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モノづくり企業の挑戦。食べたいと思ったその時が“旬”の安全安心でおいしい「健康野菜村」
株式会社エヌエーエスコーポレーション
生産ライン装置の開発設計や電子部品の組立、ソフトシステムの開発などで
実績を持つ潟Gヌエーエスコーポレーション。そうした技術を生かし、
業務効率化や作業の省力化につながるツールやシステムの開発も得意とする。
そんなモノづくり企業が取り組みだした次なる挑戦。
野菜生産に生かされる同社のノウハウと、さらにその先を見据えた展開を紹介。
モノづくり企業にできること。 例えば安全な野菜の安定供給
 「ファクトリーイノベーション」を旗印に、熊本のモノづくり企業として実績を上げてきた潟Gヌエーエスコーポレーション(合志市御代志、中川一男社長)は、製造・生産、医療など様々な現場の業務効率化などの悩みや思いをくみ上げ、それを解決するツール(システム)や環境を構築し省力化の取り組みを得意とする。そんなモノづくり企業が今真剣に取り組んでいる新事業が野菜の生産だ。近年、農業を取り巻く環境において様々な問題がクローズアップされる。それは、私たちの食に関わる問題にも直結することであり対応が求められている。
 例えば、安定供給の問題。低い食料自給率の中にあり、若者の就農率の低下などから耕作放棄地は拡大している。さらに、ここ数年の異常気象で、生産地が予想だにしない悪天候に見舞われ、国産の旬の生産物が十分に市場に出回らない事態が最近のニュースを賑わす。
 また例えば、安全性の問題。輸入農産物の残留農薬問題に端を発し、食の安全がクローズアップされて久しい。生産現場では、誰がいつどこで生産したものかといったトレーサビリティーの公開も求められるなど消費者の食の安全に対するニーズは格段に高まっている。こうした状況を打開する手段の一つとして、「植物工場」というキーワードを近年よく耳にするようになり注目されている。
野菜づくりに必要なものは自社で開発も
 一言に「植物工場」と言ってもその形態は種々あるが、同社が取り組んでいるのは自然条件を完全制御した野菜の水耕栽培。現在は、自社敷地内にあるクリーンルームのスペースを活用し水耕栽培用の数段に分かれた棚を設置し、光、水、温度、養液などを野菜の生育に最も良い条件に制御し栽培するというものだ。
 この生産方法において大切なのは様々なデータの収集と分析力だ。同社では昨年秋からデータの収集に着手。効率よくおいしい生産物を作るために、栽培用の棚や光源となる電気なども必要な部分は自社で手を加えよりベストな条件を作り出している。ここが同社の強みでもありポイントでもある。年内には量産体制に入る予定で、生産した野菜のブランド「健康野菜村」も既に商標登録済み。当初はレタスの仲間であるフリルアイスを生産する予定で、軌道に乗れば順次新たな種類の野菜の生産にも乗り出したいとする。
 「健康野菜村」の特徴は、まず屋内製造により天候に左右されず一年を通じて安定して供給できるということ。また、害虫などの心配もないことから農薬を使用しない、安全安心の野菜ということだ。極端なことを言えば収穫したそばから食べることが出来るし、消費者はスーパーで購入し自宅で袋から取り出したらすぐに盛り付けたりそのまま口にすることもできる。こうした生産方法は栽培過程においてロスもなく、限られたスペースでも棚を積み上げていくことで生産量を増やせるため露地栽培に比べて面積効率が高い。また、決められた生産工程の中の農作業になるため、若年層が抱く農業に対する過酷なイメージとは異なり、いわゆる就農率の問題にも一石を投じるものとして期待が高まっている。
将来は野菜生産と生産システム販売を両立
 食の安全における標準装備となっているトレーサビリティーシステムにおいても自社の強みが生きる。同社では昨年、製造工場向けにRFIDを活用した工程履歴管理システムを開発し納入している。このようなシステムに用いた技術やアイデアを野菜のトレーサビリティー用に改良することで、工程履歴管理を容易にでき納入先や消費者のニーズにしっかりと応えることができるのだ。
 また、野菜の生産が軌道に乗ってくれば、将来的にはさらにその先の展開も視野に入れる。栽培には湿度や温度管理、育苗から収穫などまだまだ人の手を介する工程が多いが、そうした部分の省力化や栽培に必要な“モノ”を自社で開発していく計画だ。野菜の生産実績と共に、生産に必要な“資材”やシステムを販売できる体制を目指す。
 「健康野菜村」は、同社が主力として取り組んでいる生産ライン装置の開発設計や電子部品の組立、ソフトシステムの開発などの経験や技術が随所に反映され、将来的に同社の柱の一つに成長していくことは間違いない。既に顧客サービスの一環として店内に収穫体験できる水耕セットを設置するレストランやスーパーなども一部見られるように、その可能性は多様に広がる。空いたテナントスペースを利用した農園ビルや、家庭向けに改良すれば都会のマンションの一室に家庭菜園を設け、目の前で収穫した新鮮野菜を訪問客に振舞うなんていう光景も見られるかもしれない。
ISO9001/ISO14001認証取得
【西合志工場,菊陽工場,玉名工場】電気・電子機器及び部品の製造、産業用機械装置の設計及び組立、通信システム・コンピュータ及び周辺機器の販売・施工
ISO/IEC27001認証取得
【西合志工場,菊陽工場,玉名工場,すずかけ工場】IT関連商品・通信機器の販売及びサービス、情報機器・デバイス部品の製造、生産管理用ソフトウェアの設計・開発、装置設計・装置組立・金属加工・植物プラントの研究・開発
企業DATA
[所在地] 〒861-1104 熊本県合志市御代志489
[TEL] 096-348-5551
[FAX] 096-348-5561
[資本金] 4,000万円
[設立] 平成9年2月
[事業内容] 【MBS事業ドメイン】マーケティング事業・ビジネスソリューション事業・サポート事業【EMS事業ドメイン】エンジニアリング事業・マニファクチャリング事業・ソフト開発事業
[代表者] 中川一男
[URL] http://www.nas-net.co.jp

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2011年7月1日発行分の掲載内容です。