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 セカンドライフ特集vol.4
 →子どもたちに考える知恵と技術を伝えたい…石ア裕久さん(66歳)  →ドラムとギターに挑戦、夢は家族でバンド…丸山透さん(60歳)  →仕事があることで生活にハリ、シルバー会員の交流も楽しみ…井康二さん(67歳)
 →独学でケーナ作りに没頭、「作る楽しみ」と「吹く楽しみ」を堪能…山内喜代宣さん(82歳)
くま経プレス 2007年7月 vol.210


石ア裕久さん(66歳)
石ア裕久さん(66歳)
 石アさんの部屋に入ると視界に飛び込んでくるのが気球やヨット、天使、カモメ、ツルなど様々なペーパークラフト。すべて石アさんのオリジナルの作品だそうです。
 石崎さんはブリヂストンの設計部門で15年以上もスタッドレスタイヤの設計開発に携わった経歴の持ち主。4年前に退職してからは故郷・熊本に帰り、「クラフト裕」を設立。お年寄りや子どもたちにペーパークラフトやスーパー紙飛行機などを教えています。サラリーマン時代、最近の子どもたちがカッターやかなづち、ノコギリを使えないということを聞き、「何とかしたい」と思ったのがきっかけでした。「子どもたちには考える知恵や技術を伝えたいですし、お金をかけずに手軽に楽しめることを知ってほしいですね」とバルーンを制作しながら話してくれる石アさん。バルーンのペーパークラフトも最初は試行錯誤の連続で、型紙ができあがるまでに1年かかったという力作です。10月30日から開催される佐賀バルーンフェスタでも事務局に石アさんの作品が飾られるそうです。

「バルーンやスーパー紙飛行機を通して空の世界に興味を持ってほしい」

今の石崎さんのルーツは中学生の時、市の動力飛行機大会で2位になったご褒美として飛行機に乗せてもらった時にさかのぼります。「上空から熊本を見た感動は今でも忘れられません」と空への憧れを大きくしていきました。スーパー紙飛行機やバルーンなど石崎さんの作品に空が関連するものが多いのはそういった理由からです。紙飛行機も理論から飛ばすコツ、作り方、仕上げ方を子どもたちに教えます。「飛行機ができたときの子どもたちの感動は私たちが子どもの時と変りません。子どもたちも紙飛行機を通して空の世界に興味を持ってほしいですね」と石アさん。最近では口コミで出張講座を行う機会が増えているそうです。
丸山透さん(60歳)
丸山透さん(60歳)
 丸山透さんは現在、大谷楽器でドラムとギターを練習しています。最初に始めたのはドラムで今から約10年前にさかのぼります。
元々音楽が好きで、自分でも演奏したいと思っていた丸山さん。きっかけは14年前に家を新築した時に作った防音室でした。「学生の頃に少しかじったことがあり、20年くらいずっとドラムをしたいと思っていました。それから数年後、雑誌で大谷楽器にドラムの教室があることを知り、すぐに申し込みました。やめないためにドラムセットもすぐ買いました」と即行動に移しました。週1回のレッスンのほかに自宅の防音室で練習を続けています。「我流で続けるには限界があります。やはり基本を学ばないといけませんね」と語る丸山さんは現在、レッスンでは基本的な叩き方を学び、自宅では大好きだというエルトン・ジョンの曲を練習しています。「エルトン・ジョンの曲は難しいという理由でスコアブックがないんですよ。ですから耳でコピーして練習しているんです」と苦笑い。また、今年3月からはギターにも挑戦しています。「孫もピアノを習っているので、10年後くらいに一緒に演奏できればと思って始めたんですよ。いつかは家族でバンドができたらいいですね」。丸山さんの夢は膨らみます。
井康二さん(67歳)
井康二さん(67歳)
 戸島町にある市営桃尾墓園を訪ねると気さくな笑顔で迎えてくれた井康二さん。井さんは熊本市シルバー人材センター会員として、同園で来園者への対応や工事受付、納骨立会いなど、管理業務全般を担当しています。
 61歳で退職した井さんは、お孫さんの幼稚園の運動会で会員の一人と偶然知り合い、同センターを紹介されました。「何かたくさんの人たちと接することをしたいと思っていました。そこにたまたま声をかけていただいたんです。出会いを感じました」。すぐに面接を受け、会員に登録。これまで3カ所で管理業務を担当し、現在の桃尾墓園での仕事は3年目になります。仕事としてのやりがいはもちろん、会員のゴルフサークルや地域班など、会員間での交流も活発で、楽しみのひとつとなっています。「人とのお付き合いや生活にハリが生まれています。仕事があることに感謝したいですね。毎朝起きて、今日することをメモした手帳を見るのが楽しみです」。一方で、年に4回健康診断に行くなど、健康管理にも細心の注意を払っており、他にも「健康維持という名目で年に60回くらいゴルフに行っています。人間、飯より好きなものを見つけたらぼけ防止になると言いますが、私にとってはゴルフですね」と笑顔で話す。井さんのモットーは「一怒一老、一笑一若」ということですが、その言葉がぴったりのエネルギッシュで若々しい方でした。
山内喜代宣さん(82歳)
山内喜代宣さん(82歳)
 みなさんはケーナという楽器をご存知ですか?南米発祥の民族楽器で、「コンドルは飛んでゆく」の演奏で使われる縦笛と言えばわかると思います。山内喜代宣さんはこのケーナの音色に魅せられ、製作を行っています。
若い頃から神楽笛に親しんできた山内さん。10年前に奥さんを亡くし悲しんでいた時、弟さんから届いた一本のケーナとの出会いが山内さんを変えました。「毎日朝から晩まで妻との思い出の曲を吹きました。1年程が過ぎ、自分で作ってみようと思い、材料の女竹探しから始めました」と振り返ります。それからは送ってもらったケーナの寸法を隅々まで取り、試行錯誤の日々。「3〜4年で作り方がわかるようになり、面白くなってきました。はじめは“なんともしれんもん”でしたが、何度も作るうちに良いものができるようになっていきました」。しかし、息子の英宣さんが「鳴るのは鳴るが音が合っていない」事に気付き、調律機で調べると全く音が合っていない事がわかり、更なる試行錯誤が続きました。それから4年、英宣さんの協力も受けながら楽器らしい物ができてきました。

「作る楽しみと吹く楽しみができ、最高」

山内さんのケーナ作りは材料調達から始まります。最適な竹は少なく、英宣さんと大分県まで探しに走ったこともあるそうです。最近では知人が持ってきてくれたり、場所を教えてくれるそうで、100本ほどストックしています。「これはいい材料だと思っても音を出してみるとそうでもなかったり、曲がっていてだめだと思ってもいい音色が出たり、実際に完成して音を出してみないとわからないのが面白いですね」と醍醐味を語る。また、昨年8月に仲間8人でフオルクローレ「エンクエントロス」(出会い)を結成、コンサートではケーナは英宣さんに譲り、山内さんはパーカッションを担当しています。「作る楽しみと吹く楽しみができ、最高です。楽しむ気持ちが続く限りは続けたいですね」と話す山内さん。現在、ケーナ作りを教えて半年になるお弟子さんおり、「真剣にケーナ作りを習いたいという人がいれば実際に会って、その気持ちを確かめたいと思います」との事。山内さんの情熱はまだ止むことを知りません。
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