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くま経プレス 2010年3月 vol.242
司法アクセスの向上を目指す
弁護士会をもっと身近に
高木法律事務所
所長 高木絹子さん


 4月1日、熊本県弁護士会の次期会長に女性として初めて高木絹子弁護士が就任する。「法律や裁判だけでは解決できない問題に対して、関係機関や行政などと連携した仕組みを模索したい」と話す高木弁護士。新屋敷2丁目の事務所を訪ね、抱負や今後の取り組みなどについてインタビューした。 

たかぎ きぬこ/昭和28年8月6日生まれの56歳。福岡市出身。九州大学法学部卒。昭和59年4月、熊本市で弁護士開業、同63年、熊本市新屋敷2丁目に高木法律事務所を設立。熊本大学医学部非常勤講師、社団法人熊本犯罪被害者支援センター理事、熊本地方最低賃金審議会委員、熊本労働局紛争調停委員会委員、熊本県環境審議会委員、熊本市情報公開・個人情報保護審議会委員などを務める。
立場によって主張を変えたくない 

―これまでどのような活動をしてきましたか。 

高木 一番力を入れているのは医療過誤です。また、結果的にセクハラやDV(家庭内暴力)、性被害などに関する仕事も男性の弁護士に比べると多いように思います。同じ女性として苦痛を実感でき、わかりあえると思って安心して相談できるのではないでしょうか。また、人権擁護委員を平成2年から平成20年までさせていただいた関係で、人権関係のお仕事も多かったですね。私のポリシーは、「立場によって主張を変えるようなことはしたくない」ということです。立ち位置が変わっても守るべきものはあると思っています。それは真実究明であり、人権に対する配慮であるということ。これは基本的には変わりません。 


―女性として初の県弁護士会会長に内定されましたが、決まったときの感想は。 

高木 今、司法界は過渡期にある中で、会長に決まった時は責任の重さを感じました。車の運転にしても、これまで以上に慎重にして、体調も一年間崩せないぞ、と思いました。 


―会長としてどのようなことに取り組んでいきますか? 

高木 みなさんに弁護士のことを身近に感じてもらい、司法アクセスを良くすることなどが課題だと感じています。司法アクセスに関して言えば、刑事事件で逮捕された被疑者のもとに24時間以内に駆けつける当番弁護士という制度がありますが、「刑事以外でも民事での利用はできないんですか?」などの声があります。また、法律相談センターに関しては「平日は仕事があるので土日に相談したい」という要望もあります。今は土曜日の相談も受け付けていますが、これらの声に対して仕組みを改善できることはないかと考えています。  また、地域や親類の結びつきが以前に比べて希薄になっている中で、裁判や法律だけでは解決できずに取り残されている人たちが多くなっているような気がします。そういった人たちのための仕組みづくりができればと考えています。例えばDVが原因で離婚したい時に、子供との関係や生活費など様々な問題が法律だけでは解決できないため、行政をはじめとする第三者との連携が必要になってきます。1年という任期の中でどれだけのことができるかわかりませんが、弁護士会として他の機関や行政などと連携した仕組みを模索していきたいと思っています。これは私が女性弁護士として性被害やDVの問題を数多く扱ってきたからこその発想なのかもしれません。
 
お金のこともまずは相談を

―弁護士会を利用する際のアドバイスはありますか。 

高木 問題が絡まってしまう前に身近な弁護士に相談してみてください。県弁護士会では水道町に法律相談センターを設置しているほか、県下7カ所に相談窓口を置いています。多重債務など借金問題に関する相談は無料になっていますし、事件を頼むことになった時にお金がないという場合には法テラス(日本司法支援センター)で立て替え制度もあります。法律扶助を使えば相談料が無料になるケースもありますので、お金の問題も含めてまずは相談してみてください。 


―最後に、ご家族や趣味について教えてください。 

高木 夫と娘2人の4人家族です。夫も弁護士で、娘たちは成人して働いています。数年前から弁護士会で韓国との交流をしているんですが、韓国の方の日本語の上達が早く、私もと思って週1回の韓国語教室に行き始めました。日本語と韓国語との共通点などがあり、面白いですね。最近は教室にもなかなか行けず、上達しません(笑い)。英語は挫折しましたがこちらは時間を見ながら頑張りたいですね。 

―ありがとうございました。
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