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くまもと経済EX 2010

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業務の高品質化でレベルアップした 「企業力」をベースに統合的なCI展開に着手
大森産業
お客様の『満足』を『信頼』につなげるCI構築
 建物総合管理業の大森産業鰍ヘ1948(昭和23)年に創業。2002(平成14)年に2代目社長に就任した大森敏雄社長は現在、CI(コーポレート・アイデンティティ)の構築に取り組んでいる。同社は大森昭一前社長が逓信省への物資納入から事業をスタート、1953(昭和28)年の熊本大水害後から形を変え、本格的にビルメンテナンス事業へ進出。現在では九州内の業界各社を見渡しても、一、二の歴史を有する老舗企業となった。
 大森社長がCIに取り組む理由は何か。そこには同社がこれまで推進してきたマネジメント強化にその答えがある。具体的な内容としては、2005(平成17)年に県内で唯一となる「平成17年度IT活用型経営革新モデル事業」の採択を受けた。採択内容は「EA(エンタープライズ・アーキテクチャー)手法による総合ビルメンテナンス業における『標準化』を実現するための管理システムの開発」。EAは業務手順や情報システムの標準化、組織の最適化を進め、効率よい組織運営を図るための方法論。導入により別個に運用されていた、複数の業務システムが標準化され、導入・運用コストの削減、重複した業務内容の統合により組織の運営コストの削減が可能になると言われている。
 さらに会社全体の基幹業務の統合管理システムを構築するなど、社内のIT化を積極的に進めた。その結果、経済産業省が、中小企業のIT化推進を目的に事業化している「IT経営百選」の2006(平成18)年度優秀賞も受賞するなど、高い評価を受けている。
 またこれらのシステムをベースにした社内のQC活動も活発化している。各事業部別に社員自らが日々の業務での問題点を取り上げ、その改善に向けた努力を続けている。これらの内容は、年一回開いている社員大会で発表され、全社員からの評価を受け、優秀なグループは表彰される。
 また同社では2004(平成16)年に、全国の業界でも初めて全業務・全事業所でISO19001、ISO14001、労働安全衛生管理システムOHSAS18001の認証を同時取得、2010(平成22)年には2度目の更新検査も終了した。
 これら一連の動きの中で大森社長は「実際に認証に則した業務運営を行ってきましたが、社員のコンプライアンス意識も確実に高まり、業務品質も向上してきているようです」と手応えを感じている。同社の業務内容はビルメンテナンス業、警備業、マンション運営など多岐に渡っているが、そこで働くスタッフ一人一人の業務にマネジメントを反映させ、ムダを省くと同時にブラッシュアップを行い、企業体質の強化とサービスの高品質化を同時並行で進めてきた。「これらの取り組みは、当社の業務に対して、お客様に『満足』していただくことを第一の目標として行っています。こういった取り組みの結果をベースとして各種業務に反映させ、業務内容における『満足』を最終的にお客様から当社への『信頼』につなげていきたいと思います」と意欲を示す。その結果「当社のどんな業務に関しても、一定の品質を保障する意味からも統一したブランドが必要ではないかと考えました」とCIへ取り組む理由を明かした。
 現在、統一ブランドのデザイン・コンセプトなども企画中で、新年度となる今年10月から、第一弾として新たなブランドが姿を現す予定だ。
業界・社会環境の変化に積極的な対応
 建物総合管理の業界は、低迷する景気動向に加え不良業者の横行や、簡略化された入札方法により、大手業者の進出が続いている。また建物はスクラップ・アンド・ビルドの時代から、長期使用への転換を余儀なくされてきた。
 (社)熊本県ビルメンテナンス協会の副会長で、経営研究委員長を務める大森社長は「一部の外部業者のために、県内業界全体のイメージが悪くなってはいけません。私たち地元の業者は、地域のため、責任ある質の高い仕事を提供できるように努力を続けています。また協会は“地域に育ててもらっている”という意識を持ち、一層の公益活動を実施したいと考えています」と地元企業として“責任ある”業務の推進を表明する一方「消費型社会から循環型社会への大転換が進んでいます。そのため単なる建物の管理ではなく、環境に配慮し、収益とコストのバランスのとれたストックマネジメントのお手伝いをしていきたい」と社会のトレンド変化にも柔軟に対応する構えだ。
九州新幹線全線開通は「大きなチャンス」
 同社では2006(平成18)年2月福岡市博多区に、佐賀支店を統合した福岡支店を新設した。大森社長は「新幹線開通は、福岡を市場としてとらえる大きなチャンス」と話し来年3月に迫った九州新幹線の全線開業後は福岡での積極的な営業展開を目指す方針だ。また福岡支店開設により、鹿児島営業所、熊本本社と連携し九州の縦軸での展開が実現。全九州を視野に入れた事業展開も模索する。「これまで培ってきたインフラをベースに、社内体制強化・業務品質の向上を進め、M&Aも選択肢に入れながら変化への対応力を高めたい。一方で多角化の芽を育てながら、次世代に向けた事業の礎を構築したい」と意欲をみせる大森社長は変化する経営環境に対応するべく新しい大森産業の礎を着々と積み上げる。
profile
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大森敏雄 社長
おおもり・としお/熊本市田崎町出身、1960(昭和35)
年7月6日生まれ、50歳、真和高校−熊本商科大学商学部卒。83年オリエンタル警備保障取締役、84年大森産業取締役、87年日本ビルサービス鞄社、89年大森産業入社、91年オメックス取締役、92年大森産業(水俣)取締役、97年代表取締役専務を経て02年7月社長に就任
企業DATA
[所在地] 〒862-0920 熊本市月出1-7-13
[TEL] 096-384-0251
[FAX] 096-382-7752
[資本金] 3,000万円
[設立] 1955(昭和30)年12月
[事業内容] 建物総合管理業
[年商] 18億7,500万円(09年9月期決算)
[従業員] 467人
[URL] http://www.ohmori-fm.co.jp
[出先] 福岡支店、鹿児島営業所 [事業所] 八代、芦北、水俣、阿蘇、玉名、菊陽、嘉島
[関連企業] 潟Iメックス、大森産業梶i水俣市)

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。