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くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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製造・農業
操業開始から30年
世界の”マザー工場”から”リーダー工場”へ
本田技研工業(株)熊本製作所
30周年を迎えた熊本製作所
76(昭和51)年1月の操業開始から30周年を迎えた本田技研工業熊本製作所(菊池郡大津町、山下雅也所長)。二輪車生産からスタートした同製作所では現在、二輪を主軸に軽四輪エンジンと汎用エンジンを製造している。
国内外からの生産移管を進め、海外の生産を支援するマザー機能の強化を進めてきた同製作所。今年4月に着任した山下所長は「マザー機能とは、海外の拠点に対して基盤技術、量産技術、生産を安定させる技術、コストダウンの技術、また、品質を安定させる技術やノウハウを水平展開していく役割。熊本製作所では、二輪・汎用生産のマザー機能を担っており、現在、21カ国・27拠点の海外工場の支援を行っている。熊本製作所の従業員は3500人から3600人くらい。このうち500人前後が海外拠点への支援のために専属で仕事をしている」と説明する。
世界の”リーダー”へ進化目指す
山下所長は「海外拠点の生産レベルが向上する中、熊本製作所としていつまでも”マザー機能”だけでいいのかとの思いがある。次のステージとして、世界の”マザー工場”から”リーダー工場”への進化を目指したい」と話す。
「これまでの親と子の関係から脱却し、海外拠点とお互いが鍛えあい、高めあえる関係を目指す時期に近づいている。金型、設備、材料、工場内のレイアウトに至るまで、”モノつくり”に携わる以上、生産工程の中で改善できる余地はまだまだある。当製作所の技術レベルをさらに磨き、国内店海外の工場だけでなく、他社の工場をリードできる生産拠点を目指す」考えだ。
汎用新工場では電子基盤の製造も
 05年1月から、増設した汎用エンジンの生産工場が稼動。浜松製作所からV-ツインエンジンや水冷エンジンなどの汎用エンジンの生産が移管され、熊本製作所に船外機を除く同社の汎用生産が集中されている。
 また、新工場では、発電機、コージェネレーションシステムの生産も行っているほか、次世代汎用エンジン「iGX」に組み込むECU(電子制御ユニット)の基盤なども製造。「基盤のICに覚えさせる知能を手掛けたのは熊本製作所が初めて。これまで主に電機メーカーが手掛けてきた領域で、大きな挑戦の一つ」と話す。
太陽電池の量産工場新設を計画
 同社は、熊本製作所の敷地内に太陽電池の量産工場を新設する。今年秋の着工、07年後半の稼動開始を見込んでいる。
 新工場の建築面積は1万2千u程度を予定。同社が開発してきた非シリコン系次世代型薄膜太陽電池で、製造時の必要エネルギーやCO2の発生を従来の半分に抑えることができ、一般的な太陽電池とほぼ同様の発電効率を実現できる。生産量は、年間で一般家庭約8千世帯分(1世帯3.5キロワット換算)に相当する27.5メガワットを計画。個人住宅用や公共産業用に量産する。今年秋には、生産技術開発子会社・ホンダエンジニアリング(栃木県)で作る太
陽電池を試験的に販売する予定で、熊本の量産工場が完成後、全国で販売を開始する。
 山下所長は「他の工場に先駆け、新たな領域の生産を担っていることは熊本製作所の大きな特徴の一つ。現在生産している家庭用のマイクロコージェネなどの製品群に、太陽電池が加わり、エネルギー関連製品の蓄積が進む。二輪・四輪・汎用に加え、これら新しい分野の製品が揃ってくることで、将来的な新たな柱に育ってほしい」と期待する。
次世代へ環境残す取り組み
 環境に限りなく負荷をかけない製品づくり、次世代へ環境を残す取り組みを推進してきた同社。“喜びを次世代へ”という大きなテーマの中での取り組みの一つで、地域の小学生を対象にした環境学習プログラム「環境わごん」が好評だ。
 自然素材を使ったネイチャークラフトを行うプログラム「森の夢工房」
では、同製作所OBのボランティアスタッフらが中心となり、自然の仕組み
や環境保全の大切さを伝えるレクチャーを行い、間伐材、流木などを使ったクラフトを実施。モノつくりの体験と自然・環境に対する“気づき”を促している。
 操業開始から30年。山下所長は「技術者をはじめ、生産に携わるすべての人間が“ホンダが新しいことにチャレンジしないで誰がやるんだ”という企業スピリットは、今でも脈々と受け継がれている」と話す。「日本の製造業、とりわけ国内の生産拠点が果たすべき役割が改めて問われている時期に来ている。技術力にさらに磨きをかけ、これからの時代に相応しい熊本製作所を創りあげたい」と語った。
企業DATA
[所在地] 〒869-1293 菊池郡大津町平川1500
[TEL] 096(293)1111
[FAX] 096(293)8280
[設立] 1976(昭和51)年1月
[事業内容] 二輪車・軽四輪・汎用エンジン製造
[代表者] 山下 雅也 社長
[従業員] 3500人

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。