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 →ファイナンシャル・プランニング(FP)の実現を ライフデザイン・ライフプランからマネープランへ
くま経プレス 2007年6月 vol.209


金融商品はライフプラン実現の道具

 金融商品は生活設計、つまりライフプランを実現するための道具です。将来住宅を買いたい、子供を大学に行かせたい、豊かな老後を送りたい、といった生き方のデザイン、つまりライフデザインに応じて、生活の具体的なプランを立てていくのがライフプランです。今夏の金融特集はライフプラン(生活設計)とマネープラン(資金計画)について特集しました。

「FP」とは計画を立てること

 社会が成熟化する中でライフデザインは多様になっています。一生独身で暮らすシングル、ディンクス(夫婦2人分の収入があり子供がいないこと)、あるいは共働きで子育てをする、夫が働いて妻は家事・育児に専念する。今はどこかに務めているが将来独立して会社を起こすなど、さまざまなライフデザインがあるので、それにもとづくライフプランも人それぞれです。
 こうした多様なライフプランを実現するため、経済面、つまりパーソナルファイナンスの面で計画を立てていくことをファイナンシャル・プランニング(FP)と呼んでいます。そして金融商品の選択はファイナンシャル・プランニングに含まれています。
 ですから、金融商品を上手に選ぶためには、自身のライフデザインとそれにもとづくライフプランを明確にして、さまざまなライフプラン上の資金目的を確かめて、それにふさわしいタイプの金融商品に絞って選んでいくことが、まず大切です。

資産と負債の現状分析をしよう

 金融商品を選択する前に、まず、資産負債の現状分析をすることが大事です。年末や3月末といった一定時点の資産と負債の時価を表にまとめてみましょう。預金は通帳の残高、投資信託や株式はその日の終値を書きます。建物や土地については、近隣の不動産会社で売却時価がどれくらいか聞いてみます。自動車も中古でいくらぐらいの売却価値があるか中古自動車ディーラーになどに聞いてみます。
 また、養老保険や学資保険あるいは個人年金など貯蓄性のある保険については、その時点で解約したらいくら解約払戻金が出るかを保険会社に聞いて記入します。住宅ローンや自動車ローンそしてクレジットカードの未決済残高も記入します。
 記入が終わったら次の点をチェックしてみてください。
 ・資産合計が負債合計よりも大きいか。
 ・資産に占める実物資産、特に不動産の割合はどの程度か。
 ・住宅の資産価値は年々落ちているのか、それに対して住宅ローンの減り   方は少ないか。
 ・金融資産に占める貯蓄系資産と投資系資産の割合はどうなっているか。  貯蓄が多すぎないか。投資系資産が多くて必要以上に価額変動リスクを  とっていないか。

年に一度はバランスシートを見直す

 日本人の個人のバランスシートは、今までは一般に資産に占める不動産の割合が最も多く、それに預貯金で大半を占めていました。最近は、不動産、特に地価は資産価値が増える場所と減る場所の二極化が進んでいる傾向にあります。
 また、物価上昇傾向が出てきている中で預貯金金利は少しは上がってきていますが、今だ低金利という状況もあります。また、人によっては住宅ローンやその他のローン残高かなり大きいケースもあります。そうした場合は、預貯金の一部を取り崩して住宅ローンの繰上げ返済を行うことも必要です。
 ですから年に一度はバランスシートを作って、資産と負債の全体の状況を把握し、資産と負債の内容の見直し、金融商品の見直しをしておくことがとても大切になっています。なお、バランスシートの作成に当たっては金融機関やファイナンシャル・プランナーなどに聞くと教えてくれるはずです。

世代別・スタイル別のライフプランとマネープラン

(1)新社会人編
 まずは何よりも一番大切なのが目的を持つことです。2年に1度海外旅行するでも、5年後に結婚するでも、30歳で独立起業するでもいいのです。自分がやりたいことをみつけましょう。その目的を達成するためにお金が必要なら、それを貯めることがひとつの目標になります。
 給料をもらったら、使うか貯めるかのどちらかですが、欲しいもの、したいことは無限にあるので、それを我慢して貯めるには、はっきりとした目標が必要です。将来に達成したい夢がある時に初めて、目の前の誘惑に耐えて貯蓄ができるようになるのです。 特別に目的や目標を持たなくても生きていくことはできますが、具体的な目標を持ち、その実現に向けて努力したり、お金を貯めることで、より充実した人生を送ることができます。

(2)ヤングファミリー編
 結婚したばかりのころは、家計のやり繰りや貯蓄などわからないことが多いものですが、これから、いろいろな目的のために財産を築いていくためにも、おおまかな支出の流れをつかむことが必要です。
 そうでないと、今のままの出費でいいのか、もっと節約しなくては目的(家を買うなど)が達成できないのか、もっとぜいたくをしても大丈夫なのか見当がつきません。すると不安になります。
 一度、家計簿をつけてみることをお勧めします。といっても、共働きだったり、小さな子供がいると、正確に記録をするのは簡単ではありません。最初から完璧を目指さずにできるところから始めましょう。市販の家計簿やパソコンの無料ソフトなどを使用するといいでしょう。

(3)中年世代編
 子供にかかる教育費は、子供が生まれたその月から始めるのが理想です。ここでいう教育費は「大学進学費用」のこと。というのは、幼稚園から高校までの教育費は、貯蓄から出すものではなく、月々の収入やボーナスから出すべきだからです。
 高校までに大切なことは、貯蓄を崩さずに行ける学校に通い、塾や習い事も給料やボーナスから払える範囲にすることです。この期間に貯蓄を引き出したり、教育ローンを借りたりするようでは、大学進学の費用を貯めることはできません。無理をしても息切れしてしまいます。
 教育は子供の将来のための投資ですが、その家庭の収入の状況を無視することはできません。一定の予算の中で、よい教育環境を作るように工夫して下さい。どうしても無理な場合は奨学金や教育ローンの利用を考えます。


(4)退職前から退職後編
 退職前にいくら貯めたらいいかは、退職後にどのような生活をしたいか(毎月の支出がどのくらいか)、もらえる公的年金や企業年金、退職金はどのくらいかによって全く違いますが、ここでは一般的な例で基本的な考え方を紹介しましょう。
 退職後は住宅ローンや子供にかかる費用がなくなり、将来のための貯蓄や生命保険料も不要になるので、生活費は50歳での生活費(手取り収入)の5割くらいになります。 平均的なサラリーマン家庭(妻は専業主婦かパート)であれば、公的年金は現役時代の平均の生活費の約6割をカバーできる仕組みですが、これは退職後の生活費の8〜9割にあたります。とすれば、生活費の1〜2割分を、退職から20年分くらい準備すればよいということになります。

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