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 →親業講座(第8回) 子どもを生み、自立した大人への育成とは
くま経プレス 2008年4月 vol.219


 「親業」って耳慣れない言葉ですが、「一人の人間を生み、養い、社会の中で 「親業」って耳慣れない言葉ですが、「一人の人間を生み、養い、社会の中で自立した一人になるまで育てる」これが親の役割です。最も純粋な努力と能力が必要とされる、立派に独立したひとつの仕事です。このコミュニケーション訓練が「親業」です。

子どもの人権と価値観

 このコラムを読んだり、または講演の後などで、ご質問を頂く事が多くなりました。一つ紹介しましょう。
 「子どもは、産まれてすぐには、お母さんがいないと何にもできない状態で全てを依存して生きていますが、自分の付属品でも装飾品でもありません。ちゃんとした人権と、価値観を持っているという事を子育ての中で、忘れてはいけません」という事に対して、
 「今度小学1年生になる子どもを連れて、昨年離婚したんですが、元夫が子どもに会わせて欲しいと言ってきました。新しい幼稚園、そして今度は1年生というとても不安定な状況の中ですから、会うとその気持ちがもっと不安定になるかもしれないと思い、断ろうと思っていました。でも、この子の気持ちを無視して、母親という権利だけで決めていいのかと、考えてしまいました」との相談でした。親は、子どもの最良はどんな事だろう?と考えながら生活をしています。このお母さんも、もちろんそう思っての決断でした。
 親業の受講生の方の話です。
 「小学4年生の娘が小学1年生のときに離婚し、それからは、子どもに肩身の狭い思いだけはさせたくないと、ずっと頑張ってきました。先日講座の宿題のために、娘の話しを能動的に聞くことに専念しました」そしたら
 「ママがこんなに私の話を聞いてくれたのは初めてだね。パパと別れる時は、私の気持ちは全然聞いてくれなかったし、私の気持ちを分かったようにパパと話してた事がとても悲しかったよ」などと、色んな話をしてくれたそうです。
 私たちからすると6歳は、まだまだ幼くて全てを親が決めないといけないと思いがちですが、ちゃんとした自分の考えを持ってるのも忘れてはいけないですよね。
 当初のお母さん、全てそのお母さんの言葉です。
「息子に、お父さんが会いたいって言ってるけど、どうする?って聞いてみます」
「会ってまた会いたいと思ったらどうしましょう?」
「次の約束があってもいいかもですね」
 聞いている内に、ご自分で結論を出されました。
 最後に、「息子に聞いてみるって事はそれだけ息子をなんだか信じるから聞けるんだと感じます」
 その一言に私も考えさせられました。自立した一人になるまで育てる」これが親の役割です。最も純粋な努力と能力が必要とされる、立派に独立したひとつの仕事です。このコミュニケーション訓練が「親業」です。


親業訓練インストラクター
津川 育子
(筆者プロフィール) 親業訓練インストラクター。大学卒業後、ニチイ学館、近代経営研究所などの勤務を経て、平成10年10月人財育成サポートを設立。平成19年8月より燃焼スパSOSOの支配人を引き受ける。親業の勉強会・講座を随時開講。熊本カレッジ主催講座サテライト教室子育て応援講座などの講師も勤めている。県内各地での講演も多数。美里町教育委員。子どもは21・19・14歳の三人。著書として、「愛の小箱」(夫の闘病と家族模様)がある。

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