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 親業講座I
 →子どもを生み、自立した大人への育成とは
くま経プレス 2008年6月 vol.221


津川 育子
親業インストラクター
津川 育子
 親業」って耳慣れない言葉ですが、「一人の人間を生み、養い、社会の中で自立した一人になるまで育てる」これが親の役割です。最も純粋な努力と能力が必要とされる、立派に独立したひとつの仕事です。このコミュニケーション訓練が「親業」です。


「環境の改善」とは。(後編)

 前回は、お風呂に入る前の用意をしないことに対して、イライラしているお母さんが、環境の改善を考えてみる。というところで終っていました。続きです。


 お母さんは3人の子どもプラスお父さんの分の一回分のタオルや下着などが入るかごを、みんなの好きな色を選んで、一人ずつ購入しました。

 そして、洗濯物をたたんで、お母さんがそのかごにその日のタオルや下着などを入れるようにしたのです。そしたらどうでしょう。お風呂の時にはちゃんと自分のかごをそれぞれ持っていくようになりました。小さなあーちゃんまで、お姉ちゃんやお兄ちゃんの真似をしてそのかごを持ってお風呂に入ります。そればかりか、洗濯たたみも、お手伝いするようになったのです。それぞれのかごに区分けして入れてくれます。雨が多くて乾いていない時には、整理ダンスからちゃんとお風呂セットを用意するようにもなりました。お母さんの夕食準備時のイライラが無くなったばかりか、仕事も減りました。

 ある朝、みんなの保育園に行く洋服を用意しているお母さんに(イライラした後姿だったかも)、「お風呂かごに、保育園の用意も入れといたから、お母さんが、用意せんでもいいよ」と、あーちゃんが言ったのです。この言葉に、お母さんは自分の固定観念バリバリの頭を思い知った、と後で笑っておっしゃいました。あーちゃんは、お風呂かごの有効活用法を考えたのです。

 保育園の用意(次の日に着ていくもの・ハンカチ、スモックなど持参するもの)を、自分でお風呂かごにちゃんと入れるようになったのです。それも楽しそうに。


 きちんと躾けることが、母親の役目、子どもの為。でも、言って聞かせ、叱ってやらせるよりも、環境の改善を考えるだけで、自主性が育っていく事もあります。 このような環境に工夫をすることは、まだ言葉が出ない小さな子どもにも効果的です。

 環境改善でもっとも大切な事は、「子どもの視点(視野)」に立ってみることです。親は「大人の視点(視野)」で周囲を見ているので気付かない事もあります。

 「大人は、家の中で、膝まずいて行動すべきだ。そうすれば、小さい子どもの遠近の感覚がよく分かるだろう」 byセラピスト ヴァージニア・サチア



(筆者プロフィール) 親業訓練インストラクター。大学卒業後、ニチイ学館、近代経営研究所などの勤務を経て、平成10年10月人財育成サポートを設立。平成19年8月より燃焼スパSOSOの支配人を引き受ける。親業の勉強会・講座を随時開講。熊本カレッジ主催講座サテライト教室子育て応援講座などの講師も勤めている。県内各地での講演も多数。美里町教育委員。子どもは三人。著書として、「愛の小箱」(夫の闘病と家族模様)がある。


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