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 Human輝き人interview:14
くま経プレス 2011年8月 vol.259
つながる命に寄り添いたい
医療法人聖粒会 慈恵病院 看護部長
田尻由貴子さん
今年1月、出産とその後の入院期間を快適に過ごしてもらおうと、本館南側に新産科棟「マリア館」を新設した慈恵病院。新館には「こうのとりのゆりかご」も移され、アメニティーを重視した造りになっている。同院の看護部長として、「こうのとりのゆりかご」の対応や講演会など幅広く活動する田尻由貴子さんに現在の活動や目標などを聞いた。

プロフィール/たじり ゆきこ 嘉島町出身。1950年4月2日生まれの61歳。1973年公衆衛生看護学院で保健師および助産師の資格を取得。菊水町立病院保健師、総婦長などを経て、2000年慈恵病院看護部長。09年熊本県立大学アドミニストレーション研究科卒。現在は全国の小・中・高校、大学をはじめ、各学会などで性教育や命、子育て、人権などの講演活動を行っている。趣味は生け花
―こうのとりのゆりかごが新棟に移りましたね。
田尻 基本的な運用システムは以前と変わりませんが、ゆりかごまでの動線を一般利用と分け、扉の隣には相談を呼び掛ける案内板を設置しました。ほかにも、ドアを開けると「手紙」がお母さんに届くようになったこと、隣には相談室を設置したことなどが工夫した点です。ゆりかご利用の時は私が呼ばれるシステムになっていますので、看護部長の仕事をしながら相談業務は24時間365日です。ゆりかごに預けられた赤ちゃんは4年間で75人、昨年は熊本からも3人の赤ちゃんが預けられました。公的な機関に相談にいっても解決策が得られず、困り果てて相談に来られる方もいるので、当院の意義、重要性を感じているところです。
―新棟はアメニティー部分を大事にされているようですね。
田尻 以前は、本館の同じフロアに産婦人科と内科、外科、小児科があり、妊婦にとっては決して良い環境ではありませんでした。そこで、産科と小児科外来をマリア館に移動し、より快適に過ごしてもらえるようにしました。病院というイメージではなく“ホテル的で、家庭的な雰囲気、環境にしたい”という思いがありました。完全個室で、プライバシーが守れることや家族で一緒に出産のお祝いができるという点が特徴です。利用者にはすごく喜ばれていて、中には「帰りたくない」というお母さんもいらっしゃいます。
―ところで、田尻さんが新生児相談を始めたきっかけと震災後の変化は。
田尻 平成12年に看護部長に就任したときからさまざまな相談業務を担当していました。その経験から、平成14年に生命尊重センターという命を守る組織から、妊娠・葛藤(かっとう)相談をボランティアとして引き受けたのがきっかけです。震災後は、経済的なことやさまざまな理由で相談件数が若干増えています。特に県外からの相談が多く、22年度は70%が県外からの相談でした。
―これからの目標は。
田尻 「日本のマザー・テレサになる」ことが夢ですね。マザー・テレサはお腹の命をとても大切にされ、子どもたちを一生懸命愛したシスターです。私も困っている人のためにお手伝いをしたいと考えています。当院では相談で命が救われたケースが4年間で117人に上ります。若年妊娠や未婚の妊娠など理由は色々ですが、赤ちゃんが家庭で育つように慈恵病院でつながっていく命がある、その喜びが私にとってのやりがいです。また、女性が新しい人生に向かって前向きになれる、女性の生き方に寄り添えることが大きいですね。
―田尻さんへの10の質問―
@モットーは?
愛 「大切なのはどれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたか」マザー・テレサ
A尊敬する人は?
マザー・テレサ
B最近読んだ本は?
『目に見えないけれど大切なもの』渡辺和子著
C休日は何をして過ごす?
孫と遊ぶ
D熊本で行きつけの店は?
日本料理 雫、城見亭
Eこの仕事をしていなかったら何を?
学校の先生
F日常生活で心がけていることは?
食べ物や睡眠、運動。病院の中では階段を利用するようにしている
Gアイデアが浮かぶのはどんなとき?
寝る時や公園でぼーっと景色を眺めているとき。浮かんだら夜中でもすぐメモする
Hマイブームは?  
休憩時間に紅茶を飲むこと
I「輝いている人」の条件とは?
常に前向きな人、どんなにつらくても常に笑顔でいれる人。
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