとして成長しているが、始まりは60余年前の果実店「藤本商店」から。早くからバナナの着色事業に参入するなどし、着実にその歩みを進めてきた。成長の過程には、消費者のニーズに対応した新規事業の立ち上げや地域拠点の開拓など様々な経験があるが、企業の基幹にあるバナナで地域への感謝を形にしたいという思いが今回のプロジェクトに結びついた。当然、これまでの歴史で培ったノウハウが品質・熟成に生かされるのでその味も絶品だ。
 「熊本城本丸御殿バナナ」は、県内スーパー約80店で販売され、徐々に消費者への認知度も拡大。さらに多くの人に知ってもらい、気軽に食べてもらおうと新たに一本入りも発売した。パッケージも第一弾とは趣向を変え、九曜紋や蛇の目紋を用いている。その中に納まったバナナは、熊本城の武者返しとも加藤清正の長烏帽子兜とも連想させるような商品だ。同社では「春のくまもとお城まつり」などのイベントに出向き、積極的に商品をPR。イベントには県外からの来場者も当然予想され、熊本の観光振興にも一役買っている。
 「多くの方にご協力頂き、今後は土産店やコンビニエンスストアなど展開の場を広げ販売を伸ばすことで、少しでも多くの寄付金を目指していきたい」と高い目標を志す。
九州中央支店の機能強化し経営基盤の底上げ図る
 昨年増床した鳥栖市の九州中央支店「セントラルロジスティクスセンター」も同社の要の一つ。一番の特徴は、九州トップクラスのバナナの熟成・出荷機能を持つこと。1室あたり1728ケース加工できるバナナ室を、増床に伴い15基に増設。今後、競争により同業他社が絞られてくることが予想され、同施設の高い能力は業界での存在感をより際立たせるものになるだろう。しかし、ただ闇雲に設備を拡大しているのではなく、そこには「藤本物産のバナナ」のおいしさを守る秘訣がある。
 「当社は出荷を急ぐのではなく、できるだけおいしいバナナをお客様にお届けしたいと考えています。そのためにはじっくりと熟成に時間をかける必要があり、ゆとりある設備が必要なのです」と藤本社長。熟成用の機械も進化し、オートマチックで温度等バナナの熟成に必要な管理が出来るようになっているが、それでも「藤本の味」を出すまでには付きっきりで機械を調整していかなくては満足いく商品はできないという。
 そして、九州中央支店のもう一つの使命はその立地を生かした営業展開を図ることだ。同支店には、バナナの室だけではなく、集荷した青果を貯蔵、加工、配送できる設備も兼ね備えている。そのため、九州一円へ向けた円滑な青果の物流が可能だ。この春から藤本尚之常務が統括で受け持ち、バナナの販売を中心に築いてきたネットワークや熊本本社の持つ情報・人脈をフルに活用して九州中央支店の役割を加速させていく構えだ。
グループ企業の効率化で着実な拠点づくり
 3年前に他社から引き受けた、産直野菜を中心に取り扱う企業を今年度黒字化。秋には八代に拠点を置くグループ会社の潟tレッシュダイレクトに組み込み、熊本事業所として機能させる予定だ。もともと、安心安全で高品質な県産野菜の安定確保を目的に引き受けた同社は、西原村や山都町、御船町などの生産農家とのつながりを構築しており、“生産者の顔が見える生産物”を可能にしているのが特徴だ。今後、フレッシュダイレクトの八代事業所も取り扱い高を伸ばしていきながら将来的には施設を拡充。拠点機能を強化していきたいとしている。
 創業から比べれば、取り組む事業も多岐に渡り成長を続けている同社だが、若い力が各所で連携し能力を発揮している。そうした人材を中心に打ち出された同社の経営指針を見る限り、青果を中心とした食に携わる企業としての初心と社会的使命は確実に受け継がれており、今後も同社の歩みに注目し続けたい。
2010年度経営指針------------Managementindicator
1.地域に根ざしたブランドの開発
2.九州各地の産地からの仕入れ拡大と九州中央支店においてこれらの差別化商品の強化
3.九州ロジスティクセンターでのバナナアイテムの増強と販売の拡大
4.グループ企業の統合で企業体制の強化と効率化の推進
profile
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藤本健介 社長
企業DATA
[所在地] 〒860-0058 熊本市田崎町414-12
[TEL] 096-354-1335
[FAX] 096-353-6452
[資本金] 3,600万円
[設立] 1962年6月
[事業内容] 青果物のトータルコーディネート 1.青果物の仲卸、及び直営販売2.生産地より直接仕入れ・販売3.輸入青果物の卸4.バナナの着色加工5.ドライフルーツ類の卸6.青果物の加工業務
[年商] 122億7300万円(2010年3月期)
[代表者] 藤本健介
[従業員] 320人(グループ計)
[URL] http://www.fjmt.co.jp
[出先] [直営店] 熊本交通センター サンリブくまなん店 くまもと阪神マルショク薄場 マルショク芦北サンリブ子飼 サンリブ清水マルショク泗水 サンリブ武蔵ヶ丘マルショク人吉 マルショク御船 熊本生鮮市場みずき台 [支店] 九州中央支店
[関連企業] ケイ・エフ物流 フレッシュダイレクト 南阿蘇有機の会

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。