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くま経プレス 2007年7月 vol.210
33歳ママさん選手 世界へ初挑戦!
アーチェリー第44回世界ターゲット選手権  女子コンパウンド部門日本代表 
谷口裕子さん(桜ビル)
 静岡県掛川市つま恋で行われた第44回世界ターゲット選手権代表選考会で、宇土市の谷口裕子選手(桜ビル所属)がコンパウンド部門で見事初優勝を飾り、日本代表としてドイツ・ライプチヒで開催される世界大会(7月7日〜15日)への出場権を獲得しました。      
 谷口選手は5年前にアーチェリーを始め、宇土東保育園に勤めていた04年6月、競技歴わずか1年半で全日本社会人ターゲット選手権を制した異色の経歴の持ち主。その素顔は6歳の一人娘舞香ちゃんと一緒に弓を引く、ママさん選手でもあります。世界選手権を前に練習に励む谷口選手を宇土市花園アーチェリー場に訪ね、アーチェリーの魅力や世界大会への抱負を聞きました。

たにぐち ひろこ 宇土市松山町出身、1974(昭和49)年3月25日生まれ、33歳。九州女学院高校(現ルーテル学院)から日本情報処理専門学校、浪速短期大学保育科卒業。今年の熊本県アーチェリー選手権男子コンパウンド部門優勝のご主人幸夫さん(自営業)と長女舞香さん(6歳・小1)の3人家族。父親の櫻田一明さんが経営する桜ビル鰹椛ョ
33歳ママさん選手 世界へ初挑戦!
▲宇土市花園アーチェリー場で長女舞香さんと
−優勝おめでとうございます。代表選考会では2位の選手に3点差という激戦でしたが、振り返ってみて勝因は。 

 
谷口 代表選考会の会場は、いつも強い風が吹くコンディションで、この風対策がポイントのひとつでした。私は他の選手より打つテンポが早く、それが風の影響を最小限に抑え、結果的に勝てた要因かもしれません。


−普段の練習から風を意識して取り組まれていると。


谷口 そうですね。練習は極力、風のある時を選んでしています。風の中で打っていれば、風のない時は安心して打てますから。
それと、今年に入ってアーチェリー自体が安定してきました。競技は2日間に分かれ、1日目が長距離(70m、60m)、2日目が短距離(50m、30m)が行われます。それぞれ36射、合計144射で争いますが、これまでのように、長距離か短距離のどちらかがいいと、どちらかが悪いようなケースが少なくなり、自分自身でも「勝てるかもしれない」という手応えを感じて臨んだ大会でした。


−アーチェリーは、そうした気象条件にも影響されますが、競技をする上で最も大切なことは何ですか。


谷口 9割はメンタルだと思います。全国レベルの大会では、誰が勝っても不思議ではありませんから。最終的にはメンタル面で自分自身に勝った選手が勝ち残れると思います。技術は練習量でカバーできる面もありますが、いざ大会になると緊張もしますし、その場面でいかに集中し、実力を発揮できるかです。やはりメンタル面が勝敗を左右する競技です。


−ところで、谷口さんがアーチェリーを始められたきっかけは。
  

谷口 父が宇土市アーチェリー協会の理事長や熊本県アーチェリー協会の理事普及部長をしている関係で、小さな頃からアーチェリーは身近に感じていました。でも、まったく興味がなくて、高校時代はハンドボールをやっていました。
 それが、結婚して運動不足解消にという軽い気持ちで宇土市の総合型地域スポーツクラブに入り、当初はハンドボールをしたかったのですが、父の薦めもあり、主人と一緒にアーチェリーを始めました。


−競技歴はまだ5年ほどですよね。短期間で急速に強くなられた要因は。


谷口 宇土市は県民体育大会で何度も優勝している強豪チームで、周りは強い選手ばかりでした。練習に行っても、当初は自分だけがバラバラで的を外し、とにかくうまくなりたいという一心でした。気がつけば、「毎日、弓が引きたい・・」という気持ちになり、アーチェリーにのめり込んだ感じです。


−宇土東保育園に勤めていた3年前(04年6月)、競技歴わずか1年半で熊本開催の全日本社会人選手権で優勝されましたね。


谷口 初出場で初優勝でした。あの時は無我夢中で、対戦する選手も分からず、ある意味怖いもの知らずで、気負うものがなかったのが良かったのでしょうね。でも、一気に優勝してしまったので、その後の大会ではプレッシャーが大きく苦労しました。

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−コンパウンド競技はオリンピック種目に採用されていないため、世界選手権が最高峰の大会です。世界大会への抱負を。


谷口 日本代表というとプレッシャーになるんで、結果を求めるより、まずは自分の力を発揮できればと思っています。初出場で、しかも初めての海外遠征ですから、言葉の問題とか競技以外の部分もいろいろあると思いますし、自分自身が楽しめるような試合展開ができればいいですね。


−ずばり目標は。


谷口 世界選手権のコンパウンド女子の部門には各国から約100人が出場し、予選で60人程度に絞り込まれます。元々、コンパウンド競技はヨーロッパが盛んで、強い選手も多いですから、まずは予選突破がひとつの目標です。


−最後に谷口さんにとってアーチェリーの魅力とは。


谷口 アーチェリーは健常者も障害者も関係なく、同じ条件で対等に戦える数少ないスポーツです。誰もが同じ条件で、年齢に関係なく楽しめるのがアーチェリーの魅力です。私自身、趣味であるアーチェリーを通して、「誰もが皆対等である」という、そうした人間性を培うこともできました。もっと多くの方にアーチェリーを体験してもらい、その魅力を感じてもらいたいですね。


−ありがとうございました。世界選手権でのご活躍をお祈りしています。



<アーチェリーミニ知識>
アーチェリー競技は、ターゲット、フィールド、インドアの3競技があり、屋外の平坦なグラウンドで4つの距離(男子:90、70、50、30m 女子:70、60、50、30m)をそれぞれ36射、合計144射するのが、アウトドアターゲットラウンド(FITAラウンド、通称ターゲット)と言われ、リカーブとコンパウンドの2部門がある。
              
※リカーブ
リムの先端が、逆反りした形状の弓。オリンピックと国体ではこの弓だけが使用を認められている。
※コンパウンド
両リムの先端につけられた滑車の作用で、引き重量が途中で軽くなる弓。リリーサー(発射装置)の使用も認められている。
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