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くま経プレス 2007年10月 vol.213
書を通して、一人でも多くの人の心を動かしたい
書道家
 武田 双雲さん
 今、日本で最も人気のある書道家といわれる熊本市主審の武田双雲さん。大学卒業後、2年半のサラリーマン生活を経て、独立。現在は300人の門下生を抱える湘南の自宅兼アトリエ「ふたばの森」(神奈川県藤沢市)を拠点に、異分野とのコラボレーションやパフォーマンス書道などを実践。斬新かつオリジナリティーあふれる創作活動で注目を集めている。「子供と過ごす時間が最高に楽しい。感受性の師匠のような存在」と話す双雲さんに、実家でもあり、母親で書道家の武田双葉(そうよう)さんが主宰する書道教室「ふたば書道会」(熊本市尾ノ上4丁目)でインタビューした。

◆たけだ そううん/1975(昭和50)年6月9日生まれの32歳。熊本市尾ノ上出身。東京理科大学理工学部卒。NTT東日本入社後、2001年1月に独立。03年に上海美術館「龍華翠褒賞」、イタリアフィレンツェ「コスタンツァ・メディチ家芸術褒賞」を受賞。B'zや狂言師・野村萬斎などとのコラボレーション、世界陸上2007や2003フジロックフェスティバルなどでのパフォーマンス書道を実践。「世界一受けたい授業」などテレビやラジオにも出演するほか、愛・地球博メインパビリオンや映画「北の零年」など数多くの題字も手がける。9歳下の弟で書道教室「ふたばの街」(東京都文京区)を主宰する武田双龍(そうりゅう)さんもも書道家として活躍中
―歌手や華道家、狂言師など様々な分野の方とコラボレーションをされていますね。
武田 実は私の方から企画したことは一度もなく、自然とオファーをいただくようになりました。コラボレーションの目的は「お客さんを喜ばせたい」「お客さんを感動させたい」ということ。ですから、今日のような取材も私の中ではライター、編集者、カメラマンとのコラボレーション。記事によって人の心を動かすことができるのであれば、それも同じですからね。
―独立されたきっかけは。
武田 大学時代も書は続けていたのですが、当時は書道家になろうとは全く考えていませんでした。卒業後はNTTに就職したのですが、会社の先輩が独立する時に名刺のデザインを頼まれたんですよ。それがなかなか好評でビジネスになるのではと言われ、自分でもその気になって会社を辞めてしまいました。不安はあったと思いますが、若かったこともあり、不安以上にいろいろな事をやりたい、という気持ちの方が強かったのでしょうね。
―現在は湘南にお住まいということですが。
武田 ええ、江ノ島の近くです。一週間のうち、月、火、水、土が書道教室で、木、金、日はイベントや取材、作品製作にあてています。たまに、テレビやラジオの仕事で都内まで出かけますが、基本的に取材なども自宅でお願いしています。
―教室の生徒さんは。
武田 小中学生が50人、一般が250人ぐらいです。最初の1年間は10人ぐらいしかいませんでしたが、メディアなどへの露出が増えるのに伴い、増えていきました。以前は宮崎から通われていた生徒さんもいましたが、さすがに遠かったらしく途中で辞められました(笑)。
―書道中心の生活の中での楽しみは。
武田 基本的に朝起きてから寝るまですべての出来事が楽しいのですが、子供と過ごす時間は最高に楽しいですよ。仕事よりも子供といる時間の方が長く、「子供と過ごす時間が日本で一番長いお父さん」ではないでしょうか。教室にもいる、イベントにも連れていく、お風呂も一緒、ほぼ24時間一緒ですから。元々子供は好きでしたが、自分の子供がこんなに可愛いとは思いませんでした。子供の行動すべてがお笑い芸人よりも面白い。育っていく姿そのものが、私にとっては芸術です。感受性の師匠のような存在で、私の作品に多大なる影響を与えた人物の一人でしょうね。
―ところでご結婚はいつですか。
武田 2003年10月です。妻は鎌倉の出身で、NTT時代の同僚です。2歳の息子がいます。
―夢をお聞かせください。
取材終了後、熊本をイメージし、「誇」と一筆
武田 具体的なものではないのですが、書を通して、一人でも多くの人の心動かしたい、というのが願いです。世界人口の66億人分の1億人なのか、1000万人なのか・・・。いかに傷つける人を少なく、多くの人の心を動かすことができるのか。それが目指しているものですね。
―最後に好きな言葉を。
武田 好きな言葉は「たのしい」。作品集にも「たのしか」と付けたぐらいですからね。もちろん熊本を意識した言葉ですよ。最初は「たいぎゃ、たのしか」と考えたのですが、担当者から「長い」と却下されてしまいました(笑)。
―ありがとうございました。
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