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製造・農業

専用岸壁を武器に “横場ブランド”の大型製品を全国へ

横場工業株式会社

各種プラントやサイロなど大型製品を直接船積みできる『専用岸壁』を強みに、
塗装品質向上を目的とした『ショットブラスト工場』、
環境に配慮した『酸洗浄排水浄化処理装置』を施した
“横場ブランド”の大型製品が全国各地を航海する。

八代港に面したpriceless（プライスレス）の専用岸壁

　横場工業の代名詞かつ生命線である「専用岸壁」。横場一馬初代社長の大いなる遺産で、現在では法律的に建設許可が下りないため、まさしくpriceless（プライスレス）の岸壁だ。これにより陸送できない大型製品を直接船積みし、海路を使って全国各地に輸送できるという同社最大の強みが誕生。加えて、68年という歴史の中で培ってきた高い技術力も評価され、国内取引のみではあるが全国の大手メーカーなどから大型熱処理炉や発電所での防音設備、環境対策設備などを受注生産し、専用岸壁を使って八代港から出荷しているのである。珍しい取引先としては沖縄・嘉手納基地でのジェットエンジンの防音設備がある。熊本県内でも、大手進出企業などを中心に安定した受注を獲得。沖縄には2500トン級のセメントサイロを２基納入した実績なども持つ。最近では不況といわれる中でも、某製粉メーカーや製糖メーカーから各数億円規模のサイロを受注しており、専用岸壁周辺が賑わいを見せている。

塗装品質を上げる下地処理工場

　同社敷地内北側には“密閉型室内下地処理工場”であるショットブラスト工場がフル稼働している。建築面積約630㎡の同工場は、製品表面に鋼製グリッドを吹き付け、汚れや酸化膜などを除去し、鋼材の下地を露出させるという下処理を行う工場である。これらを経て塗装することで塗装膜の接着が良くなり、防錆効果が格段に上がるなど品質向上に貢献する。さらに、クレーンや集塵装置などの機械類も導入しており、１日あたり200㎡の処理能力を持つ設備となる。同工程を用いて大型製品を製造する企業は県内で珍しい。

環境保全に寄与する酸洗浄排水浄化処理装置

　ステンレス製品の溶接や加工で大型製品表面に付着する汚れの洗浄には“酸”を使用する。環境を汚染する酸の工業排水処理について頭を抱える企業は多く、洗浄処理装置が無く仕事を受注できない企業も少なくない。現在では行政からの指導により排水処理への配慮は企業使命となっており、不十分だと大手メーカーからの仕事の受注は困難である。
　さらなる環境対策と需要の伸びに対応するため、同社では数年前から工場内に『酸洗浄排水浄化処理装置』を設置した。18×20ｍの洗浄場で数段階に分けて排水をろ過するしくみで、浄化作用を持つ活性炭９トンをコンクリートに混ぜ敷き詰め、洗浄場の土にするなどオリジナルの装置となっている。炭には浄化作用だけでなく、疲労などを和らげる効果があるとされ、自然と職場環境の向上という両面で活躍している。専用岸壁とショットブラスト工場、そして酸洗浄排水浄化処理装置という豪華３点設備を用いて大型製品を製造している企業は全国見渡しても希である。これが全国各地の名立たる大手メーカーからの受注に成功する所以なのである。

シンボルタワーと工場内庭園が伝える大切なもの

　敷地内には昭和時代に創業者（初代）が建てたものを再現した高さ約20ｍのシンボルタワー。頂上にはロゴマークが回転し『明るい・伸びゆく横場工業』というスローガンを標榜した看板が掲げられている。最上階には創業者夫妻の慰霊が安置されている。そして工場全体に広がる日本最大級の工場内庭園を造成している同社。これらが意図するものとは…。江﨑拓茂社長は「横場初代社長は、工場はわが家、社員わが子という精神で私たちを愛してくれた。庭のあるわが家全体を見渡していてほしい。そして私たち社員は創業者あってこその横場工業であることを決して忘れてはならない」と思いを綴っている。

企業DATA

[所在地]　〒866-0034 八代市新港町1-6

[TEL]　0965-31-3200

[FAX]　0965-31-0332

[設立]　1943（昭和18）年4月

[事業内容]　一般産業プラント、設計、製作、据付（各種サイロ、タンク、搬送・環境設備など）省力化機器、企画・設計、製作（自動機、ロボットなど）

[URL]　http://www.yokoba.co.jp

[出先]　日本製紙出張所〒866-0823 八代市十条町1-1

[採用情報]

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※この記事内容は、くまもと経済ＥＸ：2011年7月1日発行分の掲載内容です。