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くまもと経済最新号Latest Issue

2017年5月 Vol.431表紙
2017年5月 Vol.431
表紙の人
「地域とともに成長する病院目指す」
藤山 重俊
(くまもと森都総合病院 理事長・院長)

特集

熊本地震から1年・・・進む産業・インフラの復旧・生活再建の実感には温度差も

震度7の激震が2度も襲い、震災関連死を含め200人以上の尊い命を奪った熊本地震から1年。被災家屋は約19万棟におよび、今なお4万8千人余りが仮設住宅などでの仮住まいを強いられている。生活再建の実感には温度差がある一方で、産業・インフラの復旧工事は確実に進み、復興特需による企業経営者の景況感も早い段階で回復へと転じた。震災から1年後の被災地の現状と復興への動きをカメラで追った。(熊本地震取材班)

人出増える中心街、復興・再生の弾みに・・COCOSA 来館見込は400 万人、回遊性に課題

熊本地震以降、熊本市の中心商店街を訪れる買い物客が増えている。昨年10月に市と熊本商工会議所が実施した通行量調査では2日間計で前年を1万8千人上回る結果となった。下通繁栄会の調査では4月のイベントで通常の週末と比べ、下通りは2倍の人出を記録している。郊外の大型商業施設の休業が主な要因だが、商店街関係者は賑わう人出を早期の復興や街の再生に生かしたい考えだ。4月27日には集客の核として期待される複合商業ビル、「COCOSA(ココサ)」が中央区下通に開業。来館者数は400万人を見込んでおり、その効果をいかに取り込み、客を回遊させるかは目下の課題でもある。将来の集客を左右する再開発事業、「桜町」「熊本駅ビル」の開業にも関心を高める中心商店街の声を拾った。 

国際線、クルーズ急増でインバウンドに回復の兆し・・八代クルーズ、受け入れ態勢に課題

昨年4月の熊本地震でインバウンド(訪日外国人観光客)の数は激減したが、少しずつ回復の兆しが見え始めている。阿蘇くまもと空港では、昨年6月に台湾・高雄線が再開し、今年4月には一年ぶりにソウル線の定期便就航が決定するなど、国際線航路も震災前の水準に戻りつつある。また、八代港では今年、昨年の7倍となる₇₅隻の大型クルーズ船が寄港する予定。県は今後、港周辺をクルーズ船の拠点化に向けて整備を進めていく方針だが、地元の受け入れ態勢の拡充といった大きな課題も残されている。

海外・全国への市場拡大で勢い加速・・はばたく中小企業に県内から6社選定

地域経済の活性化の鍵となるのが中小企業の存在だ。人口減少社会が到来しつつある中、独自の技術・サービスを海外・県外市場を広げることで市場を獲得することで業績を伸ばしている中小企業に注目が集まる。中小企業庁が3月に発表した「はばたく中小企業300選2017」に県内から6社が選ばれた。選定企業では独自の製品や時代の流れに沿ったサービスを全国、海外へ販売しているケースが目立つ。また、政府が「働き方改革」を進めるように労働環境の改善に社会的な注目が集まる中、人材活用に取り組んでいる企業も多い。はばたく中小企業に選ばれた県内企業6社に、事業内容や今後の展開を取材した。

復興祈願シンポジウム〜震災経験を災害対策の資源に・・・くまもと復旧・復興有識者会議メンバーが熊本地震を検証

熊本地震からの復旧・復興を目的に、熊本のさらなる発展の礎(いしずえ)となる「創造的復興」の具体化を図るため、県は昨年5月「くまもと復旧・復興有識者会議」を設けた。過去の大規模災害の復興計画などに携わった7人の有識者による5つの提言は、県の「復旧・復興プラン」の迅速な策定に大きく寄与した。熊本地震から1年となる4月16日、県は「復興祈念シンポジウム」を熊本市中央区水前寺公園のホテル熊本テルサで開き、7人の有識者会議メンバーが震災からの復旧・復興について意見を交わした。シンポジウムは熊本地震を検証し、熊本の将来像を県民と共有しながら、検証結果を全国へ発信するのが狙いで、約450人が参加した。

■西環状線「花園」〜「下硯川」間が開通・・・西環状「2号トンネル」が貫通、上熊本駅付近も道路着々

熊本市が整備を進めている熊本西環状道路の花園インターチェンジ(IC、西区花園7丁目)〜下硯川IC(北区下硯川町)間4・1qが、3月26 日に開通した。

■4月12日から工場見学を再開・・・サントリー九州熊本工場

サントリー九州熊本工場(嘉島町北甘木、橋本猛工場長)は4月12日から、工場見学を再開した。平成28年熊本地震で工場設備などが被災したため、操業停止となり、同時に工場見学も休止していた。震災後、サントリーグループ一丸となって生産設備の復旧を進め、今年の1月までに「ザ・プレミアム・モルツ」たる生、缶の出荷を再開。今回、工場見学についても、地震から約1年を目前に、サントリーのものづくりを体感できるよう来場客受け入れを再開した。

■動物ふれあいゾーンを移設リニューアル・・・阿蘇熊牧場

阿蘇カドリー・ドミニオンを運営する(株)阿蘇熊牧場(阿蘇市黒川、社長=大久保智司スターゲイトホテル社長)は6月上旬までの予定で、園内のリニューアル工事を行っている。

■被災地の現状を伝え、復興につなげる役割を・・・JTB九州、JTB国内旅行企画

鰍iTB九州(福岡市中央区長浜、吉田和吉社長)と鰍iTB国内旅行企画(東京都品川区、大谷恭久社長)は4月から2016年4月14・16日の熊本地震の遺構、経験を語り継ぎ、備えを促すプログラム「震災復興ツーリズム着地型商品(学びのプログラム)」を団体専門商品として販売している。

特別企画

・Frontview 熊本駅ビルで地域経済を活性化 JR 九州
・Frontview 2016年度企業立地件数は21件  県企業立地課
・県内入社式スケッチ2017
・県内入学式スケッチ2017

インタビュー

・市役所改革、「震災経験した熊本市だからできる」多野 春光 熊本市副市長
・地域連携で新県南観光ルート構築を 松木 喜一 八代商工会議所会頭
・桜町再開発で中心市街地の活性化に貢献 矢田 素史 九州産業交通ホールディングス社長
・サントリー水の国くまもと応援プロジェクト始動 福本 ともみ サントリーホールディングス執行役員コーポレートコミュニケーション本部長
・「映画の神様に撮らされました」 映画監督行定勲
・創業70周年、新社長を柱に新たなスタート 村田親則村田自動車ボルボ・カーズ熊本南 社長
・議員間のネットワークをより強固に 前田 憲秀 公明党県本部幹事長



資料

・資料 県内建設業 直前の年間平均完成工事高順位

くまもと経済は毎月30日前後に発刊。業界や特定企業の動向を知る情報源として、また、事業展開のため の情報・資料として、熊本のビジネスシーンで広く活用されています。

定価:1,892円/年間購読:19,000円