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くま経プレス 2010年10月 vol.249
伝統芸能を根付かせ熊本の観光資源に
伝統歌舞伎音楽打楽器演奏家
中村花誠さん
 国内でも数少ないプロの女流邦楽演奏家であり、また日本舞踊の指導者でもある中村花誠さん。平成20年から始まった邦楽の舞台「熊本をどり」のプロデュースをはじめ、子ども演奏舞踊団「ザ・わらべ」を結成し、古典音楽の継承と日本舞踊の発展に取り組んでいる。熊本市蓮台寺1丁目の稽古場で、芸を通じた街づくりへの思いを聞いた。

なかむら かせい/1964年熊本市生まれ。幼いころから日本舞踊を始める。藤間流・藤間勢珠氏に師事し、15歳で名取となる。また、このころからお囃子(鳴物)を中村流・中村壽誠氏に師事、平成8年中村流師範となる。舞踊と鳴物の両方の顔を持つ異色の存在であり、熊本を拠点に、本場・京都や東京など全国的な演奏会の傍ら、韓国ソウルで開かれた「漢城百済文化祭」に「ザ・わらべ」と共に出演するなど、国内外で活躍中。
−「熊本をどり」を始められたきっかけと、その思いとは。


中村 私は長く京都に住んでいましたが、京都の街づくりは神社と伝統芸能を中心とした花街が絶妙に融合し、京の風情を彩っています。この街づくりのシステムを、熊本でも活用できないかと考えていました。
 しかし、地方では舞台人として人材が育っていません。会場はあってもそれを生かす人がいない。商業ベースとして長く地域に根付かせるのは非常に難しいことです。私は平成12年に「ザ・わらべ」という子どもの演奏、舞踊団を結成し、若い人を育ててきました。その成果を発表できる舞台を作りたいという思いが、「熊本をどり」を始めたきっかけのひとつです。
それと、伝統芸能の中心地である京都では、舞妓さんや芸奴さんが登場する「都おどり」が有名ですが、そのほかにも伝統芸能を通した様々な公演が行われ、観光資源として国内外から多くの観光客を集めています。熊本でもこのような伝統芸能を根付かせ、観光資源として地域経済の活性化にお役に立ちたいと考えています。「熊本をどり」を通じて、熊本で芸で生きていく人づくりと、伝統芸能で地域経済が潤う仕組みを作り上げること。このふたつが私の思いです。


−「ザ・わらべ」は県や市のイベントなどでも大活躍ですね。


中村 ありがとうございます。「ザ・わらべ」は3歳から19歳までの子どもの演奏、舞踊団です。表にでて芸を披露するのは、中学1、2年生の3人ですが、彼女たちは全国的にも珍しい存在で、将来、芸を超えた芸術という分野で熟成され、熊本の宝になる逸材だと確信しています。スザンヌさんの熊本PRソング「ダイスキ!くまもとファイヤー」や「くまもとサプライズ」を振り付けし、踊っているのも彼女らです。その縁で、来春の九州新幹線の開業イベントでは、くまもとサプライズとして新しい踊りを披露する予定になっています。


−最後に中村さんの夢は。


中村 神社を中心とした街づくりですね。神社は元来、人々の信仰の場であり、お祭りがあります。そこにお店ができ、豪華絢爛な芸が加われば、必然的に人が集まります。各ジャンルの人たちが知恵を出し合い、皆が潤う街づくりのシステムを作り上げたいというのが私の夢です。
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