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 輝きびと Interview:35
くま経プレス 2013年5月 vol.280
農家直送の通販事業が好調
昨年5月に完成した新社屋内の選果場でスタッフと一緒に撮影(中央が大嶌法子社長)
大嶌屋 社長
大嶌法子さん
 野菜・果物などの農産品、馬刺しの通信販売を行う椛蝗ク屋(宇城市松橋町古保山)は、高齢化や後継者不足、不安定な収入に悩む生産農家の役に立ちたいとの思いから、7年前に農家直送の通販事業を開始した。創業20周年を迎えて、売上高は前年比60%増で好調な業績を上げている。松橋町の本社を訪ね、創業者の大嶌法子社長に企業成長の秘訣について聞いた。

おおしま・のりこ/御船町出身。1954(昭和29)年6月14日生まれの58歳。御船高校卒業後、化粧品通販会社に就職。退職後、92年(有)優美堂を設立。2012年に椛蝗ク屋に社名変更。趣味は読書。
―売上高前年比60%増の11億6千万円ですが、会社成長の秘訣は?
大嶌 市場から仕入れないため、仲介業者が入らず、農家から直接仕入れを徹底している点ですね。豊作不作に関係なく買取価格を毎年均一にすることで、農家の収入安定につながりますし、お客さまには一般市場よりも安く提供することが可能になりました。また、果物や野菜を入れる箱には、農家の名前、顔写真、こだわりを書いたメッセージを商品と一緒に入れて、農家から直接お客さまに発送しています。お客さまから寄せられる喜びの声やクレームも含めて、生産した農家にすべて伝えています。そうすることで、農家の励みになり、さらにおいしいものを作ろうとがんばれるからです。注文のリピート率が7割を超えているのは、この方法にお客さまが共感して購入されているからだと思います。
―県内の朝礼コンクールで優勝されたそうですね。

大嶌 ありがとうございます。会社が急成長して、従業員も100人まで増えましたが、従業員の成長が追い付いていないと感じる時期がありました。そこで、毎日の朝礼では指先の伸ばし方やお辞儀の仕方など基本的なことから、元気で大きな声であいさつするなど、活気のある朝礼を採り入れました。社屋の窓が本当に震えるくらい大きく元気な声なんですよ。この朝礼を見ようと今では他社から見学に訪れることもあります。
―今年の3月は福島県へミカンを送る支援をされました。
大嶌 はい、契約農家に呼びかけて旬のミカン12トンを準備し、福島県相馬市に送り、仮設住宅などで配布しました。震災から2年が過ぎても、被災に加えて風評被害で苦しんでいる福島の方に、熊本のおいしいミカンを届けたい思いで送りました。
―最後にこれからの夢を教えてください。
大嶌 農家の高齢化や後継者不足などで増加している耕作放棄地を活用した1つのモデルケースを作りたいと思っています。生産段階に携わることで、農家の気持ちを理解し、各農家が実践する生産方法の成功事例を広め、新たな生産法への取り組みにも挑戦したいです。
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