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くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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製造・農業
カスタム重視の液晶ディスプレイ開発で ユビキタスネットワーク社会を担う
メルコ・ディスプレイ・テクノロジー
 三菱電機グループの中小型液晶パネル開発・製造・販売のメルコ・ディスプレイ・テクノロジー(MDTI)は、三菱電機と連携し世界市場を相手にTFT液晶ディスプレイビジネスを展開している。主な製品市場は、ATM・POS、産業・工作・計測・アミューズメント機械の表示デバイスなどに使用される産業用、カーナビゲーションなどに使用される車載用、携帯電話、DSC(デジタル・スチル・カメラ)などに使用される通信・民生用がある。
 パソコンモニター用などの大型液晶パネルから中小型液晶パネルへの三菱電機液晶事業の事業転換に合わせ、中小型パネル専業メーカーとして2002年4月に設立。その業績は着実に伸びており、会社設立以来黒字を継続している。2005年度売上高は310億円(三菱電機液晶事業連結)、業界内での競争が激化する中で今後の成長が期待される。その拠点となる本社は熊本市のベッ
ドタウン化が進む合志市御代志(三菱電機熊本工場内)。工場は阿蘇外輪山から連なる緑豊かな丘陵地、菊池市泗水町住吉に立地している。
カスタム性の重視で 顧客満足を追求
 同社は顧客が希望(要求)する製品を提供し、QCD(高品質、低コスト(=低価格)、納期遵守)への対応を徹底して推進するビジネスフレームを強みとして同業他社とは一味違うビジネス展開を行ってきた。このため、同社製品の販売は、大部分が三菱電機を経由して行われるが、三菱電機販売部門とは別に設計・製造技術経験者からなるプロダクト(技術営業)部門を持ち、顧客や三菱電機販売部門の技術サポートを行うとともに、三菱電機販売部門と協力してマーケティングや新規商談獲得・新規顧客開拓活動にあたっている。同社は、これらの活動を通して計画的な機種開発・品揃えの強化は勿論、顧客のニーズに合った製品をスピーディーに開発・提供できる体制を
常に整えている。
 市場が要求する機能・仕様の製品開発にあたっては、それを実現できる技術が必要となるが、同社では、これら技術開発は設計、製造技術部門が三菱電機液晶部門の技術陣と連携して対応している。それ以外に三菱電機コーポレートレベルの各研究所とも連携し日頃から直面する技術開発と共に中長期、将来技術の着実な開発に挑戦できる開発体制を敷いている。三菱電機グループの総合ネットワークにより、より広く、より深い技術開発ができている。
車載用参入と産業用などの モジュール製品拡大を軸に
 同社は現在、車載用事業の純正市場への参入を目指しており、その必須要件であるISO/TS16949(自動車関連業界独自規格)を06年5月に取得した。この規格に沿った品質保証の考え方・方式を全製品分野へ展開し、更なる製品力の向上に力を入れている。また、車載用への本格参入に合わせ、全製品分野でより高度な製品技術とコストへの更なる挑戦が続く。 TFT液晶パネル製造では、大きく分けて@アレイ工程(ガラス基板にTFT素子を形成する)、Aパネル工程(ガラス基板に光の3原色を形成したカラーフィルターを貼り合わせ、その隙間に液晶を注入する)、B実装工程(@とAを経て出来上がったセルに駆動回路などを接続)、Cモジュール組立工程(バックライトや制御回路などを組み込む最終工程)の4つの工程に分類されている。
 それぞれの工程は生産効率を最大限までに高めるため自社製造技術部門、FA(ファクトリー・オートメーション)部門を主体とし、三菱電機の当該技術部門との連携の下に高効率の生産システム構築に成功している。現在も生産の革新や各種生産性向上に取り組み、更なる技術力・製造力の向上に努めている。
 まず、アレイ工程は高度にFAシステム化された少人数生産ラインを作り上げている。パネル工程と実装工程は可能な限り自動生産ライン化されており、韓国・台湾メーカーとのコスト競争に対応できるライン構築に成功している。最終のモジュール工程は各種各様の製品仕様に対応するためにセル組立方式を採用している。今後の展開としては、より付加価値の高いモジュール製品(完成品)の事業拡大を積極的に図っていく。
グローバルな視点から 未来を見つめる
 三菱電機グループの一員としてビジネスに直接関係する法規・法令順守は当然であるが、グローバルな視点を持ち、地球環境の保全と向上にも努めている。環境対策は三菱電機第五次環境対策の推進と歩調を合わせ推進しており、同社泗水工場が取得しているISO14001に沿った環境改善対策にも取り組んでいる。環境に配慮した企業活動への取り組みが重視されている。
 また近年、顧客をはじめビジネス関係者に迷惑をかけ信頼と安心の失墜につながる事件が多発する中、同社では企業機密管理や個人情報保護対策をはじめ、従業員同士の連携・協調を大切にし、セクシャル・ハラスメント対策などにも万全を期した取り組みを推進している。こうした地球環境、地域社会、社内環境への配慮をベースに安心できるビジネス活動を積極的に推進し、将来的社会貢献のできる企業へ大きく成長できることを目指している。
ますます拡大する表示機(ディスプレイ)ビジネスは、表示機を通して人と人、人と情報を結ぶインターフェースとしてユビキタスネットワーク社会の構築に必要不可欠な存在となってきている。
 時代の流れを背景として高精細化・動画対応・鮮明な色・自然色の高再現性などへのディスプレイ機能・性能の進化への期待が高まっており、この潮流は続くと予想される。
 「当社が手がけるTFT液晶ディスプレイはこれらの要求を満たすディスプレイであり、時流を捉えて着実な技術・製品開発を推進し事業拡大を図っていきたい」と同社は話す。
企業DATA
[所在地] 〒861-1198 熊本県合志市御代志997(三菱電機熊本工場内)
[TEL] 096-242-5944
[FAX] 096-242-5870
[設立] 2002年4月16日
[事業内容] 産業用・中小型TFT液晶モジュール及び液晶パネルの開発・製造・販売
[年商] 310億円(2005年度・三菱電機液晶事業連結)
[従業員] 445人
[出先] 泗水工場(熊本県菊池市泗水町住吉1576-1)
[関連企業] 三菱電機100%出資により設立

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。