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くまもと経済EX 2006

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医療・福祉・医療関連・教育
よりレベルアップした診療を目指し挑戦を続ける
(医)社団 英山会 平山泌尿器科医院 ひらやまクリニック
 1994年の開業以来「地域に根ざした医療」を理念に掲げ、信頼と実績を積み重ねてきた医療法人社団・英山会。これから泌尿器科が取り組んでいくべき課題は1:前立腺癌の早期発見治療、2:尿路結石に代表される生活習慣病、3:若年者の性感染症予防、4:高齢者の医療対策だと平山理事長は考えている。
泌尿器科が直面する4つの課題
 前立腺癌はもともと欧米に多い疾患(欧米では男性の癌の罹患率第2位)だったが、近年では日本でも患者数が増加の一途を辿っており、近い将来日本でも、肺癌についで男性の癌の罹患率第2位になるのではとの見方がある。患者数増加の背景には、PSA(前立腺特異抗原)の検出が血液検査で簡単にできるようになり、早期発見が可能になったことが挙げられ、無症状で見つかるごく初期の癌も増えている。前立腺癌は、早期発見し治療すれば完治できる。今後は、これまで以上に早期の正確な診断が求められるだろう。
 その前立腺癌と共に増加傾向にあるのが、尿路結石に代表される生活習慣病だ。生活習慣病は戦後増加傾向にあり、食生活や生活習慣の変化が原因と言われているが、尿管結石は強い痛みを伴い、再発を繰り返すと腎臓に障害を来たす。その場しのぎの処置ではなく、再発防止に重点を置いた根本的な治療が必要だ。その方法として、特に食事療法や水分摂取を十分に行うなど予防に力を入れている。
 性感染症については、「若い世代に病気の恐ろしさをきちんと教示していくことが、泌尿器科医としての使命だ」と決意をのぞかせる。女性に多いクラミジア感染症、子宮癌の原因として話題を集めているパピローマウイルスも性感染症であり、放っておくと不妊の原因となり、またエイズの感染率も高くなる。高校を訪問しての講演活動では、「自分自身を大切にし、行動を起こす際にこれでいいのかしっかり考え、自分を守っていってほしい」というメッセージを一貫して訴え続けている。 最後に指摘するのは、高齢者医療の問題だ。現在、中高年者の間で排尿障害・尿失禁の増加が問題になっている。この疾患はQOL(Quality Of Life)が著しく損なわれるため、問題は深刻だ。平山理事長は、「マスメディアの影響で知識が広まり、以前に比べて専門医に相談に来る方が増えたのは良いことだが、まだまだ1人で悩んでいる方も多い。この病気は、患者一人一人に合わせた原因を究明し治療を行うことでコントロールできる。
あきらめず、一度専門医に相談してほしい。そのための啓蒙活動にも、今後力を入れていくつもりだ」と展望を語る。また、人工透析の患者の高齢化も重要な問題である。高齢者医療では合併症が起こりやすく、将来を悲観する患者も多い。そこで、患者一人一人ができるだけ快適に血液透析を受けられるよう、患者の視点に立ち、十分にコミュニケーションを図り、家族を含めた栄養士による食事指導、レクレーション活動などを行って、透析が負担にならないよう気を配っている。「新しい視点で、生活の中に楽しみを見つける手助けをしたい」という同会の姿勢を反映した試みだといえる。
高齢者が元気で長生きできる社会のために
 保険制度の変化など医療を取り巻く環境の変化については、「保険制度は、高齢者や癌患者など社会的弱者に厳しい方向に変わってきていると感じる。現在、きちんとした医療を行えば完治する癌が増えているので、国がもっと十分な保障をするなどして診療のバックアップをして欲しい。高齢者が元気で長生きできる社会を作るために、一般の皆さんにもっと医療に関心を待ってもらえるよう、より強く訴えていきたい」と熱い思いを語る。
「患者第一」をモットーに、診療のレベルアップを図る
 2つのクリニックの経営者として、「スタッフが仕事をしやすい、風通し
のよい職場環境を作ることが経営者としての責任。院内のミーティングでは、若いスタッフにも自由に意見を言ってもらい、できる限り柔軟に取り入れている」という平山理事長。さらに「患者第一」をモットーとする同会では、接遇の向上を重要視している。試みの一環として、定期的に専門の講師を招いて研修を実施しているほか、学会に出席して専門知識の研鑽に励むなど、医療サービスの質を向上させるために全スタッフが一丸となって日々努力を重ねている。「勉強が必要なのは医師も同じこと。開業医は、どうしても新しい知識に触れる機会が少なくなりがちなので、自ら積極的に学ぶ姿勢が必要だ。また、吸収した知識を患者さんにフィードバックすることが大切だと考えている。現状に満足せず、新しい治療法も適宜取り入れながら、常に診療のレベルアップを図っていきたい」と意欲を見せる。
 患者の満足度を高め、「ここを受診してよかった」と思われる病院であり続けるために。平山理事長のチャレンジはこれからも続いていく。
企業DATA
[所在地] 〒861-8064 熊本市八景水谷1丁目24-32
[TEL] 096-345-8588
[事業内容] 医療(泌尿器科・性病科)
[関連企業] ひらやまクリニック

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。