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医療法人社団 岡山会 九州記念病院   
 岡山 洋二  (おかやまようじ)

  理事長
プロフィール
宇城市(旧宇土郡)三角町出身。1949(昭和
24)年10月6日生まれ、71歳。熊本高校‐熊
本大学医学部卒。趣味はコンピュータープロ
グラミング、将棋、古写真収集。ライフワークと
して臨床研究を進める特定部位(頸部、腰部)
に局所麻酔剤を皮下注入する新たな治療法
「トリガー・ポイント・ブロック」により得た新
説を学会で発表し続けている
“血流障害を原因とする疾病概念”を提示
10年ほど前、トリガー・ポイント(TP)注射(局所麻酔剤の皮下深部への注入)を実施中、想定外の広範な部位に疼痛の改善をもたらす現象を偶然発見した岡山氏は、直ちにこの作用機序の研究を始め、昨年の第49回日本慢性疼痛学会学術集会(東京)で、これまでの研究結果を発表した。これまで多くのTP注射の経験から、筋肉痛以外の多くの疾病の改善を認めている岡山氏は「局麻剤の注射により交感神経の過緊張状態を抑制して末梢血流の増加をもたらし、血流障害
による組織特有の機能障害が改善する為」と解釈している。
 血流障害に関する病気として、動脈が突然閉塞する心筋梗塞や肺塞栓、脳梗塞等の突然死を招く恐れのある病気があるが、徐々に血流が減少する有名な病的状態として閉塞性動脈硬化症という下肢切断に陥る重篤な病気がある。岡山氏は「これらの病気は動脈の器質的障害が原因で生じますが、私の経験上、改善をみた病気の多くが、心的ストレスに長期間曝され交感神経が過剰に働く事で、末梢動脈の過剰収縮による末梢血流の慢性的な不足が生じ、組織の特有の機能低下という病的状態を招来している」と見ている。「通説では、血流障害という概念は動脈の器質的障害に専ら向けられているが、原因不明で治療法が未確立の病気の大半が、交感神経が関与する機能的な血流障害が原因ではないか」と岡山氏。
 約2年前には、突発性難聴に罹患し聴力ゼロの患者が、頚部トリガーで聴力が回復した例を経験した。また、自己免疫性胆管炎の患者に腰部TP注射の実施で肝機能の改善を認めている。追突事故で受傷し、頚部痛や頭痛、目眩、嘔気、耳鳴り等の不定愁訴が数日間で生じ、次第に増悪する外傷性頚部症候群(俗称、むち打ち症)の治療を多く経験するが、「軽微な外傷でも症状が増悪する原因は、外傷を負ったとい
う被害者意識が強いストレスとなり、交感神経の過緊張を招くことが原因」と見ている。「現行の医学界の通説では、ほとんどが心理的な精神状態に対処する治療に終始しているが、根本的には血流障害を改善することが必要」というのが岡山氏の考えだ。
〒862 0956 熊本市中央区水前寺3-38 TEL096(383)2121 FAX096(381)9235 http://kkh.jp/
開業/1946(昭和21)年 設立/1962(昭和37)年 病床数/一般病床101床(地域包括ケア病床30床含む) 療養病床133床(回復期リハビリテー
ション病床34床含む)合計234床 職員数/291人 診療科目整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科、循環器内科、呼吸器内科、代謝内科、消
化器内科、泌尿器科(人工透析室)、脳神経外科、耳鼻咽喉科、神経内科、形成外科、皮膚科、放射線科、外科 関連施設/訪問看護ステーション、通所リハ
ビリテーション、指定居宅介護支援事業所、人間ドック、託児施設「八福園」
※この記事内容はくまもと経済3月号(2021年2月28日発行分)の掲載内容です。