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くまもと経済EX 2010

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医療・医療関連・教育
英語力武器に国際派エンジニア、クリエイター、薬剤師を養成
崇城大学
 崇城大学の英語教育の拠点としてこのほどオープンした「SILC」。コミュニケーションツールとしての英語力の向上を目指し、従来の英語教育の枠を超えたユニークで斬新なコンセプトの施設づくりが注目を集めている。「技術者、クリエーターの世界でも、英語はコミュニケーションツールとして、その重要性は高まるばかりです。専門の文献の多くは英語で出版され、国際的な学会の発表も英語によるものがほとんどです。英語力、それも英語でのコミュニケーション能力が、これからの技術者、クリエーターに不可欠な能力です」。“教養としての英語”から“実践で役立つ英語”へという中山峰男学長のそうした思いが、このSILCには具体的な形として結実している。
 昨年9月に、東京の神田外語大学と大学間協定を結び、一年間かけてつくりあげた英語教育プログラム「SILC」の最大の特徴は、学生一人一人のニーズにあった個別対応の指導要領にある。ネイティブ講師による少人数双方向授業や個人ニーズに沿った学習環境を整え、英語でのコミュニケーション能力を駆使し世界に貢献できるエンジニア、芸術家、薬剤師の育成を目指す。
世界各国から講師陣を募集 英語によるコミュニケーション法学ぶ
 学生がコミュニケーションを通じて積極的に語学学習できる機会を確保するため、SILCの2階、3階は“English only”を徹底。授業は学生の過去の学習経験を生かし、英語使用に対する自信と学習意欲を促すよう計画されている。講師には、豊富な教授経験と英語教授分野で修士号を持つアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなど、英語を母国語とする人材を採用。「講師の人選については経験と実績面を選考基準に、世界各国から公募し、今期から10人が指導にあたります。来年にはさらに6人が加わる予定です」。
 BLSと呼ばれる教室は従来と異なり、机や椅子が可動式で、グループワークや授業形態に応じて自由にアレンジできる仕組みとなっている。各教室には英語OSの学生用コンピュータとヘッドフォンを人数分備え、ネット検索、文書作成、プレゼンテーションを行うのに適した環境を備える。またSILC独自のオンライン学習サイトでの電子通信学習も可能だ。授業では、少人数グループで効果的なコミュニケーションを取る方法を学び、研究と発表を英語で実践。学生は小テスト、課題提出、授業参加、発表、学期末の会話テストにより学習の成果を継続的に評価される。さらに、学生本人の自発的な英語学習を支援する様々なスキームが用意されているのもSILCの大きな特徴といえる。
各学生の能力、適正に合った教育環境を提供
 SALC(自立学習センター)では、従来の教師主導の教育環境と異なり、学生自身のそれぞれの能力、目的に合わせた語学学習の機会と環境を提供している。学習とコミュニケーションの機会を最大限引き出すための多様な学習環境や教材、サービスが用意され、各学生に適した学習方法、利用できる教材の効果的な使用方法などを、アドバイザーから個別にアドバイスを受けることができる「学習相談サービス」を設けるなど、各人の英語学習をきめ細かくサポートする。
 「技術者集団を自認してきたソニーは、世の中に役立つ技術を世界中に発信するために、英語を日本語と同等の共通語として使っていた。会議の席で日本語を母国語としない人間が一人でもいれば英語で議論していた」と語る中村副学長。SONY UK limitedの代表として長くイギリスで国際ビジネスの現場に身を置いた経験から、世界共通語としての英語の有用性を訴える。「理工・芸術・薬学系の崇城大学に、英語教育をそこまで充実させる必要があるのかという意見もあるが、社会のグローバル化については、学生のほうがむしろ強烈に意識していると感じています。授業に限らず全ての学生に大きな成果をもたらすであろうSILCの試みが、エンジニア、薬剤師、芸術家、クリエイターとして国際舞台で活躍できる人材を育ててくれると信じています」。
来るべきユビキタス社会実現に向けた人材を養成
 昨年、従来の3学科から情報学科1学科4コースとした情報学部は、市場発想をコンセプトに、「ソフトウェアサイエンスコース」、「メディアサイエンスコース」、「情報エレクトロニクスコース」、「ロボティクスコース」など、ユビキタス社会の実現を促すIT産業の4つの領域に即応した学部学科の改編を実施。実践力と複眼的思考力を備えたIT技術者育成を目指す。
 企業での実務経験豊富な教授陣をベースに、教員一人当たり学生8人という濃密な指導、教授体制を敷き、最新の設備、機器を用いた演習、実習、資格取得をバックアップ。IT領域の国際化に対応した英語教育、プロとして不可欠な倫理教育にも取り組む。
 芸術学部とのコラボレーション演習は、同大学ならではの試みの一つ。創造力を高めるとともに、スキルの交換によるアート表現の向上が、クリエイティブなITエンジニアを育てる。ゲーム機、ロボット、ICカードを扱う情報系トップ企業へのインターンシップや共同開発にも取り組むなど、ビジネスに強いITエンジニアやディレクター育成に力を入れる。
 「来るべきユビキタス社会実現の要素技術のほとんどがIT技術。今後この分野に優秀な人材を輩出するためにも、コース間に壁をつくらず、学際的技術をコーディネートできる本大学の学科編成は、ITゼネラリスト養成する上で、大きな教育的価値を生む」と中村末廣副学長は、情報学部の今後一層の発展に期待を寄せる。
profile
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中山峰男 学長
なかやま・みねお/1947年9月22日生まれの62歳。済々黌高校‐熊本大学工学部卒。趣味はゴルフ。71年積水化学工業入社。80年5月に君が淵学園に入り、89年法人課長、93年熊本工業大学附属情報技術専門学校校長(現崇城大学専門学校)、97年法人局長、03年(学)君が淵学園理事に就任。03年12月1日(学)君が淵学園理事長、崇城大学学長、(学)文徳学園理事長就任。
[設立]
昭和24年4月電気・電波学校創立、昭和36年2月学校法人君が淵学園認可。昭和42年熊本工業大学開学
[学部構成]
工学部5学科、情報学部1学科、生物生命学部2学科、芸術学部2学科、薬学部1学科大学院工学研究科博士後期課程6専攻、修士課程7専攻大学院芸術研究科博士後期課程1専攻、修士課程2専攻
[学生数]
3,800人
企業DATA
[所在地] 〒860-0082 熊本市池田4丁目22-1
[TEL] 096-326-3111(代表)
[関連企業] [関連施設] エネルギーエレクトロニクス研究所、応用微生物研究所、衝撃先端技術研究センター、附属専門学校

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。